-彼の支え方がわからなくなった- 先日彼は俯きながら、でも笑顔を作って私にこう言った。 「見てーここ!」 彼は円形脱毛症になった。 原因は分からない。 だけどその原因の8割は私なんじゃないかとほぼ確で 頷いている自分がいる。 彼の中では様々な見えないプレッシャーや 他人からの期待や自身と他者との比較で 見えない重荷を背負っているのではないかと思う。 仮にそれもあるとして 8割は私が原因だと思う。 いや、きっとそう。 私はそう思い込んでから 彼との接し方が分からなく
ずっとどん底にいる気分 コメディを観ても 笑える映画を観ても 道を歩いてても 電車をホームで待ってる時も 歩いている人を見るだけでも 最近は涙が止まらない その原因を作ったのは 紛れもないこの私 このままどこにも就職出来ないの? 生理がこない 妊娠してるかも… 今後はどうするの? 卒制何も決めてない 家族には期待なんてされてない 彼とずっと一緒に居たい デザインのことなんて考えたくない お金がないと生活できない これら全部が纏まった今に 不安という膜が こべり付いてくる
日が長くなって、18時を回っても夕方の日差しが窓から差し込んでくる。 ひんやりとした風が、カーテンをゆるく踊らせる。 目を瞑るだけで何かに満たされるような中で、私は静かに本を読んでいた。 先日祖父から送られた村上春樹の小説だ。この間授業中に「色彩」という言葉を聞くと「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」を思い出す。と言うと講師が「ハルキラーですか?」と聞いてきたのを思い出した。私は「違います。」とだけ答えた。 スースーと寝息が聞こえる。ふとベッドに目をやると愛しい人が
普段私の前で弱さは見せず、優しく逞しく、いつも笑っている彼。だけど昨日は違った。手を繋いで帰るいつもの道で、いつも以上にデザインのことを考えていた。 家に帰ってチロルチョコを食べながらいつものように談笑していた。話し始めてまた今製作中のデザインの話になった。少し苦しそうな表情を浮かべながら「どうしたらいいんやろうな〜」と頭をくしゃっとしながら彼は布団に背中を預けようとしていた。 「頑張ってるよ、毎日毎日頑張ってるよ」と声をかけた。彼は私の目を黙ってジッと見つめ、少し目を赤らめ
尼崎の駅で開いた電車の扉から入ってくる空気、見える景色に思わず想いが溢れて泣きそうになった。 ''思わず''の部分に詰め込まれている内容がなんなのか私自身この時点では分からないでいるのだけれど、この感情を持っている自分に気づいていながら本を読む時間に当てるのはなんだか勿体ないと思った。 クリスマスを昨日終えた今日。午後八ツ。''この空気''である。 彼はこの電車に乗っていたのか。こうして揺られている間、何を考えていたのだろうか。スマホを片手に何か調べものでもしていたのだろう