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【連載小説】平々凡々な会社員が女子高生に!? vol.40 「ダブルデート」

 ダブルデートの場所は2つ隣の市にある遊園地。


 俺たちはフリーパス券を購入する。

「全乗り物制覇するぜ!」

 という松永の声に

「おーっ!!」

 と賛同した。


 まずはやっぱり絶叫系だよね!いそいそと乗り込む俺。横には当然のごとく坂井が座る。

「ドキドキするね!」

 と声をかけると、

「そう?」

 と微妙な返事。

 いざ、スタート!

 ガタン、という音がしてコースターは動き出した。

 最初はゆるいカーブをゆっくり登っていく。

 ミキちゃんと松永は先頭車両に乗っていて、次が俺たちだった。

 一番上に昇る。

 と、一気にコースターは坂を掛け降りた。

「うぉぉおおお」

 という松永の声と、

「きゃああぁあ」

 というミキちゃんの声が聞こえる。坂井は?と思って横をみると、顔面蒼白になっている坂井が。

「ひぃぃいぃぃ、止めて、止めてくれー!!」

 そのまま一回転コースターは回る。景色がぐるっと勢いよく回った。

 坂井は変わらず

「止めて、止めてー!!」

 と叫んでいた。

 俺はコースターを楽しみながらも、横にいる顔面蒼白男を気にかける。

 いつからか、坂井は叫ぶのをやめ、固定レバーのみを握りしめていた。顔面蒼白なまま。


「マサユキ、大丈夫?」

 コースターから降りることができないほど、坂井は意識を飛ばしていた。

 坂井は、やっとの思いでコースターを降りると、その場にへたりこんだ。

「絶叫系だめなら最初に言わなきゃだめじゃん」

 と声をかけると、

「ここまで怖いとは思わなかった」

 と、顔面蒼白なまま答えた。

 以後、坂井はコースターに乗るときは下でお見送り係となった。

 俺の横は誰もいない。つまらない……


 絶叫系をいくつか回ったところで、休憩することにした。

 ジュースをいそいそと買いに行く松永。俺は内心坂井に、ついていってやれよ、と思ったが、顔をみるとまだ蒼白かったので納得した。


 休憩のあとは、お決まりのお化け屋敷だ。

 俺は実はお化けは苦手で……

 坂井とミキちゃんに手を握ってもらって中へと入る。作り物だとわかっていても、びくびくしてしまう。

 ギギィーという音と共にドラキュラらしきものがばさぁっと現れる。俺は腰を抜かしてミキちゃんの手を離してしまった!! 手を離すとなにもできなくなる俺。ミキちゃんたちはさっさと進んでしまった。腰を抜かして歩けない俺。そんな俺の両手を、坂井が握る。坂井が横にピタッとくっついてくれて、かろうじてお化け屋敷を出る。

 俺は涙と鼻水にまみれていた。


 涙と鼻水をハンカチで拭き取ると、続いてはマジックハウスに入る。これも俺の苦手分野だ、ということが今回わかった。

 なぜなら、鏡にうつる自分の姿以外に何かが見えてしまうんじゃないかと気が気でなくなったからだ。

 俺は何度も鏡に突進しながら進んでいった。坂井を従えて。

 マジックハウスも結構怖かった……


 そして昼食。

 売店でホットドッグを買ってみんなで食べる。記念写真も撮った。

 まだ寒い時期だったので、このホットドッグの温かさはホントに心に染みた。


 続いてはメリーゴーランドへ。

 メリーゴーランドは二回乗った。一回目は坂井と馬車に、二回目は坂井に手を振りながら馬に乗った。

 メリーゴーランドは割りと好きだ。なにより可愛らしい。曲もオルゴールミュージックのような感じで可愛らしい。

 そういや、俺の好きなラークアンシエルというバンドのPVにもメリーゴーランドが出てきたっけ。


 一日中楽しく遊んで、夕暮れ。

 お約束の観覧車に乗った。

 てっぺんに行くまで何もしゃべらなかったけど、てっぺんについたとき、俺たちはキスをしていた。そう、自然に。

 観覧車が降りていくときに、坂井が言った。

「ユウ、こないだはごめん。俺、ユウの気持ちの準備が出来るまで、エッチなこと、絶対しないから、許してほしい」

 俺はそれを聞いて返す。

「ううん、私の方こそ、あんな拒否り方をしてごめんね。いつかきっと、マサユキのこと受け入れることができるように頑張るから」

「バーカ、頑張らなくていいんだよ。そのままのユウでいてくれ……」

 俺たちは再び唇を重ねた。

 三月の風は、まだ少し冷たかった。

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ちびひめ
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