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ワインとコーヒーの共通点
ワインの特徴
ワインとは葡萄を原料として、その果実を破砕して果皮にある酵母と合わさることで発酵しアルコールを生成します。その後、圧搾して熟成を経て瓶詰めされます。
簡単な説明ではありますが、ソムリエ試験の勉強はこのような基礎的なことから始めた記憶があります。
ワイン用の葡萄はワインベルトと呼ばれる緯度帯の国や地域で栽培されます。
生産国では厳しく作り方が統制されており、その風味や土壌の特性を最大限に引き出すよう徹底しています。同じ地域であっても区画ごとに品種や工程が変わることもあります。
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また、収穫年ごとにヴィンテージがあり、その年の気候や降水量の影響を受けます。当たり年の時もあれば、そうでない時もあります。
そして品評会で高評価されたワインは高値で取引され格が上がります。
また重要なのは、ワインは食中酒の要素が強いことです。料理とワインとの組み合わせによっては料理の味を幾重にも膨らませることができ、ワインも奥行きを増していく。相乗効果があります。料理文化の発達した国々では、食中酒は欠かせません。
自分は実際素晴らしいワインを飲んでから、ワインの歴史や製造の特性を学んだのですが、飲むだけでなくこの1本のワインが出来るまでを知ることがとても興味深いものでした。
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コーヒーを知る
現在はコーヒー店を経営しています。コーヒーは独学で勉強してきたのですが、ワインの時と異なる点はインターネットが普及した後に学んだ点でしょうか。
『深煎りコーヒーとの出会い』で話した通り、コーヒーというものに感動はしました。ですが、その時は品種が何であるとか精製がどうであるとかなどにはまだ興味はもてず、どこの喫茶店が美味しいとか、雰囲気がいいとか、またお洒落であるとかに重きを置いていました。重厚なコーヒー専門店からフランス風カフェまでよく足を運んだものです。
レストランで働いていたので、コーヒーを作ることは継続していました。といっても業務用ドリップマシンに粉の状態の豆をセットして10杯分、時には50杯分作れるマシンでコーヒーを抽出して、保温プレートに乗せておく。エグ味の強いコーヒーを提供していたものです。エスプレッソマシンなどはそのころはまだ珍しいものでした。
エスプレッソマシンのエスプレッソを初めて飲んだのは、1998年くらいに渋谷の『セガフレード・ザネッティ』です。マキアートをよく飲んでいました。
自分が本格的にコーヒーの勉強を始めたのは、サードウェーブのコーヒー店が出店してきた後のことです。コーヒーの焙煎に興味を持ったことがきっかけです。焙煎についてはまた改めてお話しさせていただくとして、今回はコーヒーの特徴です。
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ワインとコーヒーの共通点
1杯のコーヒーが出来るまでを考えていくと、コーヒーベルトと呼ばれる緯度帯で収穫されたコーヒー果実から発酵・脱穀・乾燥を経てコーヒー豆が袋詰めされ、世界各地へ出荷される。その後、焙煎・粉砕して抽出されコーヒーが出来る。
そして、コーヒー豆は栽培国や地域の土壌により独特の風味特性をもつ。気候や降水量の影響も重要になります。
ワインとコーヒーは似ていると感じました。
同じく農産物であり、土壌による風味特性があり、気候の影響を受ける。品種も多数あり、現在も増え続けています。各生産地域では、細かく生産方法を分け、1年ごとに品評会にて評される。高評価を得た農園のコーヒー豆は高値で取引されます。
コーヒーは単体で飲まれることも多いですが、お菓子と共に飲むと相乗効果もあります。
一気にコーヒーにのめり込みました。そして、なんといっても焙煎が自分で出来るという点が魅力です。
1杯のコーヒーの味を最終的に自分で作り出せる。責任もありますが、楽しめるのが自分には大きな価値です。
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仕事としてのコーヒー
自分にとってのワインとコーヒーの共通点は、どちらも仕事にしているという点もあります。
現在1年間に約1000回焙煎しています。これが多いのか少ないのかはわからないです。焙煎教室も行っています。自分でも正解を探す探求の日々ですが、焙煎をコントロールできるようにはなってきたと思います。
ワインもコーヒーも出会いの感動が、今に繋がっていると思います。
この先さらに新たな感動があるかも知れません!興味を持って勉強することは、一生続けたいと考えています。
コーヒーには様々な資格はありますが、自分は何も所有していません。
ですが名乗れる呼称はあります。
“焙煎士”と“バリスタ”です。