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1万年の人類史に迫る!南アフリカ最古のDNA解析で明らかになった驚きの遺伝的連続性 マックスプランク進化人類学研究所

南アフリカのオークハースト岩陰遺跡から出土した1万年前の人骨のDNA解析により、同地域の住民が過去1万年にわたり遺伝的にほとんど変わっていないことが明らかになりました。この発見は、ケープタウン大学とドイツのマックスプランク進化人類学研究所の研究チームによる共同プロジェクトで実現したものです。 13体の古代の人骨を調査した結果、これらの個体は現代の南アフリカのサン人やコイコイ人に遺伝的に非常に近いことが確認されました。この事実は、過去の南アフリカで人類が他の地域から移住せず、

    • 猫を撫でると静電気が起こる理由―摩擦のメカニズムとその科学的裏付け ノースウェスタン大学

      猫を撫でているとき、パチッと静電気が走る経験をしたことがある人も多いでしょう。この日常的な現象には、どのような科学的な仕組みが隠されているのでしょうか?2024年、ノースウェスタン大学の研究者たちは、この疑問に対して新たな知見を発表しました。猫を撫でるときに発生する静電気の背後には、「摩擦」と「表面の微小な変形」という2つの要素が深く関わっていることが明らかになりました。 静電気は、物体同士が接触した後に離れる際、電子が片方の物体に移動し、一方がプラス、もう一方がマイナスに

      • 初期宇宙には予想よりも多くのブラックホールが存在することをハッブル宇宙望遠鏡の観測で発見 NASA

        NASAのハッブル宇宙望遠鏡を用いた最新の観測によって、初期宇宙にはこれまでの予想を大きく超える数のブラックホールが存在していたことが明らかになりました。研究者たちは、ビッグバン後10億年以内に形成されたこれらのブラックホールが、予想以上に多く、また成長が非常に速かったことに驚きを隠せません。 通常、ブラックホールは非常に重い星が自らの重力崩壊によって形成されますが、今回の発見では、太陽の数億倍、場合によっては数十億倍の質量を持つ「超大質量ブラックホール」が、宇宙の初期段階

        • 初期の暗黒エネルギーは初期宇宙の膨張と銀河形成という二大課題を解く可能性がある マサチューセッツ工科大学(MIT)

          マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、宇宙の初期に「早期暗黒エネルギー」が存在し、これが現代宇宙論における二大課題「ハッブルの緊張」と「早期銀河の形成問題」を解決する可能性を示す新理論を提案しました。この「ハッブルの緊張」とは、宇宙膨張の速度を示す「ハッブル定数」の計測結果が異なることに起因する問題であり、特にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データはこの矛盾を浮き彫りにしています。JWSTは、予想を超えた非常に明るい初期銀河を数多く発見しており、こ

        1万年の人類史に迫る!南アフリカ最古のDNA解析で明らかになった驚きの遺伝的連続性 マックスプランク進化人類学研究所

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        • 初期宇宙には予想よりも多くのブラックホールが存在することをハッブル宇宙望遠鏡の観測で発見 NASA

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          量子物理におけるエネルギー伝達には、まず情報を通す必要があることを発見 東京大学

          東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司教授らの研究グループが、量子物理においてエネルギーを透過させるために情報の透過が必要であることを示す新たな不等式を発見しました。この研究は、特に量子臨界系の共形場理論を対象に、エネルギー透過率と情報量透過率、さらに場の量子論におけるヒルベルト空間の大きさに関連する三つの量の関係を明確化。従来は計算困難とされていたエネルギーと情報の透過率の関係性に、新しい光を当てた意義ある成果です。 研究の

          量子物理におけるエネルギー伝達には、まず情報を通す必要があることを発見 東京大学

          太陽を巨大望遠鏡に変える!重力レンズで宇宙を究極の解像度で観測する新構想

          SPACE.comの記事より、 現在の望遠鏡技術は、宇宙の謎を解き明かす上で重要な役割を果たしています。特に、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、これまでにない高解像度で遠方の天体を観測し、宇宙の初期段階を理解するための新たな視点を提供しています。しかし、科学者たちはさらに強力な望遠鏡のアイデアを追求しています。その鍵となるのが「太陽」です。 太陽の重力は、アインシュタインの一般相対性理論に基づき、周囲の時空を曲げることで光を集める「重力レンズ」効果を生み出します

          太陽を巨大望遠鏡に変える!重力レンズで宇宙を究極の解像度で観測する新構想

          光学迷彩 透明マントが実現する?波動シミュレーションがメタマテリアルの可能性を解き放つ マッコーリー大学

          オーストラリア マッコーリー大学の研究者チームは、光技術を一変させる可能性を秘めた「波散乱シミュレーション」の革新を達成しました。この技術は、光や波動が物質に当たった際にどのように散乱するかを正確にシミュレートするものであり、光ファイバー通信やセンサー技術、さらには次世代のクリーンエネルギーシステムにまで応用可能な広範囲の分野で重要な役割を果たすとされています。 従来、波散乱のシミュレーションは計算負荷が高く、実際の応用において時間がかかりすぎるという課題がありました。しか

          光学迷彩 透明マントが実現する?波動シミュレーションがメタマテリアルの可能性を解き放つ マッコーリー大学

          OpenAIが次世代AIモデル『o1』を発表!深い思考力で複雑な問題を解決へ

          OpenAIは新たなAIシリーズ「OpenAI o1」を発表しました。このモデルは従来のAIよりも多くの時間をかけて深く考えることができ、物理学、化学、数学などの複雑な分野での問題解決に優れています。特に科学やコーディング、数理分野において、博士課程の学生と同等のパフォーマンスを発揮することが証明されました。例えば、国際数学オリンピックの予選試験で、従来のGPT-4は13%の正答率でしたが、「o1」は83%に達しました。これにより、科学研究やコーディング分野での応用が期待され

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          AIとコネクトームの力を組み合わせて、脳細胞の活動を予測する手法を開発 ジャネリア研究キャンパス&テュービンゲン大学

          脳の神経回路をマッピングする「コネクトーム」と人工知能(AI)を組み合わせた最新技術により、脳細胞の活動を驚くべき精度で予測できる新たな手法が誕生しました。ジャネリア研究キャンパスとテュービンゲン大学の研究チームは、ハエの視覚系の神経回路を対象に、AIを駆使して各ニューロンの活動を予測するモデルを構築しました。 従来、脳の機能を解明するには、生体動物を使って個々のニューロンの活動を測定する必要がありましたが、この研究により、接続のデータと回路の目標(この場合は運動検出)だけ

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          NASAの木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー」が2024年10月10日の打ち上げに向けて着々と準備進行中

          SPACE.comの記事より、 NASAのエウロパ・クリッパーは、木星の衛星エウロパを探査するための重要なミッションであり、2024年10月10日の打ち上げに向けて準備が進んでいます。エウロパは厚い氷で覆われ、その下に巨大な海が広がっている可能性があり、地球外生命が存在するかもしれない有力な候補地です。エウロパ・クリッパーは、スペースXの「ファルコンヘビー」ロケットによって打ち上げられ、6年間の旅を経て木星系に到達します。 ミッションの目的は、エウロパの表面や氷の下に存在す

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          人工筋肉でロボットの脚を動かして歩いたりジャンプしたりする技術を開発 ETHチューリッヒ&マックス・プランク研究所

          人工筋肉を搭載したロボティック・レッグが、新たな運動の可能性を開いています。ETHチューリッヒとマックス・プランク研究所の共同研究チームが開発したこの技術は、従来の電動モーターによるロボットとは一線を画し、生物のような柔軟かつエネルギー効率の高い動きを実現しました。 このロボティック・レッグは、「HASEL」と呼ばれる電気水圧式の人工筋肉を用い、電極に電圧をかけることで筋肉のように収縮と伸長を繰り返します。さらに、複雑なセンサーを必要とせず、環境に応じて自動的に調整できるの

          人工筋肉でロボットの脚を動かして歩いたりジャンプしたりする技術を開発 ETHチューリッヒ&マックス・プランク研究所

          光から1次元ガスの生成に成功!?量子効果の未来を開く革新的実験 ボン大学

          ボン大学とカイザースラウテルン・ランダウ大学の研究チームが、光を用いて「1次元ガス」を生成することに成功しました。これは、量子物理学の研究において大きな飛躍とされています。この実験では、光子を鏡で閉じ込めた空間内にガス状に分布させる技術が開発され、光子を冷却し凝縮させることで、従来のガスと異なる「光子ガス」の挙動を観察することが可能になりました。 特に注目すべきは、この光子ガスが「次元性」によって異なる物性を示すことです。研究者たちは光子を1次元空間に閉じ込めることで、通常

          光から1次元ガスの生成に成功!?量子効果の未来を開く革新的実験 ボン大学

          食品着色料「タートラジン」で、生きた動物の皮膚を透明化することに成功 テキサス大学ダラス校

          テキサス大学ダラス校の物理学者であるZihao Ou博士とそのチームは、驚異的な発見を発表しました。彼らは一般的な黄色の食品着色料「タートラジン」を使用し、生きたマウスの皮膚を透明にすることに成功しました。この技術は光学イメージングや医療分野での新たな応用が期待されています。 生きた皮膚は通常、霧のように光を散乱させるため、内部を見ることができません。しかし、Ou博士たちはタートラジンという黄色い染料を水に溶かし、その溶液を皮膚に塗布することで皮膚を透明化しました。染料が皮

          食品着色料「タートラジン」で、生きた動物の皮膚を透明化することに成功 テキサス大学ダラス校

          視覚回復の未来、遺伝子治療で視力100倍改善!ペンシルバニア大学

          ペンシルバニア大学の研究チームが画期的な遺伝子治療の成果を発表しました。視覚障害を引き起こすレーバー先天性黒内障(LCA1)の患者に対して行われた治験で、視力が100倍改善する効果が確認されました。LCA1は遺伝子GUCY2Dの変異によるもので、幼少期に深刻な視力低下をもたらす珍しい遺伝性疾患です。 この治験では、15人の患者が参加し、遺伝子治療薬「ATSN-101」を網膜下に注入しました。低用量、中用量、高用量の3つの投与量が試され、視力改善が短期間で確認されました。特に

          視覚回復の未来、遺伝子治療で視力100倍改善!ペンシルバニア大学

          謎の惑星が宇宙の常識を覆す!不可思議な動きを見せる太陽系外惑星「WASP-17b」を発見 ルンド大学

          スウェーデンのルンド大学の研究者たちが、宇宙の常識を覆す驚くべき発見を発表しました。それは、奇妙な軌道で動く太陽系外惑星「WASP-17b」です。この惑星は、通常の物理法則では説明できない軌道で動いており、天文学者たちを困惑させています。 WASP-17bは、木星のようなガス巨星であり、地球から約1,000光年離れたところに位置しています。この惑星の最大の特徴は、その軌道です。通常、惑星は親星の自転方向に沿って公転するのが一般的です。しかし、WASP-17bは親星の自転とは

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          脳損傷治療の新たな光、エピジェネティック変化がアストロサイトを脳の幹細胞に再プログラムする発見 ドイツがん研究センター

          最新の研究で、脳科学の分野において画期的な発見が報告されました。脳内で神経細胞を支えるグリア細胞の一種であるアストロサイトが、エピジェネティックな変化によって脳幹細胞へと再プログラムされる可能性が示されたのです。この発見は、脳損傷後の修復や再生に向けた新しい治療法の開発に貢献する可能性があります。 まず、エピジェネティクスについて理解することが重要です。エピジェネティクスとは、遺伝子そのものの配列を変えずに、遺伝子の発現を制御する仕組みのことを指します。DNAメチル化やヒス

          脳損傷治療の新たな光、エピジェネティック変化がアストロサイトを脳の幹細胞に再プログラムする発見 ドイツがん研究センター