舌平目のムニエル
🐟クラシックな料理の魅力
伝統的なフランス料理の魅力は、ひとことではいい表せないものがあります。
ひとくちにフランス料理といっても、ヘルシーさやヴィジュアルが求められる時代を反映したのか、モダンな料理は味付けが軽くて、ひと皿に使う素材の種類が多く、彩り鮮やかで口当たりが軽やかという印象があります。
一方で古典的なフランス料理といえば、それとは対極をいく、メイン素材の存在感と質実剛健な味付け。
子供の頃に食べて感動したフレンチの魅力のひとつには、家庭料理にはないよそゆきの魅力がありました。
その大きな要素にはバターをたっぷりと使った、濃厚な旨味と香りがあったと思います。
ややもすると時代遅れという声もききますが、それでも伝統と基本だからこそ大切にしたいフレンチのクラシックなスタイルがそれではないでしょうか。
自分にとってもフランス料理の中では今回紹介するムニエルや、ブフ・ブルギニヨンなどは、料理の基礎であり、想い出の味なのです。
🐟ムニエルの材料
舌平目(小ぶりのもの)…1尾
小麦粉…大匙2程度
バター…10グラム
ムニエルの素材はサーモンも人気ですが、なんといってもザ・フレンチといえば舌平目。
久しぶりに自身の原点に返るような気持で作ってみることにしました。
舌平目の両面にしっかりと小麦粉をまぶします。
魚の身は水分を持っているので、余分な水分が表面に残らないよう、ここでしかっりと粉でコーティングしてしまいます。
フライパンを強火で熱して煙が立ってきたら用わびに落としてバターを入れます。
バターが溶けて泡立ってきたら、まぶしたときにつきすぎた余分な粉を落とすように舌平目をしっかりはたいてから焼き始めます。
じっくり焼いて下にした面がこんがりと色づいて、小麦粉をまぶした表面がかりっと焼き固まってきたら返します。
反対側も同じように焼き上がったら、身を崩さないようにそっと取り出してキッチンペーパーに載せ、余分な油を吸わせておきます。
続いてソース作り。
焼いた舌平目が冷めないうちに手早く進めていきます。
🍋ソースの材料
バター…15グラム
レモン汁…大匙1
こしょう…ひとつまみ
今回のソースは“ブール・ノワゼット”と呼ばれる、シンプルで古典的な焦がしバターのソースです。
舌平目を焼いたあとのフライパンをキッチンペーパーでさっと拭います。
このとき、魚を焼いたあとの旨味は残したいので、あまりゴシゴシと拭うのではなく、あくまでフライパンの表面の余分な残り油をふき取るくらいにしておくのがポイントです。
フライパンにバターを入れてから火にかけて、小さな泡がぶくぶくと出てくるまで加熱します。
🍋ソースの仕上げは一発勝負
バターが色づき始めたらレモン汁を加えて、もう一度沸いてきたら火からおろしてこしょうで味を調えます。
レモン汁を加えると、一瞬温度が下がるので泡が落ち着きますが、またすぐに沸いてくるので、その瞬間を逃さずに火を外してください。
そのまま置いてしまうとバターが焦げて余計な苦みが出てしまいます。
このソースは舌平目を焼いたあとのフライパンで作って、焼くことで出たその旨味も溶け込ませるのがポイントです。
新しいフライパンではバターとレモン汁でがあっても、おなじ旨味を含んだソースをもう一度作り直すことはできないので、まさに一発勝負。
ここは注意してほしいポイントです。
あとは舌平目を盛りつけて、たっぷりとレモン風味の焦がしバターソースをかけたら出来上がりです。
🍽付け合わせのポイントは白・赤・緑
モダンな料理とは違って、バターの風味をたっぷり利かせて濃厚に仕上げたソースがポイントのクラシックな料理には、付け合わせも冷製のサラダ系野菜よりも、ひと手間かけた温野菜が合うと思います。
今回はにんじんを下茹でしてからバターと砂糖をからめたグラッセと、ソテーした茄子を添えています。
彩にはセロリの葉を飾りました。
見栄えのいいひと皿に仕上げる付け合わせのポイントは、もちろん彩りの組み合わせ。
白・赤・緑のイタリアンカラーを目安にするときれいな盛り付けに仕上がります。
たとえば、
白…じゃがいも、なす(身の部分)、マッシュルーム
赤…にんじん、パプリカ、トマト
緑…ほうれん草、ピーマン、ズッキーニ、サラダ系の葉野菜やハーブ
などを使うときれいにまとめられると思います。
盛り付けの彩りもおもてなしをより素敵に仕上げるポイントです。