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アートな読み物

毎週末、アートが楽しくなる読み物を投稿していきます!
ヴェルデさん、かるびさんなど美術ライターも参加していただきました。それぞれの切り口のいろいろな読み…
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記事一覧

ゴーギャンの遺書―『我々はどこから来たのか? 我々は何者なのか? 我々はどこへ行くの…

1897年、タヒチ。 ポール・ゴーギャンは、この地に楽園を求めてやってきた。しかし、現実は彼…

挑発する線、魅惑の挿絵:ビアズリーと『サロメ』の出会い

1893年、ロンドン。 冷たい霧が漂うこの街で、一人の若き画家が筆を走らせていた。彼の名はオ…

栖鳳『班猫』一目惚れから生まれた傑作、巨匠の筆が紡ぐ“生きた”猫の姿

ある日、竹内栖鳳は沼津の町を歩いていると、八百屋の軒先にいる一匹の猫に目を奪われた。まだ…

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戦国を生き抜いた絵師・狩野山楽──武士から絵師へ、運命を変えた筆の力

戦国時代、戦場を駆けることが男の生きる道だった時代に、一人の青年が己の運命を大きく変える…

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バヤール『レ・ミゼラブル』物語の核心を視覚化した名挿絵

19世紀フランスのイラストレーター兼画家であるエミール=アントワーヌ・バヤール(1837-1891…

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『薄緑(膝丸)』と『髭切(鬼切)』二振りの名刀が見つめた源氏の時代と栄枯

試し切りで罪人の首とともに髭をも切り落とした「髭切」、罪人の膝まで切断した「膝丸」という…

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フェルメール『デルフトの眺望』ゴッホが愛したフェルメールの世界

『デルフトの眺望』は、ヨハネス・フェルメールが1659年~1661年頃に描いた唯一の都市風景画で、故郷デルフトの情景を描いた作品です。フェルメールがデルフトを題材にした他の作品には『小路』や失われた『デルフトに立つ家』があります。この絵は現在、ハーグのマウリッツハイス美術館に所蔵されています。 フェルメールの構図と特徴 この作品は、フェルメールがデルフト南東の高台から見た景色を元に描いたものです。右側には中世のロッテルダム門が描かれ、その前にはニシン船が停泊しています。中

ロートレック『ディヴァン・ジャポネ』カンカンの国際的な人気を高めるきっかけを作っ…

トゥールーズ・ロートレックが描いたポスターには、人気ダンサーのイヴェット・ギルバートとジ…

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光琳『紅白梅図屏風』意外にも20世紀以前にはほとんど知られていなかった国宝

日本の画家・尾形光琳(1658–1716)の作品『紅白梅図(こうはくばいず)屏風』は、左側に白梅…

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クリムト『接吻』クリムトが描いた多様な文化と芸術の融合の結晶

グスタフ・クリムトの代表作『接吻』は、1908年にウィーンのクンストシャウ美術展で初めて公開…

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アルテミジア『ホロフェルネスの首を斬るユディト』ユディットの姿に込められた強さと…

ベツリア出身の若きユディトは、美しい装いで敵軍の将軍ホロフェルネスの陣地に潜入し、同盟を…

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リッピ『聖母子と二人の天使』芸術と愛の狭間で揺れる禁断の関係

『聖母子と二人の天使』は、フィリッポ・リッピによるルネサンス期を代表するテンペラ画で、彼…

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モロー『出現』に描かれた幻想と退廃、象徴主義の真髄を探る物語

『出現』は、新約聖書に記された物語に基づく絵画で、王女サロメが継父ヘロデ・アンティパスの…

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モネ『散歩、日傘をさす女性』モネが描いた「日傘の女性」に秘められた愛と切なさ

『散歩、日傘をさす女性』は、クロード・モネが妻カミーユと長男ジャンを愛情深く描いた作品です。この絵画は、日常の幸せなひとときと、モネが愛する家族への思いを象徴していると考えられます。 当時のモネはアルジャントゥイユに住み、印象派の技法を追求していました。この作品は、自然の中で過ごす家族の様子を即興的に捉えたもので、日傘をさすカミーユの姿は、モネにとって家庭の安らぎと自然への親近感を表しています。特に、空や草原、衣服に施された光と風の描写は、彼が日常の一瞬の美しさをどれほど