インドにバイオリンを弾きに行く⑤練習!編
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そもそも、今回インドのチェンナイという街に来たのは現地の音楽学校の生徒たちからなるオーケストラ(チェンナイユースシンフォニエッタCYS)に混ざってバイオリンを演奏するのが目的だ。散々食べてばっかりいる(※記事参照)が、グルメ旅をしにきたわけではない。おそらくこの音楽学校は音楽バージョンの塾みたいな感じで、CYSは大体10歳から20歳の生徒たちで構成されている。
インドでは、クラシック音楽がそんなに発展していない。それでクラシック音楽で世界をもっと良くしよう!というイギリスのチャリティ団体キーズオブチェンジkeys of change(通称キーズ)が、CYSを支援している。
今回私はそのkeys of changeの設立者であるパノスPanosに付いて来た。日本からは、もうひとりホルン吹きガールも一緒。
そしてまた、私とホルンガールもキーズの支援を受けて、このインド事業に参加している。
パノスはめっちゃすごい人。Googleで調べると、ピアニスト・指揮者・慈善活動家って出てくる。いつも世界中を飛び回っていて、どの国にいるかよくわからない。ピアニストとして、もう一流中の一流にいるぐらいの技術を持っているのに、鼻高々な感じは全くなく自らのことを
「ど〜も〜変な外人で〜す、よろしくお願いしま〜す」
と言う。「先生」と呼ばないで、ただ「パノス」と呼んで欲しいとも。
私の生意気な意見にもちゃんと耳を傾けるし、私のへっぽこ演奏も全く馬鹿にせず、どんな時も褒めポイントを見つける。でも、妥協はせずアドバイスは求めればいくらでもくれる。
インドに来ている間もずっと多めちゃくちゃコンサートの準備で忙しいだろうに、そんな素振りは全く見せず、私とホルンガールとホテルにあるプールで遊ぼうとする。しかも、水着を持ってきていない私たちのために、合間を縫ってショッピングモールに連れて行ってくれる。
あと関係ないけど、パノスはちょっとせっかち。歩くのが速い。インディアンタイムは結構ルーズで、せっかちパノスは時々うんざりしていた。
練習場に行った初日、生徒のほぼ全員がひとりひとり自己紹介しに来てくれた。そんなにいっぱいの名前を一気に覚えることはできなかったけれど、嬉しかった。私の英語はめちゃくちゃ拙い+インディアンイングリッシュに慣れず聞き取りづらいくて、会話がスムーズではないのに、全く気にせずに話しかけてくれる。
練習中はおとなしいのに、休憩になったら急にうるさいほどに元気。これには、びっくりするほど。練習場の端で床に寝転がったり、地面に座り込んでおしゃべりしていたりする。
あれ弾いて!これ弾いて!とせがまれるが、パガニーニ(超激ムズ作品)なので大概弾けない。もうちょっと簡単なのにしてくれよ...。
あと、話してくれる時の顔が近い。日本人からしたら「初対面なのに、この距離感⁈」と思うほど、めちゃくちゃ近い。
インドの子供達の演奏は、ソリストがいっぱいいる感じで他のパートを聞いてアンサンブルする技術はこれから、な気がした。ずっと大きな音が鳴っていてメロディが曖昧になってしまっている。
オーケストラは、単純に個人個人のレベルを足しただけのレベルにはならない。合計からマイナスにもプラスにもなる。そこが面白い。
私もただ日本から来た学生の1人でしかなく、そこにはキーズの他の先生もいる。部外者が、ありゃこりゃ言ってしまっていいのかすごく迷う。かと言って、先生みたいなポジションになってCYSの子どもたちと上下関係ができてしまって友達みたいになれないのも嫌だなとも思う。
でも、思うことはいっぱいある!どこまで教えていいのか、もしかしたら私の演奏はジャパニーズスタイルで世界的に見たらおかしいかもしれないとも思う。もちろん、自分の技術がまだまだ未熟なことも理解している。
難しいなあ。演奏自体は楽しいし、みんなウェルカムっていう感じで優しいんだけど、考えさせられちゃうなあ。
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