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23年の覚悟。


私は、自分の身に起きた事件の犯人を
23年探してきた。
この事件のおかげで、14歳の私は
子供を絶対に産まないと決意した。
なので普通に結婚することは諦めていた。
その気持ちは、生きていれば変わっていくだろうかと
思ったが変わらなかった。
大人になればなるほど、変わることはなかった。

あの当時、自分以外の人間は全員容疑者であった。
中学高校合わせて2700人。
犯人がわからない限り、私は誰にも心を開いては行けないと思った。
殺されるのではないか、
刺されるのではないか、
毎日怖かった。
それでも決して泣かなかった。

やっと今、23年。
23年。
この日を待っていた。
というより、今なのだ。
父と叔父が退任し、私がマスメディアの仕事に就いている今、
事件が風化しない時代になった今、
母が亡くなり
もう真実を知って傷つく人はこの世にはいない今。
今しかない。

だが、また傷つけられるのではないかと
手が震える。
でも、私はもう抱えないと決めた。
責任を持って抱えてきたものについて話し合いたいと思う。



※この話はフィクションかもしれないです。


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