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水溶性食物繊維で腸内環境「爆上げ」確定【後編】

この記事は【前編】からの続きです。

③水溶性食物繊維を多く含む食べ物5選

水溶性食物繊維が多く含まれる食品です。
この図では、4つの食品群に分けられます。

まずは海藻類。
寒天、ひじき、ワカメモズク、昆布

後ほど含有量に触れますが、海藻類に含まれる水溶性食物繊維は、この4つの食品群の中ではもっとも多いと考えられます。

私が住む沖縄では、モズクやアーサ(あおさ)を日常的に食べますし、昆布を炒めて食べるクーブイリチーという家庭料理があります。
海藻類から十分な水溶性食物繊維を摂っているので、私は腸のトラブルが全くありません。

次は野菜。
野菜に含まれる食物繊維の多くは不溶性ですが、もちろん水溶性食物繊維が多い野菜もありますので、できれば覚えてください。
水溶性食物繊維が多い野菜は、
ゴボウ、アボカド、オクラ、モロヘイヤ、春菊

ゴボウに多い水溶性食物繊維のイヌリンは、大腸の入口付近で乳酸菌を中心とした善玉菌を強力に増やします。

モロヘイヤもお薦めの野菜です。 
水溶性食物繊維以外にも、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、ルテイン等、多彩な栄養素が含まれています。

ここにはありませんが、「茹でた大根」も水溶性食物繊維が豊富です。 

果物では、
キウイ、バナナ、リンゴ、イチゴ、桃

年中手に入って価格も手頃なバナナを基本として、季節の果物を食べるのがいいでしょう。

豆類は納豆、きな粉
納豆には納豆菌が含まれ、水溶性食物繊維と合わせて、腸内環境の改善に強く働きます。

それ以外にも
タンパク質、ビタミン、ミネラル、
ナットウキナーゼ、イソフラボン、
サポニンなど、栄養素が豊富です。 

きな粉にはオリゴ糖が含まれ、こちらも
相乗効果で腸内環境を向上させます。
オリゴ糖グラム当たりの含有量は、
ごぼうや玉ねぎ、ハチミツを上回ります。

先ほどの図では抜けていましたが、
海藻類を除いてグラム当たりの
水溶性食物繊維がもっとも多いのは大麦です。

こちらのグラフ右側を見てもそれは明らかです。

比較的含有量が多い納豆、ごぼうの約2、5倍含まれています。

スーパー等では押し麦、丸麦、もち麦として販売されています。

大麦は、ご飯を炊く時に混ぜるだけです。
ご飯を毎日2~3回食べる人は、それだけで適量、それ以上の水溶性食物繊維を摂ることができます。

これだけでも、全ての人に実践していただきたいと思います。
便秘の人は、これだけで解消するかもしれません。

④水溶性食物繊維サプリについて

水溶性食物繊維サプリも、多くはないですが販売されています。
たとえば、イヌリン、オオバコ、アカシア繊維といったサプリがあります。

しかし、食物繊維をサプリで摂ることについては、「かなり慎重に」と申し上げます。

サプリで特定の食物繊維ばかり摂り続けると、それを好む腸内細菌が大量に増えます。
食物繊維で大切なのは多様性です。

大腸に定住できる腸内細菌には限りがあります。
特定の腸内細菌ばかり増えてしまうと、他の腸内細菌の居場所がなくなり、多様性が低下して乱れる可能性があるからです。

食物繊維のサプリを飲みたいのであれば、多種多様な食物繊維がバランスよく含まれている商品を選んで下さい。

その理由もありますが、
まずは食事から水溶性食物繊維を最大限摂取する努力をしてみてください。

食事からの摂取ではどうしても不足しがちな栄養素をサプリで補うのが、私が推奨する予防栄養学の原則です。
安易にサプリに頼る習慣が身についてしまうと、食事が疎かになってしまう、考えなくなってしまうからです。

海藻類、大麦などを食べても全く便秘が解消しない場合には、サプリを検討してみてください。        

⑤水溶性食物繊維と発酵性食物繊維

近年、食物繊維に関する新たなトピックとして、発酵性食物繊維が注目されています。
まだまだ解明途上ですが、分かっている限りを発信します。

以下は、雑誌「Tarzan」2022年9/8号からの抜粋です。

「食物繊維が役立つのは、腸内細菌がそれを発酵して有益な物質を作るから。
腸内細菌がどのくらい活発に発酵するかが重要だ。
ゆえに、発酵性を軸に食物繊維を評価する考えが主流になってきた。
全粒穀物、海藻、イモなどに含まれる水溶性食物繊維は、総じて発酵性が高い。 
(中略)ただし、不溶性食物繊維でも、全粒穀物中のヘミセルロースやレジスタントスターチのように発酵されやすいものもある。」

食物繊維のなかでも、発酵性のものが腸内環境を整えるのにより重要だということです。

従来は、食物繊維は水溶性か不溶性かの比較でしたが、これからは発酵しているかいないのかが重要になってくるかもしれません。

ただし次の図を見ると、発酵性食物繊維は多くが水溶性食物繊維であることがわかります。

含まれる食べ物は、

穀類が大麦、オーツ麦、小麦全粒粉、玄米など。

果物はバナナキウイ。

野菜が玉ねぎ、ごぼう、らっきょう、とうもろこし、アボカドなど。

豆類が大豆、小豆。 

海藻類がワカメ、昆布、ヒジキ、モズクなど。

芋類がさつまいも、長いも。

最後の芋類と一部の野菜を除いて、全て水溶性食物繊維を含む食べ物です。
このことからも、水溶性食物繊維を意識して摂取することが、腸内環境にとって激しく重要だということが分かります。

先ほどの抜粋文の前半部分
「腸内細菌が食物繊維を発酵して有益な物質を作るから」
の有益な物質とは、おもに短鎖脂肪酸を指します。

短鎖脂肪酸は、
腸内を理想的な弱酸性にする
・腸のエネルギーを作り出す材料となる  
・腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する
これらの働きで腸内環境を整えます。

【前編・後編】まとめ

①水溶性食物繊維 健康効果4選   
・便通改善
・善玉菌を増やす
・血糖値、コレステロール値抑制
・有害物質の排除

②水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の決定的な違い

水溶性食物繊維の働きは、便を柔らかくすること。
不溶性食物繊維の働きは、便の体積を増やすこと。

水溶性食物繊維を摂らずに不溶性食物繊維ばかり摂っていると、便が硬くなり便秘が悪化します。

③水溶性食物繊維を多く含む食べ物5選  

海藻類 
数種類の野菜
数種類の果物 
豆類 
大麦

④水溶性食物繊維サプリについて  

サプリで特定の食物繊維ばかり摂ると、限られた腸内細菌が大量に増えて、腸内細菌の多様性が低下する可能性があります。
サプリを飲むのであれば、多種多様な食物繊維が含まれる商品を選んで下さい。

⑤水溶性食物繊維と発酵性食物繊維

水溶性食物繊維のほとんどは発酵性食物繊維でもあり、腸内細菌で分解されて主に短鎖脂肪酸を作り出します。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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