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『古事記ディサイファード』第一巻008【Level 1】超圧縮版漫才風古事記 これだけ読めば暗号が解ける (4)

国譲り

「それからどした?」
「一方高天原(たかまがはら)では、オオクニヌシとその息子のコトシロヌシ、タケミナカタが上手く地上世界(葦原中國(あしはらのなかつくに))を統治できてへんやないかと大問題になっとった」
「なんやハッピーエンドちゃうんかい?」
「アマテラスはスサノオとの誓約(うけひ)で産んだ男神五柱の長男である天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)つまり正哉吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)に〈この地上世界はオマエが統治しろ〉と命じて派遣した」
「おまえよう舌噛まんと言えるな」
「舌噛んだら子供でけてまうがな」
「だからでけへんて……」
「オシホミミはいったん天浮橋(あめのうきはし)から地上の様子を偵察するんやけどがあまりの騒々しさにビビって引き返してもうた」
「なんや名前のわりに使えんやっちゃな」
「オシホミミの報告を受けたアマテラスは緊急人事会議を招集、地上派遣部隊リーダー適任者を協議した」
「神諮(かむはか)りっちゅうやつや」
「ところが二回目、三回目、四回目の派遣も全て完全に失敗でしっちゃかめっちゃかや」
「天界意外とだらしないな」
「アマテラスが五回目の人事会議を招集したところオモイカネはもうええ加減にせえよとばかりに最終兵器の投入を提案した」
「出た、最終兵器って誰やねん?」
「結局五回目の高天原全権大使はタケミカヅチということになったんや」
「タケミカヅチいうたら最強の武神やないかい。それなら大丈夫そやな」
「十拳劒の化身であるアメノオハバリ(天之尾羽張)いうのんがおって、その剣から生まれた御子神がタケミカヅチ(建御雷神)やからな」
「そりゃ強そうや。今度は間違い無い」
「タケミカヅチはアメノトリフネ(天鳥船(あめのとりふね))に乗って稲佐の浜に降下すると十束剣(とつかつるぎ)を波の上に逆さまに突き立てその上にあぐらをかいて座りよった」


「ちょっとまたんかい。
  おまえサラッと不思議なこと言いよるな」
「何か……?」
「なにかやないて! もっかい言ってみいや」
「波の上に十束剣を逆さまに突き立てその上に座った」
「剣が水に刺さるわけないやろ!」
「いや刺さるで」
「まあ刺さるか……。
  刺さるけど、不安定やないかい!」
「そんなことないで神様の剣やから」
「まあ安定したとして、剣の上に座ったらケツに刺さるやろ!」
「だいじょうぶ。心配ない。なにしろタケミカヅチやからケツが固い」
「どんなケツやねん?」
「反重力ケツやし」
「そんなケツあるかい!」
「まあともかくオオクニヌシはこれをみてびっくりや」
「そりゃ驚くけど……他に驚かし方あるやろ!
  なんでわざわざそないな奇天烈なことせなあかんのや」
「二柱の息子達、コトシロヌシとタケミナカタが同意すれば国を譲ると」
「交渉に応じたわけやな」
「このときコトシロヌシは釣りに行っとって留守やったがアメノトリフネが捕まえて国譲りを迫るとアッサリと同意しよった。タケミナカタは力自慢の強面で国を譲るのを渋ってタケミカヅチに力比べを挑んだがまるで勝負にならず敗退。結局オオクニヌシ側は降伏し、ようやく国譲りが成功したんやで」
「やれやれ……。
  めでたいのやらなんやら、ようわからへんわ」  

(つづく)


※ 最初から順を追って読まないと内容が理解できないと思います。途中から入られた方は『古事記デイサイファード』第一巻001からお読みいただくことをお薦めいたします。

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