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【連載小説】平々凡々な会社員が女子高生に!? vol.03「アルコール」

帰りがけコンビニでお菓子を買う。あとでゲームでもしながら食べよっと。

 ミキちゃんは、帰り道がわからないだろうから、と付いてきてくれている。やはり、持つべきものは『友達』なんだな。今までぼっちだったから気にしたことはなかったんだけど、友達って随分便利だ。こうして言うと誤解を招きかねないな、便利、じゃなくて心強い、かな。


 ミキちゃんは、俺を玄関まで送ると、

「記憶喪失の件、ちゃんと親にいいなさいね!」

と言い残して去っていった。


俺はめんどくさいのがきらいなので、親にはだまっておくことにした。家は留守で、俺は家の鍵を探すのが大変だった。

これは早速合鍵を作らねば。

 妹と俺、どちから先に帰ったほうが開けるように、鍵はポストの下の鉢の下に隠してあった。

 妹も中学生のようだし、そろそろ鍵を持たせてもらったほうがいいだろう。


 鍵を開けて家に入ると、俺は冷蔵庫を物色した。ジュースかなにかないかな、と思って。ふと、缶ビールが目にはいる。あぁ、グビッとやりたい……

今なら誰もいないしばれることないだろう。

 俺はプシュッと缶を開けると、ごくごくと飲んだ。

 そしてふとリビングに目をやると、妹が、ふるふるして立っていた。

「お姉ちゃん、み、未成年なのに!それに、それ、今日のパパの分だよっ?!」

 あー、めんどくさいことになった。

 俺は残りもごくごくと飲み干して、振り返って言った。

「母さんに言ったら、ただじゃおかねぇぞ?」

妹はあまりの迫力になにも言えず、コクコクと頭を動かした。


 それから妹はダダダッと二階の自室へ駆け込んだようだ。


 俺はさっき買ってきたお菓子で、ゲームでもやろうと思い、テレビの方へ行きかけて、目の前がぐるんぐるんする異変に気がついた。まさか、もう酔っているのか?!

 どうやらそうらしい。

 ついでに吐き気がしてきたので、シンクまで戻って、吐いた。

実はまだ、この家のすべてを把握しているわけではない。従って、トイレの場所がわからない。だからシンクに吐いたのだ。

 辺りいったいに嘔吐と酒の臭いが漂う。これはヤバいなと思い、ジャージャー水を流した。ついでに自分も水を飲んだ。



 やっと落ち着いてきたのは、17時すぎだった。


 俺はテレビのあるところまで行き、ゲームを探した。

 あった。わかりやすいところに小綺麗にまとめてあった。

 俺はゲームを取り出すと、セットし、そのままの格好で、片膝立てたままお菓子を持ってきてゲームを始めた。

 妹と二人姉妹だからか、あんまりゲームのラインナップが面白くない。

俺はテトリスを始めた。


 どのくらい経っただろうか。母が帰ってきた。時計をみると、18時半だった。

「お帰りー」

 俺はゲームから目をそらさずそう言った。


 すると、母が、

「いつまでそんな格好しているの? それに、なに、その行儀の悪い態度は!」

と怒った。

「行儀……悪い?」

俺はそこのところが理解できず聞き返した。

「そう! 女の子がそんな片膝立ててゲームだなんて! それにお菓子を床に置かないの!」

あぁ、そういうことね。

俺が立ち上がって片付け始めたら、

「すぐ着替えて夕飯手伝いなさいよ」

とさらに一言浴びせられた。

「はいはい」

「はいは一回でよろしい!」

「はーい」


 俺は部屋に帰り、洋服を物色した。

 なにこのタンス。スエットとかないの?ないかぁ〜あるわけないかぁ〜。俺、女子高生だもんな。

 無難にパーカーとジーンズを選び、着替えた。

着替えるときに、ふと思い出して、ブラをつけてみた。うまくできたかな?少し違和感あるけど、こんなもんか。

 俺は俺の身体を姿見でまじまじと見た。

 結構美形なんじゃない?

 胸も大きくはないけど、小さくもないし。スタイルはまあまあ、上出来なんじゃないかな?


 姿見をまじまじと見ていると階下から母が

「早く着替えてきなさい!」

と、苛立った声をあげているので、急いで階下へ行った。

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