
組織のトップに必要な「有事対応力」
今日は、組織のトップになってから特に重要だと感じたことについて書きたいと思います。
トップとして求められる能力は多岐にわたります。ビジョンを描く力、リーダーシップ、自分の経営哲学、コミュニケーション力、戦略眼、そしてネットワーク構築など、磨くべきものは尽きません。また、役職が上がるたびに「もっと学ばなければ」という気持ちが芽生えるのは自然なことです。
私自身も、役職が上がるたびに自分の未熟さを痛感し、リーダーとして必要なスキルやマインドを磨くことに集中してきました。その中で特に役立ったスキルのひとつが、意外にも一般的にはあまり注目されていない「有事対応力」でした。
有事対応力とは?
ここでいう有事とは、「突発的」に起きる「大きなトラブル」を指します。
役職が上がると、トラブル対応は日常業務の一部となります。もちろん、トラブルは起きない方が良いのですが、完全に避けられるものではありません。トラブルは「どの組織でも」「起きるのが普通」なのです。
誰かのミスや責任を追及するよりも、いかにスムーズに解決するかが重要です。そして、その対応力こそが役職者の腕の見せ所だと思います。
トラブル対応で大切なこと
1.平常心を保つ 。トラブルが発生しても、感情的にならずに対処することが何よりも重要です。まず大切なのは、「トラブルはどの組織でも起こり得るものだ」という前提を受け入れることです。この認識があるだけで、余計な動揺を防ぎ、冷静さを保ちやすくなります。その上で、お客様や社内に迷惑がかからないよう最善を尽くすのは当然ですが、トラブルが起きた際には感情的にならず、落ち着いた行動が求められます。こうした対応力が試される瞬間こそ、リーダーとしての真価が発揮される場面と言えるでしょう。
2.迅速な対応 トラブルは、発生した瞬間から早急な解決が求められます。迅速な対応を行うことはトラブルをそれ以上大きくしない上でも大事です。それだけにとどまらず、迅速に解決しなければ、自分の他の業務(役職者の職務は多岐にわたります)への支障も出てきます。トラブル対応が迅速にできないために、他の業務を何度も予定変更してしまうと、信頼を損なう恐れがあるため、スピードは大事です。
3.事前準備の徹底 トラブルは予測できないタイミングで発生することが多いものです。そのため、日頃から「仕事をギリギリで回す」という状況を避けることが重要です。通常業務を可能な限り前倒しで進める習慣を持つことで、突発的な事態にも余裕を持って対応できます。特に、「その場で完了させる」という意識を日常的に徹底することで、有事の際に迅速かつ冷静な対応が可能になります。
有事対応力を磨くことのメリット
有事対応力は、組織のトップに求められる必須スキルでありながら、ビジネススキルとして体系的に学ぶ機会は少ないように思います。私はこのスキルを意識的に磨くことで、予測不可能な事態にも落ち着いて対処できるようになりました。
例えば、海外出張中に思わぬトラブルに遭遇することもありますが、これまでの経験が活き、大抵のことは問題なく解決できます。このスキルは、仕事だけでなく、日常生活や旅行中にも大いに役立っています。