東京チェンソーズの新たな試み。「森の中の企業研修」で元気な森をつくる
これまでも森と街をつなぎ、さまざまなことに取り組んできた東京チェンソーズでは、2023年から檜原村の「森の中」を舞台に、新たな試みとして企業の社員研修の受け入れを始めました。
社員研修も最近は屋外で行なったり、アクティブなものが増えているようですが、林業のフィールドで行なうのはまだ珍しいようです。
森林の空間活用の一環である「森の中の企業研修」。
代表・青木亮輔の話を織り交ぜながら、その内容についてお伝えします。
「森を活かしたい」との想いが土台
東京チェンソーズでは2023年から企業の社員研修の受け入れを始めました。
5月には地元信用金庫の、9月にはオフィス家具メーカーの社員研修を受け入れました。
林業会社である東京チェンソーズが企業の社員研修を受け入れることは、一見関連ないようにも思えます。
が、青木はそれは「森を活かす」ことにつながるのだと話します。
元気な森は街の暮らしや企業の活動とつながる
森を活かすとは、木材利用や空間活用などで森の価値(可能性)を最大限引き出すこと。そうして活かされた森は、元気な森となります。
元気な森とは、人の手が適切に施され、かつ、自然と調和した森のことと考えます。
元気な森は植生が豊かになり土壌の保水力が増すので、土砂災害や洪水を起こしにくく、また、降った雨が川を通じて海へとつながり、街を潤します(一部は地下水に)。
また、景観や学習、教育といった文化的機能や地球温暖化を防止する機能、生物多様性を保全する機能、もちろん木材を生産する場という機能も備えます。
つまり森を活かし、元気な森をつくることは、普段の暮らしや企業活動と無縁ではないのです。
「森の中の企業研修」で元気な森をつくる
しかし、元気な森づくりは私たちだけでできるものではありません。多くの人の力が必要です。
そこで、森林空間を活用しながら、共に元気な森をつくって行きたいと思い始めたのが「森の中の企業研修」なのです。
では「森の中の企業研修」は具体的にどのように行なうのでしょう。
地元信用金庫の研修では実際の林業の現場で下草を刈る作業を体験しました。
その後、チームに分かれて森の中でダイアローグを実施。この日のテーマは「地域貢献」。
オフィス家具メーカーの研修では薪づくりなど森の生業を体験しながら、林業・森林についての理解を深め、社会課題の解決につなげるアクションのヒントを探りました。
こうしたプログラムは企業と東京チェンソーズの間で何度もミーティングを重ね、そのとき企業側が感じている課題に合ったものを提供しています。
そして何と言っても好評なのが「森の中」というシチュエーション。
適切な対価をいただく理由
さて、ここで一旦、お金の話。
街の暮らしや仕事にも通じる、森を活かして元気な森をつくる活動ですが、その活動を継続するためにはお金が必要となります。
しかし、林業界は言葉は悪いですが、お金儲けが下手。何でも無料で行なう傾向があります(東京チェンソーズも例外ではありませんでした)。
これは社会性という面では決して間違いではないのですが、活動を持続していくためには、正当な対価を受け取ることで経済性も高め、社会性とのバランスを取ることが重要になってきます。
ということもあり、「森の中の企業研修」は適切な対価をいただき、それに見合った内容を提供していきたいと考えています。
研修を受けた企業・社員の方へ
では、「森の中の企業研修」を受けたあと、参加した企業・個人にどうなってほしいのか。
森に関わる人が増えることで、森はどんどん活かされます。
地球の幸せのために、森を活かすーー東京チェンソーズの企業理念にある一節ですが、「森の中の企業研修」をきっかけに、元気な森が増え、より良い地球に1歩でも近づけたらと思います。
檜原村は面積の70%が秩父多摩甲斐国立公園に属する自然豊かな村で、春は新緑、夏は川遊び、秋の紅葉、冬の氷瀑と四季を通して自然を堪能できます。
それでいて、都心部からも実はそう遠くなく、新宿から電車とバスを乗り継いで約2時間で来ることができます。
最近では「village hinohara」というサテライトオフィスを村が設置するなど、「森の中で◯◯する」の選択肢が増えている実感があります。
とはいえ、いきなり檜原村に行くのはハードルが高いという方は、昭島市にある商業施設「モリパークアウトドアヴィレッジ」(MOV)に行かれてみてはいかがでしょう?
土日はワークショップ出店していることが多いので、見つけたらお気軽にお声がけください!
MOVとの取り組みについてはこちらから。