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遺伝コードの起源に迫る!生命の設計図はどのようにして生まれたのか? アリゾナ大学
科学者たちは長い間、生命の基本設計図である「遺伝コード」がどのように誕生し進化したのかを探求してきました。この度、アリゾナ大学の研究チームが発表した最新の研究は、生命の起源に関する新たな洞察を提供し、従来の理論を再考する重要な示唆を与えています。
遺伝コードは、DNAの中でタンパク質の構築方法を指示する重要な仕組みで、生命の基本的な特性を決定します。この研究では、生命の最初の共通祖先とされる「最後の普遍共通祖先(LUCA)」に焦点を当てました。研究者たちは、LUCAのタンパク質ドメイン(特定の機能を持つアミノ酸の配列)を解析し、その進化の歴史を辿ることで、遺伝コードに含まれるアミノ酸がどの順序で取り入れられたのかを明らかにしました。
【主な発見】
1.アミノ酸の進化の順序
研究チームは、LUCA以前に存在したタンパク質ドメインに注目し、それらに含まれるアミノ酸の頻度を統計的に分析しました。その結果、生命初期には芳香族環を持つアミノ酸(トリプトファンやチロシンなど)が遺伝コードに後から追加された可能性が示されました。このようなアミノ酸の分布パターンから、現在の遺伝コード以前にも別の遺伝コードが存在し、それが地質学的時間の中で消滅したことが推測されます。
2.硫黄の役割
初期地球では硫黄が豊富に存在していたため、硫黄を含むアミノ酸が生命の進化に大きな役割を果たしたと考えられています。研究者たちは、この知見が地球外生命の探査にも応用できると指摘しています。例えば、硫黄化合物が多い火星やエウロパ(木星の衛星)などの環境で生命の痕跡を探る際に、硫黄を含む代謝や生化学サイクルに基づく手法が有効かもしれません。
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3.遺伝コードの再考
従来の進化モデルは、1952年に行われたミラー・ユーリー実験に大きく依存していましたが、この研究はそれが現実の進化過程を必ずしも正確に再現していない可能性を示唆しています。この新たな視点は、遺伝コードの進化をより深く理解する上で欠かせないものです。
この研究は、生命の進化だけでなく、宇宙生物学や地球外生命の探査にも大きな影響を与える可能性があります。生命の起源に関する新しい仮説は、生命がどのようにして化学反応から複雑なシステムへと進化したのかという謎を解く手がかりとなるでしょう。
詳細内容は、アリゾナ大学が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7