【PMあるある】経験をノウハウに変えるために実は最も大切なこと
昨日(日付変わって一昨日か…)ウェビナーに登壇しました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
※ちなみに、資料は、こちらで公開しています。
動画も後日公開されるとのこと。
あまりに好き勝手の自分語りに脱落された方もいたようですが、その方もアンケートはご回答くださり、有り難いことです。
それで、さらに有り難いことに、別の方からはご質問を頂戴しました。
もちろん該当者の方には然るべきルートで正式にご回答しますが、考えてみれば「あるあるネタ」なので、どなたかのお役に立てばと思い、有料記事にチャレンジしてみます。
質問(筆者改変)
プロジェクトの経験をノウハウに変える部分で苦労しています。
どのように知見を伝えればよいか、アドバイスお願いします。
回答
まず、知識は、一般的に「形式知」と「暗黙知」に分類されます。
この「形式知」とは、文章・図表・数式などによって説明・表現できる知識とされ、客観的に誰もが認識できる知識となります。
それに対し「暗黙知」とは、経験や勘に基づく知識のことであり、言語化や文書化が難しいため、共有は難しいとされます。
さらに、この「暗黙知」から「形式知」を生み出すプロセスが野中郁次郎先生の「SECIモデル」になりますが、それは以下の4つの段階に分かれるとされます。
この4段階のいずれにおいても、まずは共有する「組織内の個人、または小グループ」での対話が重要となります。
※文書化は、企業であれば当然ながら重視されますが、その点は後程お話しします。
この対話の際、個々の暗黙知がバラバラの状態では、列挙すること自体が非効率ですし、受け取る方も混乱するばかりです。
例えば、普段の業務の成果物も、個々の机や引き出しに書類で眠っているだけでは、誰が何を持っているか分からず大変不便です。
しかし、特定の「箱」や「棚」などに整理されている状態であれば、必要に応じて取りに行くことができるようになります。
プロジェクトで得られた暗黙知を整理する際も同じで、まずは「箱」や「棚」を設置することが必要です。
さらに、その「箱」や「棚」は、使う人つまり 「組織内の個人、または小グループ」が認識を共有できる存在である必要があります。
この「箱」や「棚」が、プロジェクトにおいては、既に形式知化されているプロジェクトマネジメントの知識体系だと私は考えています。
もちろん、通常業務の教訓であれば、バリューチェーンや開発手順など既に共通理解を得ているフレームワークでも良いと思います。
しかし、こと有期性と独自性と言う2つの特徴を持つプロジェクトに関しては、プロジェクトマネジメントの知識体系が役立つように感じます。
何故なら、それは、世界中のプロジェクトの経験から得られた叡智が結集された成果だからです。
だからこそ、個人的には、出来る限り多くの人にプロジェクトマネジメントを知っていただきたいと考えています。
少々遠回りになりましたが、端的に手順を整理しますと、以下の通りとなります。
1. プロジェクトの経験を整理する「箱」や「棚」を作る(デザインする)
2. その「箱」や「棚」を取り出しやすく収めやすい場所に置く
3. その中に収める経験や教訓を収集し、日々管理する
なお、先に予告しました「文書化」は、この上記の手順に関連します。
プロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOK®ガイド(第6版・P.100)でも「知識のマネジメントに関わるよくある誤解は、共有するためだけに文書化することだけだということ」と述べています。
つまり、文書化だけがゴールではありません。
少し長くなりますが、続きを引用します。
さらに、その続きでは「知識マネジメントで最も重要な点は、信頼の雰囲気を育んで人々に知識を共有するよう動機づけることである」としています。
上述の引用に“心の中”と言う単語があるように、プロジェクトマネジメントは血の通った人間による営みです。
次回のウェビナーでは、この組織としての仕組みづくりにも言及しますので、もしお時間がございましたらご参加ください。
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