見出し画像

【VR】遅ればせながらThe Thrill of the Fightをやってみた 【Meta Quest2】

 VRゲームの黎明期からあるこのタイトルは、2019年に発売されてから未だにランキング上位に入るVRボクシングゲームだ。
 VRゴーグルを買う目的は様々だと思うが、VR買ったら誰もがまずやってみるのが音楽に合わせて飛んでくるオブジェクトを壊すたぐいの音ゲー的なゲームか、スポーツ系のゲームだろう。
 一般的なフィットネス系のアプリが結局は音ゲー的な作りになっているのに対して、このゲームはスポーツ系の中でも異色の存在だ。目の前に攻撃してくる敵がいるから、ガチで闘争心を煽ってくる。

購入の前に

 アプリ購入前にもアラート表示されるが、このゲームをするには2m x 2mのプレイエリアが必要だ。この広さは畳2帖分よりも一回り大きい面積だから、日本の住宅事情を考えると案外確保するのが難しいと思われる。この広さが確保出来なくて購入を諦めた人もいるだろう。
 私自身も実はその口で、横方向には2m取れても、前後方向には少し足りないスペースだったため無理だと思っていた。しかし、ベッドを強引に奥にずらすことで前後1.8m(1畳分)は確保出来たのでダメ元でやってみることにした。
 ここからはアプリの公式見解ではなく、あくまで私がやってみた印象の話であるが、このアプリをプレイするには、やり方次第で2m四方までは無くても大丈夫そうだ。
 つまり、セーフゾーンが狭いとリングの中を動き回るようなボクシングは出来ないものの、その場で突っ立った状態で真正面を見たままの試合なら可能という印象。そして、それでも十分に楽しめた。
(とはいえ、ご購入判断は自己責任でお願いします)

購入する

 アプリはQuest内で購入しよう。
 有料アプリのため、購入時にPINを要求されるから、まだPINを設定していない人は予め設定しておこう。

PCでアプリ購入して失敗した話
 私はPINの設定をしていなかった為、まずPCのOculusマイページでPIN設定をした。その際、Quest2に戻るのも面倒くさいのでそのままPC上でアプリ購入したが、その後にQuest2でプレイしようとしたらアプリ一覧にこのアプリが表示されていない。PCとQuest2を何度か行ったり来たりして色々やってみたが駄目だった。
 Quest2をPCに接続してAirLinkにするとアプリ起動が出来たが、今度はゲーム内のプレイエリアがセーフゾーンの外になるという不具合に遭遇。
 仕方がないので一度アプリを解約し、Quest2内で買い直した。

プレイする

 Quest2で設定したセーフゾーンの中央に立って前後左右のスペースを再度確認した上でアプリを起動した。
 ちなみに私の場合、自分の立ち位置の目安として、足元にヨガマットを敷いている。これはお勧めだ。ヨガマットはセーフゾーンよりも十分に狭いから、足裏でヨガマットを感じながらプレイしている限り壁や家具を殴るという事故は最小限に抑えられる。
 アプリ内の様子については色々なYoutube動画が出回っているのでそちらを見ていただくことにして、ここでは個人的な感想を記しておく。

戦いの最中に考えていること

 正直、VRとは言え目の前に攻撃してくる敵がいる状況に置かれると、試合開始のゴングが鳴って以降、敵を倒すことしか考えていない。考えられない。
 そのことは1ラウンド終了後の休憩時に気がつく。
 ラウンド終了のゴングが鳴ると、急に我にかえって、呼吸が苦しいことに気がつく。心拍数が爆上がりしていることに気がつく。鈍った身体には危険な位に疲れ果てて汗だくになった自分がいることに気がつく。
 画面内にあるコーナーの丸椅子に思わず腰掛けようとして、すんでのところで実際にはその椅子がないことに気が付き、床にしゃがみ込む。
 いやぁ、こんな程度でこんなに疲れるのか、と肩で息をする。
 運動不足の私だからこのざまかと思っていたが、普段から鍛えている人でも油断してはならないことは下記の動画を見ていただけば分かる。

 息が上がりまくっているにも関わらず、少し心拍数が落ち着くと、次のラウンドこそ倒してやるという闘争心が復活してくる。そしてラウンド開始の合図を自ら出す。
 これがアドレナリンの効果なのだろうか。
 あんなにも息が上がってへばっていたはずなのに、試合中は夢中でパンチを繰り出している。少しずつ腕が上がらなくなってくるが、それでも相手を倒すことしか考えられない。

 ラウンド終了のゴングが鳴って再び現実に引き戻された私は、またコーナーの丸椅子に座ろうとしていた。実際、その椅子にすぐにでも座りたかった。
 現実の私はゴーグルを外し、床に大の字になった。
 しばらく動くことが出来なかった。危険だ。危険すぎる。

運動負荷

 このアプリ、スペースが確保出来さえすれば、VR内のリング上で自分が敵の周りを動き回りながらプレイすることが出来る。しかし私の環境では単にその場に突っ立ってのプレイだ。時々しゃがみ込む程度のことはしているが、基本その場から動いてはいない(はずだ)。
 それでも、初めてだからか、かなりへばった。いい運動という域を明らかに超えていた。私には十分な運動負荷だ。

 パンチの数を減らしたり、脚を使って動いたりすることで運動負荷を下げることも上げることも出来ると思うので、これはゲームというだけではなくフィットネス的にも使えるアプリだ。

継続性

 まだ始めたばかりなので何とも言えないが、今の心境を正直に言うと、ちょっと負荷が高すぎてまた明日もやろうとは思わなかった。しかし不思議なもので、試合はやらないにしても、アプリ内で出来るサンドバッグを叩くといった程度の練習はやってみたいと思った。次の試合に向けて。
 ふとボクシングで勝つための動きについて考えてしまっていたりする。
 つまりちょっとした中毒性はあるということか。
 これはもしかしたら継続して運動するキッカケになるかもしれない。
 VR内で勝ち上がるために外でロードワーク(ランニング)をしたり縄跳びをしたりする自分がいてもおかしくない。

ゲーム性

 このアプリ、ゲームというよりもボクシング・シミュレーターと言った方が良いかもしれない。
 どのシミュレーター・ゲームにも共通だと思うが、シミュレーターとしての精度が上がる程、万人受けするゲーム性は下がる傾向にある。
 このアプリが実現しているボクシングのシミュレーション精度は高いとは言えないが、単に敵を倒すだけではゲーム性が高いとも言えないだろう。派手な演出もなく、淡々とボクシングに向き合うという志向。
 唯一ゲームだなぁと思う点は、対戦する敵がコンピュータということ。つまりネット対戦は出来ない。ネット対戦すると何かと不穏当なことが起きそうではあるが、やってみたい気もする。
 要するにゲームとしてもシミュレーションとしても中途半端ということになってしまうが、スパーリング・ボクササイズ的な使い方には非常に良い。同じ敵であってもプレイする側のレベルで戦い方や運動負荷が変えられる点も良い。

残念な点

 私が棒立ちプレイをしていたせいかもしれないので本来の仕様で無い可能性があるが、ボクシングとして見た場合、敵との距離感が近くに固定され過ぎている気がした。手を伸ばしても届かない距離に敵がいるとなると踏み込まなければならないから広いプレイエリアが必要となるが、もし広いエリアを確保出来るなら前後の距離感も遊べる仕様になっていると良い。
 また、敵の攻略法がワンパターンと感じた。
 基本、敵のガードは固めなので、ガードを下げさせてから攻撃するということになるが、パターンとしてはそれだけということにもなる。コンピュター対戦なのでワンパターンは仕方ないか。もっとも、この点も私の棒立ちプレイがいけない可能性があるが。

 そして何より、ネット対戦が出来ない点。
 これが出来るとかなり面白そう。
 相手が生身(?)の人間になれば動きはワンパターンで無くなるだろうし、勝った時の喜びも今以上になるだろう。
 もっとも、このゲームのせいで暴力的になる人が増えるとしたら怖すぎるが。『容疑者は「一度本物の人を殴ってみたかった」と証言していて、VRのボクシングゲームを常習的にプレイしていたようです』なんていう報道は聞きたくない。

参考動画

 このアプリをボクシングの元日本チャンピョンがプレイしている動画がある。
 結論から言うと、このゲームをするためにこんなに動き回る必要はない。つまり無駄に動き過ぎている。しかし、こういう使い方をすればボクシングのトレーニングに使えるという例でもある。
 普段鍛えている人がこれほどへたばるような使い方も出来るアプリということだ。この広さが羨ましくもある。

おわり

いいなと思ったら応援しよう!