ロートレック『ディヴァン・ジャポネ』カンカンの国際的な人気を高めるきっかけを作ったダンサー
トゥールーズ・ロートレックが描いたポスターには、人気ダンサーのイヴェット・ギルバートとジェーン・アヴリルが描かれています。作品ではアヴリルはパフォーマーではなく観客として、ナイトクラブの常連であり批評家のエドゥアール・デュジャルダンと共に前景に座っています。
ギルバートは、ステージの左上に頭を省略した形で描かれていますが、特徴的な長い黒い手袋と細身の体格から、彼女であることが容易にわかります。当時のジャーナリストは彼女を次のように表現しています。「彼女には胸の膨らみがなく、胸元は非常に狭い。彼女の腕は長すぎて細く、まるで薄いリボンのように見える黒い長手袋を身につけている」
タイトルにもなっているナイトクラブ「ディヴァン・ジャポネ」は、19世紀後半のパリでトゥールーズ=ロートレックが頻繁に訪れた場所の一つです。彼の洗練されたデザインと目を引くポスターは、スタイリッシュな形状や平坦な色彩を巧みに活用し、「ディヴァン・ジャポネ」をはじめとするキャバレーの雰囲気を象徴的に描き出しています。
もう一人のダンサージャンヌ・アヴリル(1868-1943)は、パリのベルヴィル地区で生まれ、虐待的な家庭環境から逃れるために家を飛び出しました。不安定な青年期を過ごす中で、社交ダンスの才能が注目され、16歳で退院した後はカルチェ・ラタンでダンサーとして活動を開始しました。やがて芸名「ジャンヌ・アヴリル」を名乗り、評判を得てダンスを本業とするようになります。
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