題:ドストエフスキー著 小沼文彦訳「白夜」を読んで
ドストエフスキーの長編は疲れるため主に短編を読んでみたい。この「白夜」はそう意味で言えば手軽に読める作品である。でも、裏表紙に書いてある『ドストエフスキーには過酷な眼で人間の本性を凝視する一方、感傷的夢想家の一面がある。ペテルブルクに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白夜の神秘に包まれたひとりの少女が姿を現し、夢のような淡い恋心が芽生え始める頃この幻はもろくも崩れ去ってしまう』というのは少し言い足りない。現実と幻想がヴェールで包む白夜に現れた少女の謎に満ちた心理に翻