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食べ物にこだわるのは、時間がかかる

(マガジン『赤の他人の食事を作ってる』その7)
 
 
 先日ネットのコメント欄に、「添加物とか気にしてるのは食品オタクだけ。まともに生活していたらコンビニもスーパーの特売も避けられない」とあった。
 まさにそのとおり。生活していくなかで、食品にそうそう注意など向けられないというものだ。
 
 ぼくが食事を作っているHさんは、会社経営者で、独身。だから、とても家事をする時間など取れない。それで、「外食とレトルトの生活」となっていた。
 それはそれで、構わない。人のことをとやかく言う気もない。Hさんからは、何度か、「作ってもらう前、ぼくの食事パターン見て、すごいなぁと思ってたでしょ」と聞かれたが、別段思ってはいなかった。Hさんくらいの人は、よくいるからだ。Hさんのような食生活の人が多いから、街中にコンビニやチェーン店が乱立しても維持できるのだ。
 また、上にも書いたが、人のことだからと受け流してもいた。人それぞれだと。あのままHさんがこちらに依頼してこなければ、ずっとHさんの食生活に言及しなかっただろう。
 
 食べ物なんか、どうだっていいのだ。食べ物がしっかりしていれば寿命が2倍や3倍になるならいいのだが、せいぜいが5年10年の程度のちがいだろう。「だろう」と付けたのは、それすらもはっきりしないからだ。
 その程度のちがいなのだ。身もふたもない言い方をすると、食べ物にこだわると、長生きできるであろう時間をそこで充当することになることにもなる。そう考えてしまうと、なんのために食べ物にこだわるのか分からなくなってしまう。
 
 厳選した食品をわざわざ店舗を選んで買いに行って、自分で調理する。もし、このことに興味がなかったら、この時間がもったいなく感じて当然だ。レトルトや外食は、時間を節約できる。もっとも、この時間の節約感覚を、食品業者がうまく利用したとも言えるが。
 
 ともかく、自炊はとても手間がかかる。だから、他の人になんか勧めたことはなかった。当然Hさんにも。自炊なんか勧めたって、嫌われるだけだ。サプリを勧める方が、お手軽な分、嫌われない。
 
 ところがHさんの事情が変わった。長期的な仕事が舞い込み、それがまた、ある程度の年月を経ないといい収入にならない性質のものだった。そしてまた妻子もなく、縁者は、現在の資産の現金化を狙っている者ばかり。人生のなかで、とにかく健康年齢を少しでも伸ばすことが命題となってしまった。
 
 それを聞いたので、ぼくは食事を作る依頼を受けたのだ。
 
 Hさんは現在4種類の薬を飲んでいるが、それを1つでもやめさせるのが目標だ。飲み合わせによって影響が出ることもあるだろうが、国は飲み合わせの実験など細かくやっていない。やったらキリがないから、まぁこれは当然だろう。
 狙っているのは、痛風の薬。血圧の薬は、怖くて勝手にやめられない。なにかあったとき、後遺症が出てしまう。しかし尿酸値であれば、失敗したとしても痛風の発作が起こるだけで済む。もちろん本人は、「あの痛いのはもう勘弁」と言っているが、発作が出ても後遺症まではほぼない。もちろん数値も下がっていないのに勝手にやめることはできないが、数値が下がって一定の期間落ち着いている場合、飲むのをやめたいと医者に訴えたり、場合によっては飲む間隔を空けて実質減らしたりできるのではないか。
 
 薬を使用していると、手術などになった場合、ネックになることがある。手術をできないケースも発生するかもしれない。とにかく、ひとつでも、常用する薬を減らしておくに限る。

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砥城 佳太流@元豚モツ業者
駄文ですが、奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。