Amazon電子書籍を出してみてわかった7つのこと
今年の4月、Amazonで初めてKindle電子書籍を出版しました。おかげさまで今も多くの方々に読んでいただき、感想をシェアいただいている姿をみると心から嬉しく思います。ありがとうございます。
販売開始から半年経ったので、改めて出版してみての気づきをシェアさせていただきます。
「Amazon電子書籍の出版にちょっと興味がある!」
「自分もいつか電子書籍を出してみたい!」
と思う人のために少しでもお役に立てたら幸いです。
長いので興味があるところだけでも読んでもらえたら嬉しいです。
1.電子書籍を出版したきっかけ
そもそも、自分の話をAmazonで出すなんて夢にも思っていませんでした。脚本家の友人である永妻優一さんからある日、喫茶店でこんなことを言われました。「宇都宮さんが独立・起業したエピソードがすごく面白かったので本にしたい」それがすべての始まりでした。
私は有名人でもなければ、インフルエンサーでもない普通の一般人です。起業して大成功している有名な社長もいる中で、まったくそういうタイプでもないので、自分の話に需要があるとはとても思えませんでした。しかし本を出してみること自体は単純に面白そうだったので、二つ返事でOKしました。
そして驚いたことに彼からの提案は「一人称のほうが伝わると思うので、一人称で書きましょうか?」ということでした。他人の話なんて三人称で書くのも大変そうなのに、さらりと言ってのける姿にとてつもなく心強さを覚えました。
そこから丁寧な取材を重ねてくれて、およそ1年がかりで完成しました。
2.プロのライターに「1人称」で書いてもらうということ
物語は私が20代前半の救いようのないダメ新人だった頃から始まります。
もう十数年前の話なので、当時のテンションで書くのは、正直、自分でも難しいです苦笑。けれどプロのライターである永妻さんが書いてくれることで、まさにあの当時の自分のドキドキやハラハラが臨場感をもって描かれ、懐かしさと同時に、まるで自分とは別の主人公を見守るような気持ちで読んでいました。
1つ役に立ったのが当時、自分が書いていたブログでした。永妻さんは膨大なブログを読み込んでくれて、まるで憑依したように、細部まで再現してくれました。
noteユーザの方は「書く」ということが好きだと思いますし、私自身も書くこと自体はすごく好きなのですが、それがまさか電子書籍という形で生かされるとは。何かを書き残しておくことは、きっと、いつかどこかで役に立つと思います。
3.自分の話なのにまさかのダメ出し!?〜目から鱗だった話〜
物語の初稿が完成してからは、私自身もいろいろ加筆修正をさせていただくようなかたちで、キャッチボールを続けていきました。
そこで、よく、永妻さんから、たくさんのダメ出しを受けました。まさか自分の伝記なのに、自分がダメ出しされるとは思いませんでしたwでも、その時、大切なことを気付かされました。
永妻さん
「自分が伝えたいと思うことと、読者が読みたいと思うことは違います」
なるほど。たしかに。思えば、それは映像をつくるときも同じことでした。私はどうしても、「あれも伝えたいこれも伝えたい」という気持ちでたくさんエピソードを追加しようとしました。しかし、その背景には「お世話になった人を一人でも多く登場させたい」という気持ちがあることに後から気づきました。そこで、さらに新たな気づきを教えられます。
永妻さん
「登場人物(固有名詞)が多いと、読者はその名前を暗記しなければいけないと感じてしまいます。そして、それはとても読者に負担をかけることなのです」
なるほど。たしかに。目から鱗です。登場人物が多いことで読みづらくなることは、以前、「カラマーゾフの兄弟」を読んだ時に嫌というほど痛感したことでした。無名の一般人が、危うくドストエフスキーと同じことを読者の人に強いてしまうところでした。そして、情報を削ぎ落とすほど、伝えたいことがよりくっきりと輪郭を生み出していくことを感じました。
私は自分の周りやお世話になった人のことばかり気にしすぎていたのですが、永妻さんは常に読者のことだけを考えていたのです。
4.誰にも言ったことのない話を出す葛藤
また、物語の中には親しい友人や家族にさえ言ったことのない、いわば自分の人生にとっての恥部のようなことも赤裸々に書きました。
これはもちろん、永妻さんも知らないことだったので私が付け足したのですが、永妻さんは「とてもいい!」と太鼓判を押してくれました。
これは誰のための本であるかを私もだんだん意識するようになったのです。この本は「独立・起業」に関する本でしたが、いわば自信満々の野心家タイプの人に向けた話ではなく、むしろ繊細で、あの頃の自分と同じように人生に悩んでいる人に向けた物語でした。そして、その人に向けた1つの選択肢としての「ひとり起業」という生き方をシェアする物語でした。
だからこそ、勇気をもって、それを書くことにしました。結果的にはその部分をすごく評価してくれるコメントや、Amazonレビューでもわざわざ書いてくださる方もいて、本当に書いてよかったと思っています。
そして自己開示できたことで、心なしかすごく生きやすくなった気がします。ちなみにその該当箇所はネタバレになるので、ここでは書きませんが、33ページ目に書かれてますので、もしよかったら買ってチェックしてくださいね。
5.タイトルをどう決めるか
タイトルはすごく悩みましたが、永妻さんや友人と相談を重ねて、「メンタル激よわ社員が好きなことで「ひとり起業」して10年続いた10の理由」にしました。
ベストセラー「ユダヤ人大富豪の教え」の著者でもある本田健さんにもネットのオンライン相談企画に応募して、タイトルについて相談をしました。
本田健さん
「本のタイトルで一番大事なことは、その人の人柄がタイトルに出ているかどうか」だと教えられました。
「年商●●●●万円」みたいな具体的な金額をタイトルに出すほうがインパクトは強くなるという説もあると思いますが、それは自分らしくはないなと思いました。
自分がどう見られるかということよりも、あの頃の自分と同じように悩んでいる人にラブレターを届けるようにタイトルを決めました。永妻さんも快く同意してくれました。「メンタル激よわ社員」という言葉は私がつけたネーミングですが、それをタイトルにしても平気なくらいにはメンタルは強くなっていたようです。
6.発売&まさかのAmazonランキング13部門1位に
そして、ついに、ようやく、4月29日に電子書籍が発売されました。FacebookやTwitterなどで告知をし、たくさんの友人・知人が応援してくれてシェア・購入してくれたおかげで、Amazonランキング新着13部門、売れ筋7部門で1位になりました。
(シェア&買ってくださったみなさん、本当にありがとうございます)
永妻さんもすごくTwitterでたくさん告知してくださり、続々とランキングで1位をとるたびに、一緒に勝利を喜び合うような気持ちでした。一緒につくったからこそ、喜びを分かち合えることも共著にしてよかったと思えることでした。
7.出版して半年経ってみてわかった気づき
発売から半年近く経って、いろんな方からの反響をいただきました。いざ出版してよかったなと思うことがいくつかあります。
お世話になった人への恩送りができること
ささやかながらでも不労所得が得られること
ご無沙汰していた人とまた本をきっかけに交流が生まれること
自己肯定感があがること
〜失敗も話のネタになると思えば貴重な経験〜自己開示をすることで、読んでくれた人との心の距離が近くなること
Amazonレビューなどを通じて、全く知らない人にも何かお役立ちできたことを知ることができること
そして、個人的に一番、嬉しかったのは姪っ子たちが読んでくれたことでした。発売から2ヶ月後にたまたま東京に遊びにきて、うちに泊まりにきました。
そして彼女たちが出発するとき、本の感想を添えた手紙が机の上にそっと置かれていました。小さい頃からずっと遊んできた子が大きくなって、こうやって本を通して、彼女たちが知らなかった自分を知ってくれて、何かしら得るものがあったということが本当に嬉しかったのです。
本を出すということで、新たな出会いにつながることもあれば、すでにある絆をもう少し強く結び直してくれるような効用がありました。これが僕にとって、本を出して一番嬉しかったことです。
Amazonで電子書籍を出版するということ。何か特別なことのように思えていましたが、いざやってみたら、気楽にできるものだと気づきました。それはもちろん永妻さんという心強い出版プロデューサー兼ライターさんがいてくれたからということも大きいですが、誰でも原稿さえあれば、出版自体は費用がかからずに出せるようなので、もし興味がある方は下記をご覧くださいね。
おまけ:英語版&ペーパーバック版発売
そして、今日、「英語翻訳版」と「ペーパーバック版」が出ました。「英語版なんて誰が買うの?」っていう風に思われるかもしれません。はい、おっしゃる通りです。今はまだたぶん、誰も買わないと思いますw でも、英語版は世界中のAmazonのマーケットプレイスで売られることになります。だから、これは今後、私自身や私たちの会社(ナチュラルパラドクス)が海外に進出するとき、きっと、また新たな出会いを創出してくれると信じています。そういうロマンがついてくることもまた、英語版を出版することの効用です。
もし本の内容にも少しでも興味をもってくれたら、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。全部読まなくてもいいので、よければあなたの感想をAmazonレビューでシェアしていただけたら幸いです。
以上、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。もし質問などあればコメント欄にお寄せください。私が答えられる範囲でお答えさせていただきます。
日本語版
英語版
(本のデザイン:馬場としのり)
そして最後に、友人のライター、永妻優一くんには心からお礼を言いたいです。素敵な体験を味わわせてくれて、本当にありがとう。次は映画を一緒につくりましょう。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?