私的偏愛録 其の十四 『くるりとチオビタ』
一等好きなCMがある。菅野美穂と平山浩行が共演していた、大鵬薬品「チオビタドリンク」のCMである。
二人が、走って、笑って、チオビタ飲んで、顔を寄せて、という構図がどこを切り取っても完璧なのだ。完璧過ぎて、TVでこのCMシリーズを観ていた当時のわたしは、こんな風にはなれないな…と強く思ったが、正解であった。わたしは菅野美穂ではないし、平山浩行のようなパートナーもいない。死ぬまでには一度、CM最後の「と、ゴールド」のアングルを誰かとやってみたいものである。
ただ、くるりの曲を聴きながら反芻することは、このCMシリーズが終わった今も続いている。「Jubilee」「太陽のブルース」「旅の途中」は、あのCMのような爽やかな日差しの中ではなく、大抵仕事終わりの、日も気分も沈んだ頃に聴いているのだが。
今年こそは、『くるりとチオビタ』を聴きながら、二人がいた風景を求めて旅にでも出ようと思う。