見出し画像

読書記録:Mapaki

Mapaki 作:Diana Fuemana

パートナーから暴力を受けている人に、家族や友人が間に入ることは難しい。往々にして愛や哀れみに邪魔されてしまう。「彼/彼女は私を愛しているから」「暴力をふるった後に謝ってくれるの」と。

NZ戯曲『Mapaki』の主人公もパートナーからの暴力に耐え続けており、最終的に殺人を犯してしまう。

主人公Fisi はNZで祖母のもと生まれ育ったニウエの若者で高校時代からのパートナーのJasonと暮らしているが、Jasonは酒に酔うとFisiに暴力を振るう。Fisi の友人GinaはJasonから離れた方がいいと再三伝えており、死んだFisiの祖母もFisiが暴力に耐えている時にニウエ語で語りかける。

戯曲を読み終わっただけではニウエ語でなんと語りかけているか分からなかったが、英語翻訳を読んで泣いた。「あなたの父親も祖父もそんな風にではなかった、その男から離れろ」と彼女も語りかけていたのだ。
暴力を受けている間彼女は何度も「これは痛くないんだ」と自分に語りかけていたが、この言葉が引き金となり我慢が爆発する。

ロックダウンや自粛の最中たくさんの人々がDVを受けているが、現状コロナウィルスの影響で、逃れられるシェルターも少ない。誰にも会えず、誰かからの電話やメッセージだけが頼みの綱ではないのかと考えてしまう。積み重なった我慢はいつか爆発する。現にDVが原因の殺人がこの状況下で起きている。1999年に書かれた戯曲だが教えられる事がたくさんあった。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集