ウナーゴン
日記とかコラムとか感想文とかはここに纏めています。
唐突に思いついたらなんか書くかもしれない。
第1話完結済の小説作品『R.E.T.R.O.=/Q』の追補編マガジンです。 作品本編ではなく、作者コメンタリー・用語集などが随時収録されてゆきます。イラスト資料については続報をお待ちください。
突如電子の海より出土した、過去の日記群からチョイスした文章を収録してゆきます。
メインコンテンツ。絵と写真はここに収録されてゆきます。
降りしきる雨。 雨粒を追い抜く速度で落下しながら、私は相手の頸にナイフを突き立てる。錐状の刃が貫通して反対側から頭を出すと、破壊された頸動脈から血液が刃を伝って噴出した。 この状況でも尚、敵の男は血走った眼で私を睨みつけている。 ――流石、殺し屋だ 私は自分を棚に上げてそんなことを思う。 相手は致命傷に構うことなくナックルダスターの右拳を振りかぶる。私はその動きを読み、左肘で弾きながら左膝蹴りを脇腹にめり込ませる。更に、捩じ込んだ左掌を相手の右顔面に押し当て
逆噴射小説大賞というものがございまして、パルプ小説の冒頭800文字の形式で、続きが読みたいと思わせる面白さを競う催しです。 ここで私の参加履歴を振り返ってみよう。 二次選考のハードル、年々上がってきている気がするんですよね・・・。最近思ったのですけど、「大賞は狙わないが二次選考通過のみを狙う」という意味不明なやり方は、逆に難しいかもしれない気がしてまいりました。年によってレベルが違ってたりするので・・・。やるなら最終選考を狙ったほうが良いのかもしれない。 なお、「不参加」
夜の帳が無限砂漠の陰影を青紫色へと変えた。 広大無辺なる死と静寂の領域で、崩れる砂を踏みしめるザクザクという私の足音だけが響く。あれからどれほどの時間が経っただろう。幾百の砂丘を越えただろう。 日が沈むと、そこは冷気が支配する世界となる。 恐ろしいまでに冴え冴えとした月光から溶け出す水彩画のように、遥か遠方に壮麗なる青白い神殿が出現する。それは、永遠にして到達不能なる美しき幻影だ。エンタシスの列柱はどこからでもその曲線美を視認できることから、人類には凡そ似つかわ
河童族の最後の末裔である僕は、山中より転び出るや、濡れそぼったアスファルトに無様に倒れ伏し、腹這いの姿勢で、しばらく動かずにいた。 雨上がりの曇天の下、湿った風が吹き抜けるたび、竹林がさわさわと揺れる。 顔のすぐ横の側溝を、水がちろちろと小気味良い音を立てて流れている。 それは、あの薄暗くて心地良い鍾乳洞——『河童の隠れ里』を出立し、三日にわたる行軍の末、ようやく人里に辿り着いた朝の事であった。 30分程そうしていただろうか。傍で黙って膝を抱えて座っていたジェミが口を開
この記事は2021年10月2日に、現在の拠点であるpixivFANBOXに掲載した日記と同じ内容です。pixivFANBOXは、雑記や月報、ドネートしてくださる方への新作情報早期公開の場として利用しています。雑記は基本的にnoteと同じく基本無料記事ですが、たまに全体公開に適さない内容の場合は111円のサブスク記事として投稿しています。こっちでは無料公開ゾーンを設定できるので、再掲してみました。 絵とかの創作物は今後、pixivで公開してゆく予定です。またpixivFANB
kiss 60日。 その日、僕たちは、自分たちに残された寿命があとそれだけであることを知った。 この地下世界に閉じ込められてから、どのくらいの時間が経ったのだろう。 色とりどりの巨大な積み木が組み合わさってできたような、この薄暗闇と深い静寂の世界で、僕たちは静かに呼吸しながら、おのおの物思いに耽っていた。 僕は、むこうの淡いピンク色の三角柱の陰で膝を抱えて座っている女性を見た。 23/11/2006
信頼できる真の男がサジェストする「みんなのオススメ記事」は消せるようになっていても消そうとは思わないが、自我のない運営システムが自動サジェストしてくるあほみたいな「閲覧履歴からのおすすめ」はいつまで経っても消せるようにならない。果たしてnote運営に生身の人間はいるのだろうか。
部分的にしか覚えてないや 険しい山道を、赤い服を着た邪悪な小人が跳梁している。 目の前を通るとき、狙いをつけて煉瓦大の石をぶつけると、すさまじい叫び声をあげて死ぬ。 調べると、暗号指令文書を携えている。 12/02/2006
本記事は9,000字弱の短編小説『【石の街】攻防記』について、内容に関する記述を含んでいます。興味のある方は本編を先に読まれることをオススメします。 ▢▢▢▢▢ 連載版(全5セクション完結済。冒頭記事に飛びます) ▢▢▢▢▢ 全セクション版(一つの記事にまとめたもの) 2018年10月に逆噴射小説大賞というものがありました。 第一回は小説の冒頭400字を応募するというレギュレーションで、私は3つほど応募してみたところ、『R.E.T.R.O.=/Q』と『【石の街】攻防記』
1・序 ▢▢▢▢▢ その日、大量の水が街を襲った。 呪術結界が施された強固な石の外壁が、轟音と共に押し寄せた水流によって破壊された。 外部からの攻撃だ。 やつら、とうとうここまで力をつけやがったか。自治会のおじさんがぼやいた。度重なる攻撃が段々と威力を増しているのは、僕も感じていた。 ひとしきり荒れ狂った濁流は、昼前には収まった。幸い死者は出なかったが、街中が水浸しになった。 誰しもが異変に気づいたのはその頃だ。水が一向に引かない。 広場で僕はとても奇妙な光景を
目玉 目玉が取れた。 机の上に転がった球体を、残った方の目で眺める。 舐めかけの飴玉のような光沢だ。 しかし、目玉とはこんな模様だったろうか。白と黒とが半分ずつ、緩やかに波打つ境界線によって、分けられている。 指でそっと球体をつまみ、鏡を見ながら、顔の本来あるべき位置に戻す。 と、その瞬間、眼窩の中で、二つの目玉がぐるりと回転した。 そして両の眼に現れたのは、白と黒とが互いに咬み合う、陰陽のシンボルだ。 02/08/2006