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スティーブ・ジョブス 驚異のプレゼン

職業柄毎日がプレゼンテーション(授業)の連続です。普段の基本的な授業は、自分が話す時間はできるだけ少なくし、生徒がアクティブに学んでいる時間を確保しています。それでもやはり自分が話したり、説明をする時間は多々あり、毎回自分のプレゼン能力が問われます。また、年間に10回以上の保護者説明会などでもプレゼンをしています。もしかしたら学内で一番プレゼンをしている教員かもしれません。

加えて、学校の授業や説明会だけでなく、学外でもプレゼンをさせていただく機会をこれまで多くいただいてきました。これまでに依頼を受けて、札幌、金沢、名古屋、大阪、広島などで学校の先生をはじめとした教育関係者の方々にグローバル教育についてプレゼンをさせてもらった経験もあります。その度にわかりやすいスライドを作ること(文字をできるだけ少なくすることや効果的に写真やグラフを使うなど)、伝えたいポイントをできるだけシンプルにクリアに伝えること、人を惹きつけるような態度(声の大きさ、スピード、アイコンタクトなど)などを心がけてきました。

中でも自分のプレゼンの基本となっているのが「PVLEGS」です。

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Poise:落ち着いたふるまい                    

Voice:明瞭で適度な大きさの声                 

Life:活気のあふれる態度・声                    

Eye Contact:アイコンタクト    

Gesture:ジェスチャー       

Speed:適切なスピード

ここからが本題です。上記の通り、授業、そして学内外でのプレゼンを数え切れぬほど行ってきているので正直プレゼンテーションには自信があります。(「わかりやすかった」「惹き込まれた」などのお言葉をいただいたこともあります)しかしながら、現状には満足したくないし、もっとプレゼンを上手になりたいと思った時に出会ったのがこの本でした。

下記の記事でも書きましたが、スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での”Connecting dots"のスピーチは数あるスピーチの中でもお気に入りの一つです。

このスピーチの中で最も好きなフレーズは”Your time is limited, so don't waste living someone else's life.”(あなたの時間は限られているのだから、他の誰かのために時間を無駄にしないでください)、そして”Stay hungry, stay foolish."(ハングリーであれ、そしてバカでいつづけろ)です。『時間を無駄にすることなく、常に前進(成長)し続ける』というのは自分のlifelong goal(生涯のテーマ)です。

本書ではジョブズのプレゼンの魅力を以下の18の法則でまとめています。

①構想はアナログでまとめる                     

一番大事な問いに答える                      

③救世主的な目的意識を持つ                     

④ツイッターのようなヘッドラインを作る               

⑤ロードマップを描く                        

⑥敵役を導入する                          

⑦正義の味方を登場させる                      

⑧禅の心で伝える                          

⑨数字をドレスアップする                      

⑩「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う             

⑪ステージを共有する                        

⑫小道具を上手に使う                       

⑬「うっそー!」な瞬間を演出する                  

⑭存在感の出し方を身につける                    

⑮簡単そうに見せる                         

⑯目的に合った服装をする台本を捨てる                

⑰台本を捨てる                           

⑱楽しむ

本当にいろいろなことが書いてあって改めて気づくことが多かったのですが、その中でも一番印象に残ったのが『ストーリーを作る』という点です。

プレゼンテーションの質を大きく高めたければ、するべきことはただ一つ。PowerPointを開く前にストーリーを作ることだ -クリフ・アトキンソンー

スティーブ・ジョブズやハワード・シュルツ(スターバックスのCEO)は自分たちの商品ではなく、パッション・ステートメントと言われる彼ら独自の熱い想いを基にしたストーリーを売っていると言われています。シュルツだったら美味しいコーヒーではなく、「体験を創出すること、職場でも家でもない、でもみんなが気軽に集まれる第3の場所を創る」という壮大なストーリーがスターバックスを世界一のコーヒーショップへと導きました。ジョブズであれば、「アップルの製品で世界を変える」(彼は「宇宙に衝撃を与える」と表現している)というビジョンに突き動かされていました。

要は自分が情熱を傾けられなければ、相手にメッセージが届くわけもないのということです。自分に置き換えれば、英語の授業を行うときに、その題材のテーマやバックグラウンドなどに自分が情熱を持たなければ、やはり生徒が「英語を学ぶのは楽しい」と思うこともないだろうし、「海外に飛び出すことの意義」などもよく話しますが、どれだけ想いを込めて話すかでその成果は大きく変わるということです。

そういう意味では原点に立ち返った気持ちになりました。若いころは全くしがらみにもとらわれず自由にやっていました。今思えば授業も学級運営も結構破天荒だったかもしれないですが、やはり年を取るにつれて経験が自分の進化を邪魔していくようになり、いつからか攻めていない自分がいたかもしれないです。たしかに経験によっていろいろなことが上手くなっていきましたが、それは必ずしも自分が望む形ではないと思うようになりました。

本書でも数々のプレゼンのテクニックについて書かれていますが、そんなことよりも、自分の想いに従ったストーリーを作ることで最高のプレゼンができると背中を押してもらった気がしました。


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