お金を借りている感覚で目標管理に向き合う(目標管理とは約束である)
目標管理に関する印象的な「例え話」を伺う機会がありました。
その内容を整理し、共有いたします。
◆お金を借りている感覚=目標管理
目標管理では、未達成となる場合があります。
たとえば、以下のようなケースです。
先週の目標は「売上500万円」でしたが、実績は「売上400万円」。
結果として「100万円の未達成」となりました。
この状況を「上司からお金を借りている感覚」で考えるとわかりやすい、という例え話です。
上司から「500万円」を期限付きで借り、400万円は返済できたものの、残り100万円を返済できない状況をイメージしてください。
この場合、次の3つを上司に説明する必要があります。
なぜ、返済期限内に100万円を返すことができなかったのか?
いつまでに、その100万円を返済するのか?
どのようにして、その100万円を工面するのか?
さらに、もし今週の目標が「売上500万円」だとしたら、前週の未達分100万円と合わせて、合計「600万円」を今週中に達成する必要があります。
このように、目標管理においては未達分の処理と、次の目標達成計画が密接に関わります。
◆目標管理の過程でよく起こる2つの問題点
目標管理を上司と部下で実施する際、以下の2つの問題がよく見られます。
部下が勝手に目標を下方修正する
未達成が当たり前になっている状態
これらの問題を「借金」の例え話に当てはめて考えてみましょう。
◆部下が勝手に目標を下方修正する
一般的な目標管理では、年間目標を月次目標や週次目標へと分解して管理を行います。
しかし、部下が立てる週次目標を積み上げても、月次目標の達成に届かないケースがあります。
たとえば、月間売上目標が「2000万円」の場合、第3週目までの実績が「500万円」だったとします。
第4週目の週次目標が「500万円」と報告されることがありますが、これでは月間の返済額が合計「1000万円」となり、本来の目標である「2000万円」に届きません。
借金で考えると、月間返済目標が「2000万円」なのに、第3週目までで500万円までしか返済していないのにもかかわらず、第4週目の返済計画が勝手に「500万円」に設定され、結果的に未達成の状態が放置されていることになります。
本来であれば、以下の3つの説明を上司に行い、納得を得る手続きが必要です。
なぜ期日までに返済できないのか?
いつまでに返済するのか?
どうやって返済するのか(その根拠)?
目標の下方修正は、上司の承認を得ることで初めて成立するものであり、勝手に変更することは許されません。
◆未達成が当たり前になっている状態
もう一つの問題は、部下だけでなく上司も、目標が達成されないことを「当たり前」と思ってしまう状態です。
借金で例えると、部下は「どうせ返済できない」と諦め、上司も「返ってこないだろう」と放置してしまっている状況です。
これでは、目標管理が形骸化してしまいます。
実際の借金であれば、上司は以下のように部下と交渉し、返済計画を立て直すはずです。
「今月末までにいくら返済できるのか?」
「その金額は妥当なのか?」
「その金額であれば許容できるのか?」
上司は真剣に考え、部下に新たな返済計画を約束させます。
目標管理も同様で、上司と部下の間で目標未達を当然とせず、達成への道筋を具体的に設定する必要があります。
◆目標管理とは約束である。
目標管理では、部下が自ら目標を立てて実行します。
そのため、部下は「自分で立てた目標を自分で勝手に修正できる」と思いがちです。
このような状況では、以下の問題が発生します。
目標が勝手に下方修正される
上司と部下の間で目標の存在が消滅してしまう(形骸化する)
こうした事態を防ぐためには、「目標管理=約束」という認識を持つことが重要です。
◆「借金」の例えが示すもの
「借金」という例え話は、目標管理における「約束」の重みを強調します。この約束は、上司と部下の関係だけでなく、自己管理における目標にも当てはまります。
目標管理は「約束」であり、約束を守るためには責任感を持ち、修正や未達成に対する説明と計画が不可欠です。
最終的には、目標が「違えることのできない約束」として扱われる状態が理想です。
この「借金」の例えを通じて、目標管理における姿勢や方法を見直し、より実効性のあるマネジメントを目指していきましょう。