とまり木のうさぎ小屋 vol.1-アトピー性皮膚炎について-
はじめまして。とまり木の相談員見習いのうさぎです。
喫茶とまり木のお手伝いをしながら、先生方に中医学を教わっています。
「中医学」という単語は聞き慣れないと思います。私も先生方に出会って初めて知りました。中医学というのは、正式には「中国伝統医学」というらしく、2000年を越える歴史を持つ医学です。東洋医学という言葉は聞いたことがあると思いますが、これは中医学の一部分が、日本に伝わって独自の発展を遂げたものとのことです。
私、うさぎは小さな頃からアトピー性皮膚炎に悩んでいます。自分ではよく知っているつもりのこの病気について、中医学的観点からも知りたいと思い、先生方に伺ってみました。
そもそも、ひとくちに「アトピー性皮膚炎」と言っても、様々な症状を持つ患者さんがいます。例えば、カサカサした皮膚の患者さんもいれば、湿っぽい皮膚の患者さんもいます。
西洋医学では、これを「アトピー性皮膚炎」とひとくくりにしてしまいます。一方で中医学においては、患者さんひとりひとりの症状に向き合います。その時に、患部だけではなく身体全体を包括的に診るという方法を用います。
中医学では、ひとつひとつの症状を「症」と呼ぶのに対し、身体全体を包括的な状態のことを「証」と呼びます。どちらも読み方が「しょう」で紛らわしいですね……
「証」は季節や身体の状態によって変わっていくものです。患者さんのその時の「証」を判断し、それに合わせて改善方法を提案していくのが中医学の基本方針とのことでした。難しい専門用語で「弁証論治(べんしょうろんち)」と呼ばれます。
私は、「アトピー性皮膚炎」という診断名が一度つくと、治るまでずっと同じ病名で、同じ治療方針でやっていくことが当たり前だと思っていました。季節や身体の状態に合わせて治療法が変わることに驚きました。確かに言われてみれば、私ひとりの肌でも、夏は湿っぽくなりますし、冬は乾燥します。そりゃ別の対処法が必要ですよね。
さて、先生曰く、アトピー性皮膚炎の原因を中医学的にみると、多くは「湿」が溜まることによるそうです。
「湿」とは、身体の中で必要な水分(中医学的には津液(しんえき)と呼びます)が正しくない場所に溜まってしまうときの呼び方です。
普段、体内で生成された熱は、血管を伝って体の表面の皮膚の下まで行き、そこから体外に放出されています。一方で、皮膚に湿が溜まると、湿のある部分からは熱が放散されず、湿の隙間から集中的に熱が放出されることになります。熱が集中する部位で皮膚の炎症が起き、これがアトピー性皮膚炎の原因になるとのことです。
湿が溜まる仕組みには、インプット、体内のメカニズム、アウトプットの3つが関係しています。体内のメカニズムについては次回の記事でお話するとして(複雑で長くなってしまうので!)インプットとアウトプットは簡単に想像できるんじゃないでしょうか。
インプットは、水を飲むことです。ミネラルなどの入っていないただの水は、身体の栄養になりません。水を飲みすぎると、余分な水分が身体に溜まってしまいます。
アウトプットは、水を体外に排出することです。体内の余分な水分は汗や尿となって排出されます。なかなか汗をかかなかったり、尿を出さない生活をしていると、体内に湿が溜まってしまいます。
つまり、湿を溜めないためには、インプットを減らすこと、アウトプットを増やすことが必要ですね。
今の時期、夏至から秋分にかけては、湿を追い出すのにピッタリの時期だそうなので、まずは簡単にできることから始めてみませんか。水を不必要に飲みすぎず、水の代わりにお茶を飲むこと、運動して汗をかく習慣をつけること、こまめにトイレに行くこと、意識してみてくださいね。