なんか混ざる音楽がすき
私は音楽にあまり詳しくないので、こういうのを何と呼ぶのかさっぱり分からないのだが、昔から発見するとついつい面白くて聴いてしまうものがある。それは別々の潮流からきた音楽ジャンル同士を混ぜて、一つの楽曲として演奏しようという試みだ。
どう説明してよいか分からないので、動画などをべたべた貼ってゆきたい。
Mas Que Nada / Sergio Mendes feat. The Black Eyed Peas(2006)
「マシュ・ケ・ナーダ」はもともとジョルジ・ベン・ジョールの曲であり、セルジオ・メンデスはカバーした人だ。広義ではサンバに入ると思うんだけど、もっとポップやロック的な文脈で歌われることもあったりして、ともかくこの曲が生まれた当時はブラジルの最新の音楽であったはずだ。それが2006年になって、The Black Eyed Peasというヒップホップアーティストとの邂逅を果たしている。この曲が収録されている"Timeless"というアルバムでは、他にもいろいろなアーティストがセルジオメンデスをリスペクトする形で豪華なコラボレーションを形成している。
これ、下の方にスクロールすると他の曲も試聴できるようになっているみたいなので、ぜひ聴いてみてください。すごい。あとAmazon Music Unlimitedで聴けるって書いてある。
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Ponta de Lança Africano (Umbabarauma) / Jorge Ben Jor feat. Mano Brown(2013)
ブラジル音楽のスタンダード曲がラップと融合したりするのは、時代が過ぎてこの辺になってくると、ごく自然に行われているように思える。これもジョルジ・ベン・ジョールの曲で、親和性の高さが感じられる。歌詞は「ボールを転がせ、シュートしろ」くらいのことしか言っていないシンプルなもので、サッカー賛歌みたいなものだ。ナイキがどうとか書いてあるので、CMに使われたのかもしれない。
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チュラマナ『楽園の虹』(2007)
ここから話が急旋回するので乗り物酔いみたいになりそうだが、間に挟む適度な感じの曲を思いつかなかったので仕方ない。あとリンクがうまく貼れなかった(エラーが出まくって購入ボタンが表示されない)。これもAmazon Music Unlimitedで聴けるみたいですよ。
これは何かというと、沖縄とハワイが合体だ。
なんか妙な印象を抱くかもしれないが、私はこのアルバムの収録曲がすごく好きだ。一曲目はHi'ilawe(ヒイラヴェ)というハワイの滝を歌った伝統曲と赤田首里殿内(あかたすんどぅんち)という沖縄のわらべうたが完全なハーモニーとなって融合している。もう無限に聴いていたい。
ハワイアンギターの演奏で沖縄音楽をハワイ風に歌ったり、三線の演奏でハワイ音楽を沖縄風に歌ったり、とにかく最初から最後まで混ざっており、すごい。
とくにびっくりしたのが、6曲目の「海の女王」という歌なのだが、これはハワイでも沖縄でもなくブラジルの曲だ。ドリヴァル・カイミの曲がさらっとぶっ込まれていたので私はひっくり返った。ポルトガル語の歌詞をハワイアンギターと三線の演奏で沖縄風に歌っているんですよ。すごい。それでさっき1939年のオリジナルの方(Rainha do Mar / Dorival Caymmi)を聴いたんですけどはちゃめちゃに良いですね。うっとりします。私の音楽への興味の原点はブラジルなのかもしれない。
他にも八重山民謡の安里屋ユンタをハワイ風に聴けたりなど、とにかく楽しいです。
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民謡クルセイダーズ『Echoes Of Japan』(2017)
ところでなんでこの記事を書き始めたかというと、つい先日これを知ったからなのだ。
一見「なんじゃこりゃ?ふざけてるのか?」という感じに見えるかもしれないが、クルセイダーズ・・・ジョジョ3部・・・彼らは本気だ・・・。日本各地の民謡を完全に中南米やアフロのビートで乗りこなし、奏でている。しかも全曲テイストが違う。なんということだ・・・!
これ、もう聴いているとつい爆笑してしまうのですが、でもその奥に見え隠れするのは真剣なアティチュードなのだ・・・。ニンジャスレイヤーみたいなやばさだ。
よく見ると2017年の12月には発売していたようだ。その間何度となく物理CDやさんに足を運んでいたんだけど、今までなんでこんな面白いアルバムに気づかなかったのか・・・!? 油断して導入部分の演奏をぼんやりとラテン音楽として聴いていると、強烈な日本民謡に思いきり殴られる。それでいて両者には謎の親和性があり、ちゃんと融合している。おそろしい。
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そんな感じで、やはり自分は異なる文化潮流同士が衝突して新しい表現が生まれる様子を目の当たりにするのが好きだなあ・・・という話です。
重要なのは、こういうのってただそれっぽくやればいい訳じゃなくて、深い相互理解とリスペクトがないと成立しないという点だと思うんですよね。
それで、結局こういう現象をなんと呼ぶのか分からないのですが、個々の楽曲についてはある程度理解したものを書いているし、自分の好きなものを列挙した記事なので、 #とは タグをつけておきます。