『古事記ディサイファード』第一巻053【Level 6】 剣を追え!(9)
【解答20】
【ミッション20-1】
まず弥高山から白兎神社への正確な距離を調べてみよう。■
【解答 20-1】
弥高山から白兎神社への距離はご覧の通り64.6kmしかない。
あれだけ印象的なエピソードが古事記の中に書かれてあり、しかもまさにその舞台となった白兎海岸にその名も白兎神社というものが存在するというのに、距離が全然合わないのである。
不可解ではないだろうか?
焼津神社のように江戸時代までは別な場所にあったが海岸線の変化により水没したために移動したというような話もない。
これは一体どういうことだろうか?
もしかすると同じシロウサギのエピソードに出てくる気多岬ではないだろうか?
気多岬もちゃんと白兎海岸に実在している。
昔、気多岬の先の北の端の岩の上には御神体の木彫りの人形を祭った無人の社があった。それが何度も波で流されたので今は白兎川下神社に移され、白兎神社の宮司さんが管理されておられる。
ご祭神はトヨタマヒメであるらしい。
なぜここでトヨタマヒメなのだろうか?
白兎川下神社なら白兎神社より西側にあるので距離が合うのではないだろうか?■
【ミッション20-2】
弥高山から白兎川下神社への距離を検証せよ。
【解答20-2】
弥高山から白兎川下神社への距離は64.9kmである。
66には全然足りない。
気多岬の展望台の近くにある東屋ならもう少し遠くなるはずだ。■
【解答20-3】
弥高山から気多岬の東屋への距離は65.1kmである。
やはり66には全く満たない。
白兎川下神社の御神体がもともとあったという岩はどこなのか不明だが、もしかすると気多岬の最北端なのかもしれない。
そこならさらに遠くなるはずだ。■
【ミッション20-4】
弥高山から気多岬最北端への距離を検証せよ。
【解答20-4】
気多岬最北端でもやはり弥高山からの距離は65.1kmと66kmには満たない。
そもそも見た感じ東屋から徒歩で何分もかからないほどの距離だ。900メートルの誤差は今までの図形の精度からしてとうてい許容できるものではない。
シロウサギが渡ってきたという淤岐之島ではどうだろうか?■
【ミッション20-5】
弥高山から淤岐之島への距離を検証せよ。
【解答20-5】
弥高山から淤岐之島への距離は65.0kmである。
航空写真を一見して気多岬までの距離よりもむしろ短いので期待はしていなかったが……。
白兎海岸の五カ所を調べてみたがいずれもショートしている。
弥高山から66キロメートルとなり八重垣が成立するためには1キロほども距離が不足している。
条件を満たすにはあとは海の方へいくしかないではない。
しかし海の上には何もない。
もしかすると白兎海岸に目を付けたこと自体が見当違いで、他の地域、南の方に何かあるのだろうか?
いや、弥高山から66キロの円周上付近で古事記と関連がありそうなものは白兎海岸以外には見当たらない。
こんなはずがあるだろうか……?
ここまで七つの垣が見事に成立していたのは一体なんだったのか……?
古事記にあれほどしつこく八が強調され、スサノオも八重垣の歌で八を繰り返しているのに……。
そもそも七つの垣も実は偶然に過ぎず、八重垣あるいは八岐大蛇図形が出来るはずだなどという仮説自体が間違っているのだろうか?
我々の妄想、幻想、勝手な思い込みにすぎなかったのではないだろうか?
おいおい、しっかりしてくれよ、筆者……!
このままでは完全に手詰まり状態である。
発想を変えない限り、打開できそうにない。
何か根本的に着眼点が違っているのではないだろうか?
ウサギを追いかけても無駄なのではないだろうか……?
一体何を捜せばよいのだろう?
ところで……そういえば、シロウサギのエピソードで唐突に登場する神界のアイドル、ヤカミヒメ……。
八十神全員で会いに行って求婚しようと意気込んでいた割にはヤカミヒメに関する神社など全く見られない。
ポンコツなウサギは祭られているのになぜ神界のスーパースターの神社が無いのだろう?
かろうじて川下神社であまり関係のなさそうなトヨタマヒメがひっそりと祭られているだけである。
ヤカミヒメは一体どこにいるのだろう……?■
(つづく)
※ 最初から順を追って読まないと内容が理解できないと思います。途中から入られた方は『古事記デイサイファード』第一巻001からお読みいただくことをお薦めいたします。
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