見出し画像

「答えを急がない勇気」で仕事も人生もハッピーに


今回は、枝廣淳子さんの「答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ」と言う本を紹介します。


▶︎コスパ、タイパ重視の世の中に

情シスやDX推進はもちろん、あらゆる仕事でリーダーやマネジメントをする立場の人は、判断や決断が必要な場面に何度も出くわす。

昨今のIT事業やマネジメントにおいては、スピード感が重視されるため、

「即断即決!スピード重視!」

色々なことがその場で判断されていく

また、人々の生活の中にデジタルが浸透して、あらゆるモノや情報が簡単に手に入る時代になったのに伴い、ビジネスだけでなく日常生活も

「コスパ最高!」

「とにかくダイパ重視!」

こんな価値観が浸透して、人々の行動がこの考え方に吸い寄せられている気がする。

これはこれで良いし、大切だ。

しかしだ、実際にはどうなんだろうか?そんな簡単に答えが出ることばかりではないはずだ。特にビジネスの場では。

少し答えを急いでないかい?」

「一旦、立ち止まって考えようや」

早さや効率ばかり追い求めるだけでなく、時と場合によっては立ち止まって考えることが大事ではないか?

この本は、自分にそう考えるきっかけをくれたに一冊である。同じことを感じている方がいるはずだ、そんな想いで書いてみました。


①企画 〜ボツの数だけ深みが増す

GoogleやChatGPTを駆使すると、自分が経験していないことであっても「あたかも経験したかのように」他人に伝わることが出来る。

そんな時代になった。

極端な話、ChatGPTで「イーロン・マスクの経営理念を元にグリーンエネルギーの新会社の企業理念と行動指針を作って」みたいなプロンプトを駆使すれば、それっぽいモノが出来てしまうのだ…

イーロンの本を一冊も読まなくても

Googleで調べて、ChatGPTでアウトプットしたものを社内SNSで公開して意見を募り、翌日には企画案にまとめて経営に諮り、サービス開発に着手することがだって出来てしまうのだ…

イーロンに会って話を聞かなくても

しかしだ、こんな「タイパ最高!」の企画書や事業計画書を部下が持って来たらどう思う?

あ〜…なんか薄っぺらいなぃ
どこに共感したらいいの?

こんな反応が返ってくるに違いない。

人の話を聞いて、対話して、疑問をぶつけて、再び自分の頭で考える…事業やサービスの企画には、こう言ったプロセスが必要で、時間と労力が必要である。

無駄な時間を浪費することもあれば、何回もダメ出しされることもある。散々悩んだ挙句にボツになる内容もある。

これらを無駄なモノとして排除してしまい、効率とスピードと思い付きだけで走ってしまって本当に良いのでしょうか?

何度も迷って捨てて…企画の深みはボツの数に比例する

②人材育成 〜走って止まって人は育つ


自分は今、人材育成に関するプロジェクトをしている。最初に育成のゴールイメージを決めて、それに向かって必要な研修やワークショップを計画して実行に移す。

計画段階では慎重に綿密に計画を立てるのだが、なかなか想定通りに成果が出なかったり、育成が進まなかったりすることが良くある。

なぜなんだろう?

それは、人を相手にしているからだ。

与えられた研修カリキュラムをただこなすだけでは、人は成長しない。

そこには、やる気やモチベーションと言った、人の成長を加速させるための大切な要素が絡むからだ。

・スキルが身についていてもやる気がなさそうな斜に構えたメンバー

・与えられたことはやるが自ら手を挙げる積極性がない受身なメンバー

・やる気満々だが空回りして成果に結びつかない想い先行のメンバー

そんなメンバーを最短距離で育成出来れば理想なのだが、相手は人だし、自分も人。

特に初めてのプロジェクトは、試行錯誤の連続なのである。

今日、上司とのプロジェクト中間報告の中で、こんな会話があった。

「今の状態で育成はうまくいきそうなのか?」

こう聞かれたのだが、自分はうまく答えられなかった。正直順調には行ってるとは言えなかったのだが、客観的な材料が揃っていないので振り返ることが出来なかったのだ。

さらに、残り4ケ月で急にメンバーのモチベーションが爆上がり、とんでもない成果が出る可能性だってあるから、ネガティブな発言を意識的に避けてしまったのだ。

プロジェクトには必ずネガティブな要素や失敗の予兆が付きモノなのだから、

ちょっと待って!
このやり方だけで本当に良いの?
こうなった要因は何?

こんな風に途中で立ち止まって、分からないことや出来なかったことを整理して書き出す時間を作ることも必要だと感じた。

人材育成は人が相手の長距離走

③ システム開発 〜デキるプロマネは各駅停車?

情シスでシステム開発のプロジェクトに関わる人にとってプロジェクトの炎上だけは避けたい。

例え自分が直接関与していない「対岸の火事」であっても自分は見たくない。

だからシステム開発においてプロジェクト・マネジメント(以降、プロマネ)が重要なのだが、まだまだプロマネの気力と腕力次第でプロジェクトの成否が決まることが多いのが事実だ。

自分が見て来た、よくあるプロマネ像はこんな感じ

①腕力系
大きな声を武器に外部委託先を過剰にかつ強引に稼働させる

②ネチネチ系
マイクロマネジメントでとにかく細かくチェックを繰り返す

③金で解決する系
ゴールに向かうために必要なリソースを惜しみなく投入する

しかしながら、万人がこのスタイルのプロマネをすぐに出来る訳ではない。

だからここでも「立ち止まって考える勇気」が発揮される場面が多いのではないか?

実はもう一つ、プロマネ像がある。

④各駅停車系
速く走る能力を備えながら課題やリスクを常に頭の中に置いて進める、新幹線の各駅停車のようなマネジメントスタイル

各駅に停車しながらも、実は高速にPDCAを回していたりするこのタイプのプロマネが、実は一番デキるプロマネ像なのではないかと密かに思っている。

ひかりくらいの各駅停車が理想?

▶︎ネガティブ・ケイパビリティとは


さて、本書のキーワードでもある「ネガティブ・ケイパビリティ」について触れてみよう

・事実や理由をせっかちに求めず不確実さや不思議さの中に居られる
・答えの出ない対処しようのない事態に耐える
・曖昧さや矛盾と共存し、それを許容する能力
・違和感を抱えたままとどまる

本書より抜粋

この言葉、一見すると「前に進もうとしない」「結論を先送りする」と思われがちだが、そうではない。

不確実で曖昧な状態を許容し、困難な状況においても考え続けることができる能力であり、「知的寛容さ」を意味する言葉なのだそうだ。

反対に「素早く判断し、分かりやすくインパクトの強いメッセージを使い、効率的に最短距離でモノやコトを生み出す能力」を「ポジティブ・ケイパビリティ」と言うそうだ。


▶︎人生の困り事もネガティブ・ケイパビリティで何とかなりそうな気がした

コスパやタイパ重視のポジティブ・ケイパビリティが悪いとは思わないが、重大な課題に蓋をしてしまったり、聞くべき人の意見を聞かずに進めてしまうことも危険だ。

結論を出てるけど、理解したふりしていない?

議論し尽くした結果で、みんな納得してる?

複雑な問題があるのに蓋をしていない?

これは仕事の世界だけではなく、身のまわりの生活でも同じ。

お金が足りない!

恋人に振られた!

人間関係がこじれそう!

転職先が見つからない!

SNSが炎上してもう限界!


こんな壁にぶち当たり、ネガティブな感情を抱いた時は「ネガティブ・ケイパビリティ」この言葉を思い出して、ネガティブと向き合おう。

そして、立ち止まり誰かと対話しよう

いつもと違う空気を吸い、別の選択肢を探してみよう

きっと良い方向に向かうでしょう(おそらく)

ちなみに僕、一晩寝ると大概のネガティブな感情は、自分の中に吸収して消えてなくなっているので、ネガティブ・ケイパビリティには非常に寛容な人間であります。

※最後に、ネガティブ・ケイパビリティと言う言葉は、捉え方によっては停滞など否定的に捉えられてしまうので、良く理解した上で使うことをオススメします


最後まで読んで頂きありがとうございます。
この記事に共感頂けたら❤️を押してください。
また読みたいと思ったらフォローをお願いします🙇

いいなと思ったら応援しよう!