支え方
-彼の支え方がわからなくなった-
先日彼は俯きながら、でも笑顔を作って私にこう言った。
「見てーここ!」
彼は円形脱毛症になった。
原因は分からない。
だけどその原因の8割は私なんじゃないかとほぼ確で
頷いている自分がいる。
彼の中では様々な見えないプレッシャーや
他人からの期待や自身と他者との比較で
見えない重荷を背負っているのではないかと思う。
仮にそれもあるとして
8割は私が原因だと思う。
いや、きっとそう。
私はそう思い込んでから
彼との接し方が分からなくなっている。
私は隣にいていいのか。
こんなに弱い私なんかが彼を支えられるのか。
彼にとって必要なのは私なんかではなく
休息の時間と、焦らないための時間
楽しむための時間、そして家族との時間
ではないのか。
出会う前は無かった症状。
彼と出会って彼自身に起きた変化は
たくさんあると思う。
その中でも彼は、私と共有した時間が
その大半を占めている。
大きな変化の代名詞としてそこに立ってしまった私は
知らず知らずのうちに
彼に小さなストレスをどんどんどんどん
乗せていってしまったのではないだろうか。
そう思うと、彼にとって大事なのは
私のことを考えない時間をつくること、
私と連絡を取らないこと、
私と会わないという選択肢を取ること
なのではないかと思う。
最近の私は、自分の本当にやりたいことを横目に
やりたくない仕事をやり、言い訳をし、
自分で選んだ道のくせに、文句垂れて
生ぬるい中途半端なところばかり
増やしていっている。
なのにこの自分から抜け出そうとしない。
そのくせ社会の波に揉まれ、
何にもできないし、何もしてないくせに
「しんどい」「疲れた」「辞めたい」
の言葉の連発。
自分のことばかりで嫌になる。
こんな自分が存在することが
本当に情けない。
彼を支えるどころか
隣に並んで歩く資格もない。
私はきっと彼を幸せにできない。
彼を幸せにするためには
私が離れるべきなのに
自分の「好き」を守りすぎて
彼を捕らえたまま離せない意気地なしだ。
大切だから支えたいし
大好きだから一緒に居たい
大事にしたいから守りたい
なのにそのどれもが矛盾するくらい
私は彼にとって
ただの"害"に過ぎないのだ。