見出し画像

気になるあの一冊を、本屋で予約できたなら

本を読むのが好きです。

読むスピードはそんなに速くないし、いままで読んできた数も多くないけれど、趣味は?と聞かれたら「読書です」と答えたい。

そんな私のモヤモヤを聞いてください。

気になる新刊書籍の情報が入ってきたとき、脳直で「近所の本屋に入荷するかなあ」という懸念が生まれます。東北の田舎に住んでいる身としては、まずその点が気になってしまう。

なぜ気になるのかというと、実物を見てから買いたいから。

手に取ったときの重さ、サイズ感、手触り、ページをめくる時の感覚、文字の大きさ、余白の広さ、色合い、匂い……

それらすべてを確認して「よし!」となってから買いたいのです。実際それでしっくりこなかった本って、結果「合わない」ことが多いから…… 私調べだけど。

友人からは「服じゃないんだから」とつっこまれたことがあるが、いやいや一緒だよ!と反抗してしまった。

サイズ感や重さが気になるのは、バッグに入れて持ち歩くことを想定しているからだし、手触りやページをめくる感覚に違和感があると、どんなに面白い本でも内容が入ってこなくなるから大切なポイントだ。

文字の大きさが小さすぎたり行間が狭すぎたりすると読みにくくて悲しくなる。ページ内の余白(なんかあの上下左右にある空間?)が広めだと、読みながら自分の思考が広がっていく感覚になれてうれしい。

ページに使われている紙の色が真っ白すぎるとまぶしくて疲れてしまうから、オフホワイトくらいだと助かるし、インクや紙の匂いが好きなのでどれくらい香るのか確かめたい。

……というふうに、実物を手に取ってから買いたい気持ちの根底には、自分なりの理由があるのだ。

そのためにはまず、書店に入荷していただかなくてはならないのだが、これがなかなかうまくいかない。

たとえば、大物作家さんの新作(最近で言えば村上春樹さんとか)や映像化で話題の小説や漫画などは、首都圏より2~3日遅れだけどだいたい入荷されている。

でも、海外の翻訳小説や小さな出版社から誕生した一冊などは、入荷される可能性が極めて低い。実物を手に取る機会はほとんどない。

だからといって安易にネットで注文するよりは、著者や出版社、書店に少しでも還元されるように買いたい気持ちもある。

こういうときこそ、書店で予約注文する流れが自然なのだけど、もし実物がしっくりこなかったら…… と考えると、できない。

だってせっかく取り寄せてくれたのに「あ、なんか思ってた感じと違ったんで返品していいですか?」なんて言えないし、そもそもできない。

書店から出版社に返すことはできないわけで(ですよね?)、つまり私が「要りません」と言ったら、書店の在庫になるということ。場合によりけりだけど、その状況は果たしてポジティブなのか。

そんなときは、あまり大きい声では言えないけれど図書館に頼る

職場の近くにある市民図書館のHPで検索し、貸し出し中でなければ実物を見に行く。そこで手に取り、よさそうだと思ったらそのままネットで注文……

という、果たして図書館の利用の仕方として正しいのかわからない行動をとっている。

「そのまま借りて読めばいいのでは?」と思われるでしょう。私もそう思います。でもね、苦手なんですよ。誰かから何かを借りるという行為そのものが。

ガシガシ持ち歩けないし、読みながら寝落ちしてページ折っちゃうかもしれないし、非常に気を遣う。借りものなので。



なんか…… こういう日々を送っていると、ただ本が読みたいだけなのになぜこんなにモヤモヤしなければいけないんだ!と悲しくなってくる。

好きなときに好きなだけ本を買える財力があればいいのか。

無限に本を置けるくらい広い家に引っ越せばいいのか。

近所の書店が私の要望通りに入荷してくれればいいのか。

予約後でも自由に返品できるようになればいいのか。

なんでも揃う大型書店がある都会に引っ越せばいいのか。

個人的なこだわりたちを捨てればいいのか。

もうよくわからない。

こんなことでうじうじしているのは自分だけなんじゃないかと思う。でも、つらつらと書いていたら少し楽になってきたなあ。

ちなみにいま気になっている一冊はこちら。

私の行動可能圏内にある6つの書店には置いてなかった。

どんな手触りなんだろう。文字の大きさも気になる。ああ。







いいなと思ったら応援しよう!