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暮らしっ句

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「日々の暮らし」の味わい、ぬくもり、それさえ忘れなければ、成功なんかとは縁遠くても、まっとうに生きていける。逆に言えば、こわいのは「こんな世の中、ぶっ壊してやり直した方がいい」と…
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記事一覧

[暮らしっ句]紅葉2[俳句鑑賞]

「第三状態のエロス」編  水底の紅葉 水面の冬もみぢ  岡本眸 「本物の紅葉はすでにもう…

トマリエ
7日前
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[暮らしっ句]紅葉1[俳句鑑賞]

長くなったので分割しましたが「紅葉2」に続きます。 「向こう」編 もう一つの世界が感じら…

トマリエ
2週間前
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[暮らしっ句] 菊 2 [俳句鑑賞]

供養(鎮魂)編  父呼んでをり 菊の闇ふくらみぬ  浦川聡子 「父」が呼んでいる気がする…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句] 菊 1 [俳句鑑賞]

のどか編  一本を活けて厠も菊日和  鷹羽狩行  いきなりご不浄で恐縮ですが、こんなふう…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]秋の声[俳句鑑賞]

未来は向こうからやってくるのか それとも こちらが扉を開けていくのか という話がありますが…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]秋日和2[俳句鑑賞]

 風鐸の音 待ちぼうけ 秋日和  岩松八重  寺に来て 留守を頼まれ 秋日和  江木紀子 「…

トマリエ
2か月前
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[暮らしっ句]秋日和1[俳句鑑賞]

「出かけたくなる」編  出掛けねば 損するやうな 秋日和  熊谷みどり  そうそう! と思いましたか?  それともモヤっとしましたか。別に行きたいところなんかないし…とか。 心を映す鏡は、こんなところにも。 .  晴れがましい席は好きです 秋日和  林朋子  親族や地域、仕事関係の集まり… 賛否や好き嫌いはあると思いますが、「晴れがましい席」が愉しかった時の思い出って、よくないですか? .  余所行の母 助手席に 秋日和  志水やおい  普段なかなか出かけられない

[暮らしっ句] 蟻 3[俳句鑑賞]

世相編  異変でもおこるか 蟻の大移動  伊藤康子  五月でしたか、都内で行われた数万人…

トマリエ
3か月前
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あさ未だ来

ひさしぶりにまとまった雨が降り 気温も下がりましたが それ以上に 静かな朝でした 秋の虫は…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]夏の旅[俳句鑑賞]

 若き日々 甦りたる初夏の旅  稲畑汀子  若い頃によく行った場所で、ずっと行ってなかっ…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句] 蟻 2[俳句鑑賞]

人生編  働いてゐる蟻見つめゐて 余生  土屋酔月  余生とは何か? いろいろな見方があ…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句] 蟻 1[俳句鑑賞]

凡人編  バスに蟻 下車するあての あるやなし  武田正子  ねぇ、あなた、バス乗ってしま…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]オクラ[俳句鑑賞]

 何はさて オクラにかけし花がつを  小山森生 「まあまあ、落ち着いて、とりあえず一杯~…

トマリエ
4か月前
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[暮らしっ句]ソーダー水2[俳句鑑賞]

[シニア編]にするつもりでしたが、いきなりやると、 いかにもシニアなので、前回に引き続き、若い恋人たちの世界から  あの人は きつと来るはづ ソーダ水  赤羽正行  待ち人が現れたのか、現れなかったのか? この句ではそれは未来のことであり、どうなるかがわからない……そこがおもしろい。  ソーダーの気泡が時を刻んでいるのに、実は時間が止まっている。まさに言語表現の妙! そしてそれは作者の心の動きでもある。  特別な思い出は、過ぎて行かずに永遠に息づいていると。この note