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【連載小説】俺様人生 vol.17「弁護士」

それからはほぼ毎日、バスケットのジュニアスクールの写真撮影に精を出す。

もらえる額は月一万円。

それでも、ないよりましだから、頑張る。

アスカから買ってもらったこのカメラで頑張る!


撮ってきた写真と動画はそれぞれアップサイトに載せる。

サイト作りも順調だ。



アスカの給料は俺が管理することにした。

一切のカードを出させた。

使ってない郵貯の通帳だけ、アスカには持たせて、小遣い制度にした。


俺はまだ嫌なんだけど、アスカはタバコをやめない。

だからタバコを買えるだけの額を週一回与えることにした。


それなのに、パチンコに行っている日があるようだ。


こっちに引っ越してきてすぐ、アスカは車を壊してしまい、いつも自転車だ。


しかし、自転車で行ける範囲に一つだけ、パチンコがある。


俺はその日、出掛けてくると言って、アスカの様子を見た。

俺が行ってすぐに家を出るアスカ。

アスカが向かうところは一つしかない。

例のパチンコ屋につくと、俺はアスカの自転車を探す。


ビンゴ!


アスカはパチンコに来ている。

でもなぜ……?

給料関係も全部押さえたし借金に関しては言わずもがな。


俺は店に入り、アスカを探す。

ちょうどうち始める前だったようで、コーヒーを片手に持っている。

「な……んで……レンくんがいるの?」

相当動揺している。

俺は静かにアスカに近づいた。

まだお金は使ってないらしい。

財布を開けると二万円入っている。

「これはどういうこと……?」

アスカは全てを観念したかのように話始める。


ブログで一番仲良しな子とSNSで親しい友人から、郵貯を通してお金を借りたらしい。


もちろん郵貯の通帳は取り上げた。


それ以上に借金はないか追及する。

それ以上はない、とアスカも呟くように言った。

結局手元にお金があると使ってしまうのだ。


俺は通帳を秘密の場所に隠した。



隠して安心していたのだが、どうもアスカの様子がおかしい。


俺は定期的に通帳記帳をするほうだ。

記帳して驚いたのは、傷病手当てを全額おろしていたことだ。

またしてもパチンコにいってしまうアスカ。


しかし、司法書士に言われた積み立て金にだけは手をだしていなかった。

それだけが救いだ。

家に帰ると、俺は怒鳴り散らして怒った。

アスカは泣きながら謝るしかない。

これは病気のすることだ、とわかっていて、いやわかっているから、無性に腹が立った。

いらつくあまり壁を殴って穴を開けてしまった。

こりゃ引っ越しのときに高くつくな、ふと冷静に思った。



司法書士に自己破産の準備ができたと言われた。

あとは弁護士の先生を紹介された。

弁護士も裁判所も、事件発生時の住所の管轄で行われる。


俺たちは朝から行きやすいように、裁判所から近いラブホに泊まった。

外泊自体が初めてだから、ちょっとした旅行気分になる。

コンビニで買ってきたチューハイで、自己破産の成功を祈念して乾杯する。



何度怒ろうとも治らないアスカの病気。

半ば諦めつつ、どこかで期待していた。

それでも別れなかったのは、情ではなく愛情だと思う。

そうでなければやっていけない。

俺は切羽詰まっていた。

救いなのは、アスカが普段は家庭的で優しいこと。

俺が惚れ込んだ女だ、最後はきちんと決めるだろう。

そう信じていた。


第一回目の裁判は簡単な事情聴取、というか、事実確認だけで、10分もたたずに終わった。


あと一回、来ないといけないらしい。


幸い弁護士さんも親切な方のようで、アスカも頼りにしている。


あと一回、約一月後にくるときまでに、アスカが治ればいいな、と思った。

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