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寛大(かんだい)さん、「探究学習」ってなんですか?vol.1 探究学習の本質は「好き」を「知恵」に変えていくこと

2022年度からの学習指導要領に組み込まれた「総合的な探究学習」。今、どのようにして授業に取り入れていけばいいか悩んでいる先生方も多いのではないかと思います。いち早く教育機関向けの探究学習プログラムを提供してきたタイモブCOO・中村寛大(なかむら・かんだい)の視点から、探究学習とは何か、授業を成功させるために必要なことは何かを考えていきたいと思います。

タイモブが考える探究学習

ーそもそも「探究学習」って何ですか?

中村寛大(以下中村):文科省の定義など色々な表現がありますが、僕が説明するときには「ロングライフラーナー(生涯学習者)としての学ぶ態度を養うための機会」だと話しています。

ーというと?

中村:人生100年時代において、前向きに生きていくためには様々な力が求められます。物事をポジティブに捉えていく力や問題解決力など。それらのスキルやマインドを身につけていくプロセスが「探究学習」の本質だと考えています。

少し噛み砕いて、まず「探究的である」とはどういう状態かを考えてみましょうか。
探究的とは、何かの課題に対して仮説を立てて取り組み、その結果からまた新たな仮説を見出して問い続ける、いわゆる研究のようなアプローチをさします。
この連続的な問いを通じて、私たちは、より物事の本質をついていく体験やクリティカル(批判的)に考えていく体験を得ることができます。こうした体験を通して自分自身の価値観を確立していく。このプロセス自体を探究学習と呼ぶ人も多いです。

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(写真は、中村寛大が宮崎県立飯野高等学校で行った出張授業の様子です。)

探究学習において重要なのはテーマよりもプロセス

ー探究学習にテーマは関係ないのでしょうか。SDGsや環境問題などが多い印象を受けるのですが。

中村:それらのテーマが扱われることが多いようですが、個人的には探究学習のテーマに制限はないと思っています。
重要なのはプロセスです。繰り返し問いから仮説を立てて、検証するプロセスを通じて問いと仮説を行ったり来たりするプロセスを通じて、探究的な考え方や学び方を身に付けることで、人生を前向きに楽しめるようになることが目的ですから。

ー問いと仮説を行ったり来たりする……というと?

中村:そうですね、何でも良いので、最近興味を持ってみているコンテンツを教えてもらえますか?

ーうーん。メイク系のYoutubeチャンネルや、SNSのインフルエンサーの投稿が好きでよくみています。……こんなコンテンツでも大丈夫ですか?(笑)

中村:十分ですよ(笑)。例えばメイクを「探究的」に行うとどうなるか一緒に考えてみましょうか。そのコンテンツを視聴する時、どんな知識を得ていますか?

ーそうですね、ファンデーションに陰影をつけることで小顔に見せたり、ハイライトやラメで強調することでメリハリのある骨格に見せたり。メイクのテクニックに関する知識を得ていると思います。

中村:「メイク」という領域の中で知識を得て、自分なりに問いと仮説を立ててみる。ここまでは、おそらくやっていますよね。「ここにこの色を使うと肌の色が綺麗に見えそうだ」とか。
今度は、
・なんらかの法則性が見えてこないか
・他の学問的な側面が発見できないか
抽象化して別の領域に展開できないか
などといった視点でそれらの問いを広げていくとどうなるでしょうか。
一気に探究的な取り組みになります。

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探究的なプロセスで「好き」を「知恵」に変えていく

ーむむむ……。そうですね、例えば、メイクの話題だと「左右対称な顔」が良いとされているんですが、それを他の領域にも広げてみる、といった具合ですかね。

中村:いい視点ですね! そう、そんなかんじです。もっと抽象化するなら「世の中にある美しい形ってなんだろう」とか「美しさは証明できるのか?」とか。そういう問いも面白いと思います。

ー「左右対称=美しい」という概念は、確かに心理学や数学、生物学的な分野にもジャンプできるような感じがします。

中村:一つの領域に絞って繰り返し考えるプロセスも重要な学びではあるんですが、探究学習では「好き」を「知恵」に変えていくことを意識したいですね。そのスキルを身に付ける機会が、冒頭でお話ししたロングライフラーナー(生涯学習者)としての学ぶ態度を身に付ける機会だと考えています。

ーありがとうございました。次回は、「総合的な探究の時間」について、授業を成功させるために必要なことを伺っていきます。


タイモブ探究Laboからのお知らせ

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詳細はこちらからもご覧ください。

学校の先生や教育関係者の方:
興味を持っていただけたら、ぜひ一度カジュアルにお話させください。中学生から大学生まで対象です。お問合せフォームからご連絡ください。

生徒の方:
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探究的な学びを共に探究していく先生たちを募集中!

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これからの教育を担う先生や教育関係者とともに探究学習を共に考え、実践していく「タイガーモブ Teacher’s Community」を立ち上げました。

タイガーモブ Teacher’s Communityとは
中学・高校を始め各種教育機関にグローバル探究プログラムを提供するタイガーモブが運営する、自分らしく生きていく社会と教育の実現のために、探究的な学びの実践機会を提供することを目的に立ち上げられたコミュニティです。
教育の未来について語りあうイベントやオンラインでの情報共有、実践を通じて探究学習をアップデートする勉強会などを実施予定です。

参加資格:
・新しい教育や学びの形を模索している先生
・イキガイを発見する原体験や自分らしさを見つける探究的な学びを実践したい先生
・先生ではないけれど教育分野で何かチャレンジしたい人
・学校や教育を通して100年先のより良い未来や社会、地球を共につくっていきたい人

参加方法:

コミュニティ参加をご希望の方はこちらよりお申し込みください。後日メールにて参加のご案内をお送りさせていただきます。(参加無料)


【終了】オンラインイベント「探究学習の最前線」第一段 「「High Tech High」に学ぶ探究学習の理論と実践」

※アーカイブ動画は、タイガーモブTeacher’s Communityに参加していただくと、ご覧いただけます。

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「タイガーモブ Teacher’s Community」の立ち上げを記念してキックオフイベントを開催します。初回は、一般社団法人「こたえのない学校」代表藤原さとさんにご登壇いただき、探究学習の理論と実践について学び、今後のあり方について考えます。

本連載でインタビューを受けている中村寛大とのトークセッションもあります。

開催日時:2022年2月4日金曜日 19:30-21:00
開催場所:オンライン(ZOOMを使用します)
参加費:無料
参加対象:
・小学校、中学校、高等学校に勤務されている先生
・そのほか教育機関において探究学習の実践に関わる方

イベント参加へのお申し込み、詳細はこちら
URL:https://www.tigermov.com/info/detail/809

Peatixでお申し込みの場合はこちら
URL:https://tigermov-edu-0204.peatix.com/view

今後も随時イベントを開催していきます。
イベント開催情報は、タイガーモブサイト、及び各種SNS上で告知していきます。

タイガーモブがご提供する教育機関向けサービスについて

ティーチャーズコミュニティ (4)

タイガーモブでは、中学、高等学校をはじめ各種教育機関向けに、地球規模で実践するグローバル探究カリキュラムをご提供させていただいております。

探究学習への注目の高まりとともに、各種教育機関の皆様と提携させていただく機会も増え、これまで50以上の教育機関、延べ3,000名以上の生徒の皆様に、数日〜1年間のカリキュラム、講義を行ってきました。また、大学の単位認定プログラムとしても採用されています。

タイガーモブは、海外インターンシップや海外研修で培ってきたネットワークや企画力、ファシリテーション力をベースに、世界を舞台にした探究学習をサポートします。

詳しくはこちらをご覧ください。


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