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経験者が語るうつ病が良くならない理由&うつ病改善法

今回は、私の経験から、なぜ、うつ病が良くならない理由と、うつ病の改善法を3つの章に分けてお話したいと思います。

うつ病が良くならない理由は様々あります。百人百葉かもしれません。

これからお話することは、すべて私の経験に基づいたものです。

うつ病歴が10数年以上だった私の経験ですから、きっと現在、うつ病で苦しんでいる方達の参考になることがあると確信しています。

それでは、早速、始めたいと思います。

第1章なぜ、うつ病は良くならないのか

★うつ病が良くならない

うつ病になったら、とにかく休養が第一ですね。軽度のうつ病なら1ヶ月から3ヶ月程度、中度のうつ病でも半年から1年も休養すれば良くなるが普通です。

しかし、私のように10数年も良くならない場合は反復性うつ病とか慢性うつ病と言われます。

名前はともかく、寛解状態になったり再発したりを繰り返してしまうんですね。ではなぜ、重度のうつ病になってしまうのでしょうか?

うつ病の場合は、いきなり重度と診断されることはありません。 軽度のうつ病として治療を始め、治療のかいなく良くならない場合に、最終的に重度のうつ病と診断されます。

もちろん、うつ病を発症する原因は人それぞれなので、原因の重大さにより始めから軽度ではなく重度のうつ病である可能性もあります。

☆良くならない理由

①うつ病ではなく躁うつ病だった
②休養を取りすぎるのも逆効果になる
③無理をすることは再発を招く
④周りの特別扱いを受け入れられない
⑤抗うつ剤の大量服薬は逆効果
⑥生活習慣が整わない
⑦回復期を上手く乗り切れない
⑧リハビリ勤務に失敗する

⑨休養と抗うつ剤だけでは良くならない
があげられます。これから、1ずつ考えて行きたいと思います。

① 実は躁うつ病だった

うつ病がなかなか良くならないのには、いくつかの理由があると思います。中にはうつ病と診断されたにも関わらず、実際には躁鬱病だったというケースも案外とあるんですね。

躁鬱病なのに、抗うつ剤を処方されても良くなるはずがありません。こんなことにならないためにも、医師には疑問があったら何でも質問することが必要です。

また、セカンドオピニオンを持つことも良いかも知れませんね。どちらにしても、自分の状態をできるだけ正確に医師に伝えることが必要になってきます。

② 休養し過ぎは逆効果

私の失敗談ですが、仕事に復帰するのが怖くて必要以上に休養を取りすぎたということがあります。最初の入院の時がそうでした。

当初の予定では3ヶ月の入院のはずが、気がついたら丸1年も入院していました。病院という所は、外的刺激から遮断された空間です。

もちろん、休養を取るために入院しているので、外的刺激を遮断するのは当たり前のことなのですが・・・。過ぎたるは及ばざるがごとしです。

長くても半年の入院にするべきでした。1年も入院していると、退院することに対して必要以上の恐怖を感じてしまいます。

恐怖を感じるから外に出られない。外に出られないから退院できない。まさに負の連鎖ですね。

私が入院していた1年の間に、同部屋の方達はどんどん退院していきました。しかし、医師から退院を勧められたことは1度もありませんでした。

私の主治医は、薬は必要な時に必要なだけ服用する。休養も必要な時に必要だけ取る。それがうつ病の治療に1番良い。

との考えを持っていたので、あえて私から退院したいとの希望があるまで退院を勧めなかったのだと思います。

1年も入院していると、完全に病院依存症になってしまいます。外的刺激がないのが当たり前になってしまいます。

たまに、外出許可をもらって1泊2日で自宅に帰ると、何もしなくても刺激の多さから非常に疲れ果てました。

刺激が多いといっても、それが普通の生活なのです。その普通の生活ができないのですから、仕事に復帰するなんて夢のまた夢でした。

③ 無理をすることは再発を招く

うつ病で休職しても、いつかは復帰しなければなりません。永遠に復帰しないと言うことは、退職すると言うことですね。

望んで退職するのなら良いと思うのですが、私のように退職を迫られて、仕方なく依願退職することにならないためにも、復職を成功させなければなりません。

せっかく、症状が良くなり寛解になって復職しても、無理は禁物です。私の場合は、一度目の休職のあとで復職した時に、焦りから頑張り過ぎてしまいました。頑張ってしまった理由、焦ってしまった理由は、些細なことでした。

復職した職場に同期の人間がいました。高校の同級生だったので、何でも気軽に話しができました。彼に「お前の給料、今いくら?」と聞いてしまったのです。

私は、前年度のほとんどの期間を休職していたため、給料は据え置きでした。当然のことです。対して彼は、普通に昇級していたので、私とは数千円の差がありました。

当然のことなのですが、私はそれを受け入れられずに、無謀にも「今年1年で追いついてやる」と、思ってしまったのです。

1年でついた差を1年で追いつくなんて、どんなに頑張っても無理な話しです。仮に私の業績が最高に認められたとしても無理だったでしょう。

それなのに、「やればできる!」なんて考えてしまったのだから呆れてしまいますね。そんな私の頑張りは数ヶ月しか続きませんでした。

☆暑くなるにしたがって不調になる

6月の末位から精神的に不安定になってきたのが自分でも分かりました。朝、出勤する時は仕事に行きたくないという気持ちが強くなりました。

通勤時に、「このまま車で電柱にでも突っ込んだら仕事に行かなくて済むかな・・・」「いっその事、入院するくらいの怪我でもした方が良いかな・・・」と考えるようになったのです。

それでも何とか仕事に行くと、今度は退勤時間になると家に帰るのが堪らなく嫌になりました。当時、長男は幼稚園の年長で、長女は年少でした。家に帰ると、うるさいくらいにまとわりついて来ます。

本当なら可愛い盛りなのに、可愛いどころか,うるさいと思ってしまったのです。これは今でも私の心に罪悪感として残っています。一緒になって遊んであげるべき時に、遊んであげられなかった・・・。私の一生の悔いです。

と言うのも、私の父親が身体障がい者で、私が幼かった頃に、遊んでもらったという記憶がなかったのです。そのため、子供ができたら一緒にいっぱい遊んであげよう。

結婚した時から、強くそう思っていたからです。子供が幼い時間は二度と戻って来ません。いくら強く望んでもやり直すことはできないのです・・・。

この暑くなるにしたがって不調になるという状態は、この先何度か繰り返しました。よく、寒くなるにしたがって不調になる冬季うつ病がありますが、私の場合は逆に暑くなるにしたがって不調になりました。

冬季うつ病の原因は、日光にあります。冬になると、日照時間が短くなるので、昼に生成されるセロトニンの量が減少します。

セロトニンが減少すると、セロトニンを原料とするメラトニンの量も当然減少します。このメラトニン不足が不眠の原因になるのです。

夜、眠れなくなると色々と考えてしまいます。そもそも、夜はマイナス思考になりがちなのです。

ジャイアンツの監督である原辰徳氏が父である原貢氏から「辰徳、ベッドに入ったらなにも考えるな」と言われたという話がありますが、これも夜はマイナス思考になって不安が募るばかりになってしまうからでしょう。

話が少し逸れましたが、その当時も抗うつ剤を服用していたのですが、量は一日にたった一錠でした。通院していた神経内科の医師がそれ以上は処方してくれなかったのです。

☆実はまだ、寛解ではなかった

医師に確認した訳ではないのですが、これまでの私の経験から考えると、一度目の復職の時はまだ、寛解状態ではなかったのではと、思っています。

復職したのも、自分の意志ではなく、人事担当者から促されてのものでした。自分で復職したいという気持ちより、仕事が怖いという意識の方が強くあったのです。

当時は、復職のプログラムも定まってはおらず、いきなり1日8時間勤務から始まりました。仕事自体は、パソコンの入力といった軽作業でしたが、約10ヶ月も休職していた身体と精神に、いきなり丸1日の勤務は堪えましました。

今では、職場復帰のリハビリ勤務のプログラムも整って来ているので、1日に数時間の勤務から始めて、1ヶ月かけて本格的に復職する。

そんな手順になっています。このプログラムも私と人事担当者が何度か話し合って決めたものです。当時は、うつ病で休職する職員は珍しく、うつ病という病名さえも認知されていませんでした。

精神的な病=ノイローゼと言われていた時代です。ですから復職した時にも、周りから好奇な目で見られました。

それに、妙な特別扱いもされたのです。この特別扱いされること自体がうつ病を再発させることになるのですが、それについてはまた別に書きたいと思います。

☆周りの特別扱いを受け入れられない

私のようにうつ病を何回も再発すると、慢性うつ病とか反復性うつ病、難治性うつ病と診断されます。

復職も1回で済めば良いのですが、休職と復職を繰り返すと「あの人はうつ病」だというレッテルを貼られることになります。

私が初めてうつ病を発症した当時は、うつ病という言葉がまだ、あまり馴染みがなくて、うつ病=ノイローゼと思われていた時代でした。


☆奇異な目で見られる

私が最初の復職にチャレンジしていた時のことです。与えられた仕事は、パソコンで書類を作ったり、会議用の資料をまとめることでした。

資料をまとめるためには、コピー室に行く必要があったのですが、コピーはワンフロワーに1台しかなかったのです。私がコピーを使っていると様々な人がコピーを取りにやってきます。

ただでさえも敏感になっているところに、入れ替わり立ち代り人が来ることは結構、神経を使いました。

オマケに、会う人それぞれに、色々なことを聞いてきます。「なんで休んでいたの?」「どのくらい休んだの」「うつ病って、どんななの?」等、質問責めです。

皆、悪気がある訳ではなく、私のことを心配してくれていることは伝わって来るのですが・・・。
次第に耐えられなく、コピー室に行くことが苦痛になってしまいました。

そうなると、他の仕事にも身が入らなくなり、職場に行くこと自体が苦痛になってきました。結局、数ヶ月でダウンしてしまい、復職は失敗。

休職に逆もどりです。自分の意識と周囲の人達の意識のギャップが、うつ病の再発を招いてしまったのです。


☆特別扱いを受け入れる

これ以外にも、リハビリ勤務中に、辛かったのは周囲から特別扱いをされることでした。

「あの人はうつ病」だから、一人前の仕事は任せられない。そう思われていることが伝わって来ます。

例えば、職場も4人の定員のところに5人目として配属されるので、基本的に仕事がありません。

いきなり、一人前の仕事を任されるのも大変ですが、仕事がないのも辛いものです。毎日、今日は仕事があるのかなぁ?という思いで通勤します。

人事担当者は良かれと思って、このような職場に配属させたのは理解出来るのですが、これでは、仕事を干された窓際族と同じです。

元々、うつ病になるほど、人一倍仕事をしてきたという自負もあるので、この扱いが長引くのはとても辛かったのです。

こうなってしまった原因は、職場復帰する前に、人事担当者との意思の疎通がしっかりと出来ていなかったことです。

私も人事担当者も手探りで始めた、リハビリ勤務だったので、ある程度は仕方ないところもありました。何しろ、それまで私のような例がなかったのですから・・・。

ともかく、私は、このような特別扱いに次第に苦痛を感じるようになり、通勤が苦痛になっていきました。そして、またまた休職をする羽目になってしまたったのです。

ここでの教訓は、
①リハビリ勤務前に人事担当者と綿密に打ち合わせをすること。
②リハビリ勤務を終えたら、通常どおり一人前の仕事を与えてもらうこと。の2点です。特別扱いや楽な仕事がうつ病から職場復帰する際に有益になるとは限らないのです。


☆抗うつ剤を大量に服用することは逆効果


私がうつ病を患っていた時には、大量の抗うつ剤を服用していました。当然、副作用も強くあったので、副作用を抑えるための薬を追加で処方されました。

抗うつ剤を服用する⇒副作用が出る⇒副作用を抑える薬を処方される。このサイクルが出来上がってしまい、薬の量がどんどん増えて行きました。

副作用のため体重は激増し、60kgだった体重は79kgまで増えました。1番辛かった副作用は排尿です。排尿が困難になり、トイレに行ってから排尿するまで10分以上かかるようになりました。

服薬量が一番多かったのは、最初の入院時でした。退院できる頃になると、一旦、薬の量が減ったものの退院時には、「退院すると外的ストレスがあるから」という理由で、また、薬の量が増えました。

抗うつ剤は、思考能力を奪います。考えるとマイナス思考になり、不安感が襲って来るのでそれを抑えるために思考能力を抑えるのです。

入院中はそれでも良かったのですが、仕事に復帰するとなるとそうは行きません。思考出来なければ仕事なんて出来ませんから。

☆減薬を試みる


職場復帰する前に、医師に減薬を求めましたが、現時点での減薬はうつ病の再発の危険大との理由で却下されました。

考えてみれば当然の話で、職場復帰すれば、家に居るような訳に行きません。かかるストレスの量が違いますから。

仕方なく、思考能力がないまま復帰することになりました。それでも、最初のうちは良かったのです。仕事もリハビリを主としたもので、パソコンの入力といった単純作業が中心でしたから。

しかし、いつまでも単純作業ばかりしている訳にも行きません。リハビリ勤務中は給料が出ていませんでしたから、単純作業でも良かったのですが、給料を貰うようになったらそれなりの仕事をしないといけません。

人事担当者からも、普通量の仕事を求められますし、自分でも普通の人と同じ仕事を任されたいと思うようになります。そうなると、思考能力が必要になってきます。

医師と相談し、減薬を始めました。それでも、まだ、相当な量の抗うつ剤を服用していました。体重も増えたままです。

仕事に履いて行くスラックスも以前の物はウエストが入りません。元々、79cmだったウエストが退院時には92cmになっていました。


☆断薬を試みる


減薬をしても、うつ病の症状は抑えられてはいるものの完治した訳ではありません。私の主治医のモットーは「薬は必要なときに必要なだけ服用する」といったものでした。

主治医が抗うつ剤を必要と判断している間は、服用を続けなくてはなりません。毎月の薬代もバカになりませんでした。

ある時、妻が、知り合いから霊能力者を紹介されました。その方は、私よりも2歳年上の女性で、ある経緯により人助けをするために霊能力を授けられたそうです。

半ば無理矢理に連れて行かれたのですが、その方の言うことがズバズバ当たるのと、言うことがいちいちもっともなので、信用しても良いのかなと、思えました。

その方には「薬を飲んでいる限り、あなたの病気は治らない」と言われました。そこで、思い切って断薬してみることにしました。

もちろん、主治医には内緒です。毎月、貰ってくる薬をそのままゴミ箱に捨ててしまいました。

それから、数ヶ月間、地獄の苦しみを味わいましたが、その期間を過ぎると、不思議なくらい心も体も楽になりました。

後で主治医に、実はだいぶ前から断薬していました。と打ち明けると「たまたま上手く行ったから良かったけど、それは自殺行為だよ」と半ば呆れ顔で言われました。  

叱られるのを覚悟で打ち明けたのに、叱られるのを通り越して呆れられてしまいました。

今考えてみると、抗うつ剤を飲み続けている限りは、私のうつ病は良くならなかったと思います。

断薬の仕方こそ、問題があったものの断薬自体に間違いはなかったと思います。抗うつ剤に頼っている限り、うつ病は良くならないのではないでしようか。


☆生活習慣が整わない

うつ病の原因は、脳内のセロトニンが不足するためです。そのセロトニンを材料としてできるホルモンがメラトニンです。セロトニンは日中に太陽を浴びることで生成されます。

特に朝日を浴びることが良いと言われています。ところが、うつ病になると脳内のセロトニンが不足するために、そのセロトニンを材料としてできるホルモンのメラトニンも不足します。

メラトニンは、良い睡眠には欠かせないホルモンなので、メラトニン不足は不眠症を招きます。

第2章うつ病を改善するためには

☆うつ病で不眠症になるのはメラトニン不足

うつ病になると、夜に眠れなくなります。精神的には、色々と不安なことを考えてしまい眠れなくなるのですが、実は、メラトニン不足も原因になっているのです。

それに、うつ病になると朝起きるのが辛くなります。夜に眠れないから朝起きるのが辛くなる。当然ですよね。

朝起きられないと、朝日を浴びることも出来ないので、セロトニンも生成しにくくなります。そして、セロトニン不足は良い睡眠には欠かせないメラトニン不足を招く。

ところが、精神的にダメージを受けてうつ病になると、脳内のセロトニンが不足します。セロトニンは感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。

セロトニンが不足すると脳の機能が低下したり、心のバランスを保つことが難しくなります。結果として、ストレス障害やうつ病の原因になります。


☆うつ病を治すにはセロトニンを増やせば良い


単純に考えると、うつ病を改善するには、セロトニンの量を増やせば良い。と言うことになるのですが・・・。その増やし方が問題です。

朝日を浴びることで、セロトニンを増やすことが出来ますが、うつ病になると、朝起きることがとにかく辛くなります。

体が鉛になったように重く感じ、寝返りをうつことさえ大変に感じてしまいます。朝起きて散歩をするのが良い。などと言われても、体が動きません。

うつ病患者が朝、散歩をするのは、健常者が富士登山をするのと同じくらい大変だと思います。これはうつ病経験者であり、富士登山を2回経験している私が言うことですから間違いありません。

うつ病を改善するには、セロトニンを増やせば良いのですが、そのセロトニンを増やす行動が出来ないから、うつ病が良くならないのです。

医師に処方される抗うつ剤は、セロトニン不足を改善するためのものです。しかし、単にセロトニンの量が増えるだけなら良いのですが・・・。

薬には、副作用というものがあります。これは、抗うつ剤に限ったことではありませんね。すべての薬には副作用があります。

効果が高い薬ほど副作用も強いので困ります。抗うつ剤の副作用により、精神的にダメージを受けます。

この辺が矛盾しているように感じるのですが、精神的にダメージを受けてうつ病になり、うつ病を改善するために服用する抗うつ剤により、更に精神的ダメージを受ける・・・。

これでは、いつまで経ってもうつ病が良くなる訳がありませんね。

私のように重度のうつ病になると、服用する抗うつ剤の量も半端ない量になります。大袈裟に言うと、抗うつ剤でお腹が一杯になるほどです。

その上に、更に副作用を抑える薬を処方されるのですからたまりません。私は、抗うつ剤を大量に服用するのは逆効果になることも有り得ると思っています。

もちろん、一時的に症状は抑えられるでしょう。それを寛解と言うのかも知れません。しかし、抗うつ剤を大量に服用にしている限りは、寛解状態にはなっても完治はしないでしょう。

10数年、抗うつ剤を服用し続け、それでも良くならなかったうつ病が、抗うつ剤の服用を辞めてから回復に向かった経験のある私が言うのですから間違いないと思います。

ただし、これには医学的な根拠はありません。あくまでも経験上の話です。

セロトニンを増やす方法は、抗うつ剤の服用以外に、朝日を浴びること、良く噛むことがあります。

私は、それまでパン食だった朝食を白米に変えました。パン食だとどうしても、噛む量が減ってしまうのです。

それから、朝日を浴びるために、布団を敷く位置を変えました。それまで、寝室の奥に敷いていた布団を東側の窓の近くに移しました。

カーテンも開けたままにしました。これなら、朝日を浴びるために、朝起きる必要がありません。寝ていても自然に朝日を浴びることが出来るのです。

抗うつ剤の服用を辞め、朝日を浴びるようにし、良く噛むことを心がける。これだけのことで、10数年苦しんだうつ病が良くなって行ったのです。

もちろん、直ぐに良くなった訳ではありません。薄皮を剥ぐように、徐々に徐々にでした。抗うつ剤の服用を中止した反動もありました。

しかし、あのまま抗うつ剤を服用し続けていたら私のうつ病は良くならなかったと信じています。皮肉な話ですが、抗うつ剤の大量服用がうつ病が良くならない原因の一つであると考えています。

☆回復期を上手く乗り切れない


うつ病で休養していると、ストレスに対する耐性が次第に減少していきます。外的ストレスを遮断するために休養をしていので、ストレスへの耐性が減ってくるのも当然です。

以前に、休養のし過ぎがうつ病が良くならない理由の一つとして挙げましたが、休養をし過ぎることでストレスに対する耐性が著しく減少することが問題なのです。

うつ病は適切な休養と適切な抗うつ剤の服用で回復するものです。確かに、それで回復していきます。

☆回復期が危険

回復するのは良い事なのですが、この回復期が危険な時期でもあります。うつ病による自殺の多くは、この回復期に起こっているのです。では、なぜ回復期に自殺が多いのでしょうか?

私の経験からお話すると、回復期に入るとそれまで働かなかった思考能力が働き出します 。

それに気力も回復して来ます。症状が酷い時は、何もする気力が湧きません。自殺をする気力さえなくなるのです。

☆二度と地獄を味わいたくない


それが、ある程度回復して気力も出始めると、二度とあの地獄の苦しみを味わいたくないという気持ちが湧いてきます。

回復期であっても、気分の落ち込む時はあります。また、仕事への復帰も考え出すので、不安感も出てきます。

職場復帰を考えると不安になり、気分が落ち込むことがあります。この時に自殺を考えてしまうのです。

いつまでも休んでいる訳にはいかない、でも、職場復帰をするのは不安だ。職場復帰して症状が悪化したらどうしょう・・・。

そんなことを、考えると堂々巡りが始まります。その堂々巡りに疲れ果ててしまい、こんなに苦しむなら・・・。また、仕事に行って精神的ダメージを受けるくらいなら・・・。

いっそのこと、死んでしまったほうが楽なのでは・・・。そう思ってしまうのです。私の場合は、ここで実際に行動に起こしてしまいました。

処方された睡眠導入剤を2ヶ月分取って置いて、それをコンビニで買って来たワイン1本で一気に飲んでしまったのです。

幸いなことに、翌日、目が覚めましたが意識は朦朧としています。その状態で車を運転したため、近所の家の塀に車をぶつけてしまいました。それも2回も・・・。

そのまま意識が飛びました。気がつくと隣の家のご主人が駆けつけてくれて、私を家の玄関まで運んでくれました。

そこで、また意識を失いました。次に気がついた時は、妻と心療内科の医師の前にいました。

医師からは、「睡眠導入剤をそんなことに使うなら、あなたにはもう睡眠導入剤は処方しません!」と強く言われてしまいました。

医師の話しを聞いている間も意識は朦朧としていました。後は、どうして家に帰ったのかも覚えていません。それ以降、その日と翌日の記憶はありません・・・。

☆地獄の苦しみを味わうくらいなら・・・


うつ病の地獄の苦しみを再び味わうくらいなら死んだほうがまし・・・。そう思ってしまうのは、どうやら私だけではないようです。

うつ病による自殺の多くがこの回復期に起こっているのがその証拠です。


☆回復期を上手く乗り越えられない


うつ病が良くならない理由の一つに、この回復期を上手く乗り越えることが出来ないことが挙げられます。

乗り越えられない主な理由は、繰り返しになりますが、二度と地獄を味わいたくないという気持ちです。もちろん、回復期を上手に乗り切って、職場復帰を果たす方も多くいるでしょう。

そういった方達は、元々、プラス思考の持ち主あるいは、取り越し苦労をしないタイプの方なのではないでしょうか。

マイナス思考の方や取り越し苦労をするタイプの方達は、ついつい再発を恐れ、その恐れによって現実に再発を招いてしまうのです。

これも一種の引き寄せの法則なのでしょうか?私を含めたマイナス思考の強い方達は、抗うつ剤に頼るだけでなく考え方を変える必要があります。


☆リハビリ勤務に失敗する

うつ病は休養が第一とは言っても、いつまでも休んでいる訳にもいきません。遅かれ早かれ仕事に復帰する時がやって来ます。

この職場復帰のタイミングが難しいのですが、それ以上に難しいのが、職場復帰のプログラムを組むことです。


☆職場復帰のタイミングが重要

職場復帰のタイミングは、自分の意志と主治医の意志、それに職場の意志の3つの意志が一致した時がベストです。

この3つの意志の優先順位ですが、私の考えでは、①職場の意志②自分の意志③主治医の意志の順番になります。

一見すると、自分の意志が最優先だと思われるかもしれませんが、私の経験からも、自分が職場復帰したいと思っても職場の受け入れ態勢が整っていなかったことがあります。

まず、職場が受け入れ態勢を整えることが最優先。つまり、職場の意志が一番で、次に自分の意志、最後に主治医に背中を押してもらって職場復帰する。これが、ベストの順番ですね。

それでは、次に職場復帰をしたらどのようなプログラムでリハビリ勤務をして行ったら良いのかを考えてみましょう。


☆リハビリ勤務のプログラム

私が、最初の休職から職場復帰をした時には、リハビリ勤務自体がありませんでした。復帰初日から一日中8時間勤務です。

これでは、何ヶ月も休職していた体が持ちません。この8時間は限りなく長く感じました。

仕事自体は、難しいものではなく、パソコンの入力といった単純作業でしたが、それでも体が悲鳴をあげました。

結局、復帰後数ヶ月で心身ともに疲れ果て再び休職することになってしまいました。それから、数ヶ月休職をして再び職場復帰に挑戦したのですが・・・。

今度のリハビリ勤務の部署には、仕事がほとんどありませんでした。元々、定員3人の職場に配属されたので、自分に割り当てられた仕事がありません。

今回も、初日から8時間勤務でした。仕事というものは、忙しいのも辛いのですが、やる事がないというのも辛いものです。

毎日のほとんどの時間を、何もせずにただ机に向かっている。そんな日々が続きました。

上司に仕事を与えてくれるように頼んでみましたが、「特に頼むこともないから、職場の雰囲気に慣れてくれればそれで良い」と言われてしまいました。

仕方なく、自分で仕事を探しては細々と行っていましたが直ぐにやる事かなくなってしまいます。

あまりの辛さに、人事担当者に職場を変えてくれるようにお願いして、別の部署に異動させてもらったのですが・・・。

ここでも同じことが起きました。最初こそ、少しは仕事があったものの、それが終わるとまったくやる事がなくなりました。仕事もせずに職場に居ることは想像以上に辛いことです。

忙しい中でかかって来るストレスとは違ったストレスがかかって来ます。次第に精神的に追い込まれて行き、またまたダウンです。

リハビリ勤務の期間を人事担当者と話し合っておかなかったため、いつまでこの状態が続くのか先が見えなかったことが原因です。


☆理想のリハビリ勤務

リハビリ勤務の目的は、毎日休まずに職場に来られるようになることです。そのためには、仕事量も多からず少なからずの適量が必要です。

毎日、今日、職場に行けばやる仕事があるといことは安心感に繋がります。

もちろん、仕事に追われるようではいけません。少し仕事を追いかける位の仕事量が丁度良いのです。

そして、リハビリ勤務の期間を決めて置くことも重要です。先が見えずにリハビリ勤務をすることは苦痛です。

その苦痛に耐えられずにうつ病を再発させてしまうこともあるのです。

休職期間にもよりますが、理想のリハビリ勤務は1ヶ月間で、最初は2時間勤務から始めて、4時間、6時間、そして8時間勤務と徐々に勤務時間を増やすことが理想です。

2時間勤務、4時間勤務、6時間勤務をそれぞれ、1週間ずつ行って最後の1週間を8時間勤務とすれば1ヶ月でリハビリ勤務を終えることが出来ます。

もちろん、無理をする必要はなく、2時間勤務が2週間になっても良いのです。要は、うつ病を再発させないように、職場に慣れることが目的なのですから。

リハビリ勤務に失敗すると、うつ病の再発に繋がります。最近は、ほとんどの会社がリハビリ勤務のプログラムを持っていると思います。

うつ病の人を確実に職場復帰させるのには、きっちりとしたリハビリ勤務のプログラムが必要なのです。

第3章自分に合わない仕事は自分を苦しめるだけ


自分で希望した会社に就職したとしても、その仕事が自分に合っているかどうかはまた別の話になります。

会社自体が自分に合わない場合がありますし、与えられた仕事が自分には合わない場合もありますね。

部署が自分に合わない場合は、異動願いを出す。という方法もあります。それが受け入れられて、自分に合った仕事を与えられれば、それに越したことはないのですが・・・。

中には、異動願いを聞き入れられない場合や会社そのものが自分に合っていない場合も考えられます。


☆合わない仕事は自分を苦しめるだけ

せっかく入ったら会社だからとか、もう年だから転職は無理・・・。と、諦めてしまい嫌々ながら生活のためだけに仕事をするのは結果的に自分を苦しめることになります。

私は、ある程度の難関をくぐり抜けて公務員になりました。

公務員も楽な商売ではありませんが、民間企業からしてみると福利厚生は充実しているし、恵まれている点がたくさんあります。

しかし、私には、公務員は性に合っていなかったのです。その証拠に、公務員時代にあれほど苦しんだ、うつ病の症状が転職して介護士になってからは一度も出ていないのです。

普通に考えれば、介護士の方が公務員よりも大変で待遇も悪い仕事だと思えます。事実、私の今の収入は公務員時代の半分以下です。

経済面では、我慢して公務員を続けていた方が圧倒的に良かったのです。

しかし、健康はお金に変えられません。特に、あのうつ病の地獄の苦しみは、いくらお金を積まれても二度と経験したくはありません。

私の主治医が「あなたは、なぜ、うつ病が良くなったか分かりますか?」と聞いてきたことがありました。

私はすぐには答えられなかったのですが、主治医曰く「あなたが公務員を辞めたから良くなったんですよ」と言われたのです。

そういえば、公務員時代のような変なプレッシャーからは解放された感じがします。これは、公務員をやった人でないと分からない感覚だと思います。

介護の仕事は体力的にも精神的にもきつい仕事です。ですが、あのまま公務員を続けていたら、私はうつ病の地獄から抜け出せなかったかもしれません。

そう考えると、やはり自分に合わない仕事にしがみつくことは結果的にうつ病が良くならないことになると思うのです。

うつ病が中々良くなったならない方は、一度自分の仕事が自分に合っているかをじっくりと考えることをお勧めします。

転職をするのも楽なことではありませんが、うつ病から抜け出せないことの方がよっぽど辛いことです。うつ病を患っている方なら、この気持ちは分かっていただけると思います。

良く考えてみて、今の会社、仕事は、自分には向いていない。そう結論が出たら、迷わずに会社を辞める決断をしましょう。

転職先が見つからないなら介護の仕事があります。3Kと言われる介護の仕事ですが、やってみるとそんなに悪いものではないですよ。


☆休養と抗うつ剤だけではでは良くならない

逆説的な言い方になりますが、うつ病を治すことは諦めて、治すのではなくうつ病と上手く付き合うようにしたらどうでしょう。

うつ病は適切な休養と抗うつ剤の服用で治る病気だと言われています。しかし、現実に私のように10数年もうつ病で苦しむ人間もいるのです。

もちろん、医師の指示通りに、休養を取り服薬もしているのです。にも、関わらず、うつ病が良くならない。

こういった重度のうつ病または、反復性うつ病は休養や服薬だけでは治らないのではないでしょうか。


☆治すのを諦める

私の経験からお話すると、そういった方達は、いっその事うつ病を治すことは諦めてみたらどうかと思うのです。

諦めるとは、「明らかに見る」ことです。つまり、もうダメだと投げ出してしまうのではなく、うつ病が治らない自分を受け入れるということです。

☆自分を受け入れことからすべてが始まる

私の経験から言っても、うつ病になる前の自分に戻ろうとすることはとても苦しいことです。

治そう、治したい、元の自分のようにバリバリと仕事をしたいと思うと、そう出来ない自分に失望し、精神的ダメージを受けてしまいます。

この精神的ダメージが、うつ病に良いはずがありません。

結果的にうつ病の回復を遅らせたり、寛解状態から再発を招くことになるのです。

それを防ぐために、うつ病である自分を受け入れ、元の自分ではなく「新しい自分」になる努力をするべきなのです。

うつ病という、誰もでも出来る訳ではない貴重な経験をしたあなたは、きっと他人の苦しみを理解できる優しく思いやりのある人間になっていることでしょう。

☆うつ病になって良かったこともあるはず

私は、うつ病になって良かったと思うことがあります。また同時に、二度とうつ病にはなりたくないとも思います。

うつ病になる前の私は、傲慢な人間でした。また、頑固なところもありました。

自分は出世をするのが当たり前の人間だとも思っていました。それが、うつ病によりすべて崩れ去ったのです。

出世は諦めましたし、謙虚にもなりました。頑固なところもだいぶ減ったと思います。

うつ病の地獄から生還した方達は、多かれ少なかれ私のような経験をしているのではないでしょうか。


☆人生は魂の成長のためにある

人間が生まれてくる理由は、魂を成長させるためだと私は信じています。

私の魂は、きっと頑固だったため、うつ病にでもならないと成長出来なかったのでしょう。

そう、私の魂の成長には、うつ病は欠かせなかったのです。

何の根拠もありませんが、私はそう信じています。

うつ病は心の病でもなく、脳の病気でもなく、魂を成長させるためのハードル。そう考えた方が、精神衛生的にもずっと良いと思うのです。

いかがだったでしょうか?

今回お話したことには、医学的根拠があるものと、そうではないものがあります。

特に、治すことを諦めるという部分は、私独自の考え方かもしれません。

しかし、10数年以上良くならなかった、うつ病が、諦めて受け入れる覚悟をしてから、徐々に良くなって行ったのは事実です。

うつ病は確かに、辛く、苦しい病気です。一刻も早く治したいと思うのが普通の感情です。

薬によって一時的に症状が良くなることはあるでしょう。先述しましたが、それを寛解と言うのかもしれません。

寛解状態でも良いと思うわれる方は、それでも良いのですが、完治を目指す方は、抗うつ剤では完治はしない。

そう思って頂いて間違いないと思います。薬と医師は、あくまでも病気を治すための補助でしかありません。

病気は自分で治すもの。それが私の基本的な考え方です。

それでは、最後までお読み頂きありがとうございました。

参考になることが、何かひとつでもありましたなら幸いです。


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トク
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