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「白馬の王子様」を探して
「白馬の王子様」といえば、女性にとって永遠の憧れ、待ち望む人の象徴である。具体的に「白馬の王子様」がどのような人物であるかは、人によって異なるだろう。しかし、そこには女性が潜在的に男性に求める一定の理想像があるように思う。それは結婚しないことを選んだ女性や婚期を逃した女性たちが「負け犬」と呼ばれる現代においても変わらない、普遍性を持っている。しかし、現実の「王子様」はどうか。理想からどんどん乖離していっているのではないか。また女性の方も、「白馬の王子様」の招きに応答しにくくなっている現状があると思う。
ここでは古典的な物語「白鳥の湖」と、1970年代から現在に至る代表的なドラマ(映画、アニメ、少女漫画など)に描かれた「王子様」像をひもときながら、その変遷と女性側の変化について解き明かしてみたい。
まずは、正統な「白馬の王子様」像を描いた名作「白鳥の湖」から見ていこう。
※このコーナーはすべて「ネタバレ」となっております。ご了承ください。
(このエッセイは2005年4月に書いて個人サイトで公開していたものです)
「白鳥の湖」
王子様がお姫様の呪いを解き、永遠に結ばれる
王子様のプロフィール
名前:ジークフリート
立場:国王の息子
家族:父(国王)母(王妃)
「白鳥の湖」はドイツに伝わる伝説をもとに、1876年にチャイコフスキーが作曲したバレエ音楽。天才振付師マリウス・プティパによってバレエ史上に残る名作となった。
ある国の王子ジークフリートが成人式を迎える。国のしきたりで、次の日の舞踏会に招かれた王女の中から結婚相手を見つけなければならない。しかし気が進まない王子は、気晴らしのため森の湖へ狩りに出かける。そこで、美しい姫オデットと出会う。彼女は悪魔ロットバルトに呪いをかけられ、昼間は白鳥に姿を変えられ、夜だけ人間の姿に戻るのだ。その呪いを解くのは、純粋な若者の愛だという。2人は惹かれ合い、明日の舞踏会で再会することを誓う。
次の日、お城の舞踏会に各国の王女たちが集まるが、王子は誰にも心を動かされない。宴が終盤にさしかかったころ、悪魔ロットバルトが自分の娘オディール姫を連れてやってくると、王子の心はときめいた。彼女はオデットそっくりだったのだ。そして彼女こそオデットだと思った王子は、オディール姫と愛を誓う。すると、2人の勝ち誇った声が響きわたる。王子は窓の外にたたずむ白鳥の姿を見て、自分がだまされたことを悟る。
あくる日、王子はオデットに許しを請うために湖へ出かける。再会を喜んだ2人の間に、悪魔ロットバルトが現れて2人の間を裂こうとする。王子はロットバルトに戦いを挑む。戦いの末、2人は湖に身を投げる。すると悪魔ロットバルトは倒れ、ジークフリートとオデットは天国で永遠に結ばれる。
。
「白馬の王子様」というと、お金持ちで、よく気がついて、おしゃれな店に連れて行ってくれて、何かの記念日には必ずプレゼントをくれて・・・という男性のことだと思っている人がいるかもしれない。しかし、これは「玉の輿」であって「王子様」ではない。女性はその違いをよく分かっている。
では、「王子様」とはどのような人物か。
(1)ある女性に一目惚れする
(2)その女性と愛を誓う
(3)しかし、その女性は“呪われて”いる
(4)“呪い”を解くために王子は命がけで戦う
(5)王子はその女性と永遠に結ばれる。
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