アワガミファクトリー ~阿波和紙 伝統の継承と解放~
阿波和紙の歴史は今から1300年ほど前までさかのぼり、当時朝廷に仕えていた忌部族が麻や楮(こうぞ)を植えて紙や布の製造をはじめたのが起源であると言われています。江戸時代には吉野川流域で作った阿波和紙が隆盛を極め、吉野川市山川町周辺でも数多くの紙製造業者がいたそうですが、第二次世界大戦後は生活様式の変化や洋紙の波に押されて次々に廃業。唯一残った藤森家が1952年に設立したのが、現在の『富士製紙企業組合』です。
『アワガミファクトリー』は阿波和紙のブランド総称であり、『富士製紙企業組合』のほか、手漉抄紙の製造・小売業などを行う『阿波手漉和紙商工業協同組合』と、阿波和紙の啓蒙と継承を目的として設立した『(一財)阿波和紙伝統産業会館』から組織されています。
約2400種類の和紙アイテムを製造
『アワガミファクトリー』ブランドの母体となる『富士製紙企業組合』では、機械抄紙・染紙・和紙加工品の製造や和紙の製本などを行なっています。
手漉き和紙の伝統的な技法[流し漉き]を機械に置き換え量産することができるのが、機械抄き和紙の大きな特性だといいます。天然原料である楮(こうぞ)やみつまたを吟味し、ゆっくりとしたスピードで抄くことで、手漉き和紙と同じような光沢や風合いを活かした美しく強靭な和紙に仕上がるのだとか。今は実用品から美術工芸品まで約2400の和紙アイテムを製造し、伝統的な技術を活かしつつオフセット印刷やインクジェット印刷ができる和紙、インテリア用和紙など、新しい技術も積極的に導入して現在のライフスタイルに合ったモダンな和紙も提案しているそうです。
伝統的な技と最新技術の融合
『アワガミファクトリー』が世界的に注目されるゆえんは、伝統的な技を継承する一方で、最新の技術を積極的に取り入れるしなやかさにあります。
たとえばインクジェット印刷が可能な和紙[アワガミ・インクジェットペーパー(AIJP)]。現代の印刷技術に対応した新しい加工技術の開発にも注力し、トライ&エラーを重ねた結果、2000年に完成した主力商品です。和紙ならではの柔らかなタッチと絵画の風合いを思わせる質感は、国内をはじめ世界の写真家やグラフィックデザイナー、アーティストなどが自らの作品に使用。『阿波和紙伝統産業会館』では、国内外から紙に関するアートやデザイン、写真などの造形に携わっているアーティストなどが制作活動できる場も提供しているといいます。
ウクライナと結ばれた阿波和紙の絆
2022年、ウクライナ西部リビウにある国立歴史公文書館の蔵書の修復作業のため、ロシアから調達していた紙が軍事侵攻の影響で入手不可能に。その時ウクライナが支援を求めたのが、薄くて丈夫なことから修復紙としても世界的に評価が高い『アワガミファクトリー』ブランドの阿波和紙でした。
『富士製紙企業組合』工場長の中島茂之さんは、ウクライナからの支援要請に迷わず応えた理由をこう話します。
「コロナが流行しはじめた当時、和紙の注文はゼロになりました。私たちが作っている和紙の用途は生活必需品ではなく、ゆとりある生活のうえで求められていることを改めて思い知らされました。これがもし戦争だったらどうだろうと」。
事業の根幹が平和のうえに成り立っていることを再認識した中島さんに、支援要請を断る理由はどこにもなかったといいます。遠き徳島の地から一助になればと、『富士製紙企業組合』の製造した阿波和紙8500枚が徳島県を通じてウクライナ大使館に無償提供されたニュースは、各メディアで大きく報じられました。
それは海外向けにも広く事業を展開している『アワガミファクトリー』だからこそ生まれた“平和の絆”とも言えます。
和紙作りの伝統と未来を支える仕事
現在、『富士製紙企業組合』と『阿波手漉和紙商工業協同組合』を合わせて、熟練の職人から若手まで40名の創り手が紙づくりを支えています。『富士製紙企業組合』では、和紙の原料作製から機械操作・裁断・梱包まで色々な仕事があり、職人さんが手取り足取り親切に指導してくれるなかで、ほとんどの人が未経験からスタートしているとか。
また『阿波手漉和紙商工業協同組合』では、1300年以上の歴史を持つ阿波和紙(手漉き和紙)の作成補助・原料作成・製品の検品等を行い、将来は伝統工芸士の取得も可能だそうです。
入社3年目、染め部門で働く中本知汐さん(21歳)は、もともと伝統工芸に興味があって自らも和紙を使った作品作りをしていたといいます。今の仕事について伺うと、充実感にあふれた笑顔でこう語ってくれました。
「和紙には馴染みがあったんですが、和紙を藍で染めた[藍染め和紙]に初めて出会って、そういう面白いモノづくりをしている会社が地元にあることを知って働きたいと思いました。職場はアットホームな雰囲気で、自分の作る商品はやっぱり好きになるし、そこにやりがいも感じています。特に思った通りの染め色が出たときなんかは嬉しいですね。仕事を教わっているときも、“この技術はずっと昔から続いてきたものなんだな”なんて思うこともあって、楽しいです」。
ただいま新たな和紙文化の創り手を募集中!
工場長の中島さんは、伝統産業を守るために一番必要なことは、時代に合わせて変化していくことだといいます。
「和紙の事業や手漉き体験をしていると、国内外から興味を持った人が数多く集まってくれます。コロナ前は海外から年間約3000人が訪問してくれていました。今後も地域と繋がって、世界から人が集まる場所になればと。それが吉野川市や徳島県のにぎわいづくりの一端となれば嬉しいですね。新たに入った若い人たちとともに地域の文化を学びながら、一緒に変化していきたいと思っています。人の手がかかる仕事だからこそ、活き活きと働ける場所にしたい」。
伝統を継承し、その世界から解放する新しい和紙文化の創り手を『アワガミファクトリー』は求めています。
インターン&求人情報詳細
■インターン
・参加条件 随時(但し実施の日程については個別相談)
・対象 学生、社会人
・受け入れ期間 1日~5日間程度
・内容 応募者の学歴や経験、希望を考慮して内容は個別に対応します。
和紙業界の説明や、和紙の裁断、検品など基礎作業を中心を行ます。
・報酬 なし
・備考 (持参品や注意事項など)
・動きやすい服装(面接時にお伝えします)
・メモ帳と筆記用具
■求人
機械抄和紙(きかいすきわし)の製造スタッフ
和紙の原料作製から機械操作、裁断、梱包まで、色々な仕事をしていただける方を募集します。
ほとんどの人が未経験なので、安心してご応募下さい。職人が手取り足取り親切に指導します!
勤務時間 8:00~17:00(休憩時間12:00~13:00、14:45~15:00)
年間休日96日、自社カレンダーあり(土曜日は月1、2回の出勤があります)
夏期、GW、年末年始休暇あり
時間外労働あり(月平均20時間)給与 148,445円~
交通費 月9,000円まで支給
年齢 40歳以下
雇用形態 正社員(採用人数:若干名)
必要な条件等 高校卒業以上
普通自動車運転免許取得、リフト免許あれば優遇勤務地 徳島県吉野川市山川町川東136 富士製紙企業組合
手漉き和紙の製造スタッフ
1300年以上の歴史を持つ、阿波和紙(手漉き和紙)を一緒に作りませんか?
将来は伝統工芸士の取得も可能です。
勤務時間 8:00~17:00
月曜日は和紙会館が休館のためお休み。
月曜日が祝日の場合は、開館しておりますので、翌日火曜日がお休みです。給与 159,030円~(1ヶ月の勤務日数24日)
交通費 月9,000円まで支給
年齢 40歳以下
※新卒者、未経験者大歓迎仕事内容 手漉和紙の作成補助、原料作成、製品の検品等
※手漉作業は腰に負担がかかります。
※使用原料は30kgを超えるものもあります。
※未経験の方でも伝統工芸士が指導しますので安心してご応募下さい。雇用形態 正社員(採用人数:若干名)
必要な条件等 高校卒業以上。
勤務地 徳島県吉野川市山川町川東141 一般財団法人阿波和紙伝統産業会館
技術系、企画系の総合職
機械抄和紙・手漉き和紙の販売・マーケティングに関わる技術系、企画系の総合職人材を募集します。1300年以上の歴史を持つ、阿波和紙を一緒に広めませんか?
勤務時間 8:00~17:00
年間休日96日、自社カレンダーあり(土曜日は月1、2回の出勤があります)
夏期、GW、年末年始休暇あり
時間外労働あり(月平均20時間)給与 200,000円~
交通費 月9,000円まで支給
年齢 40歳以下
※新卒者、未経験者大歓迎仕事内容 2~3年製造現場で勤務後、技術営業、販売・マーケティングに関わる企画運営をしていただきます。海外に販売代理店があり、英語が堪能であれば優遇します。自社インターネットショップも運営をしており、幅広い事業内容に関わっていただくようになります。
雇用形態 正社員(採用人数:若干名)
必要な条件等 高校卒業以上。英会話ができる方尚可。
勤務地 徳島県吉野川市山川町川東136 富士製紙企業組合
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