ギフティング系とコマース系で配信者に求められる能力は異なるよね、という話
あくまで私が個人的に感じていることではありますが、参考になれば幸いです。いろんなコンテンツや配信者について書いてますが、どっちが良い、悪いという優劣の話をしているわけでは全く無いので、そこは予めご理解ください。
■言葉の定義やイメージが人それぞれなので、議論するときは前提を揃えてから!
そもそも「ライバー」の正確な定義はなんでしょうか?
一般的にYouTuberはYou Tubeチャンネルで継続的に動画を配信している個人や組織のことを指すそうです。
とするとライバーは継続的にライブ配信をしてる人のこと、という感じでしょうか。
さらにライブ配信を本業にしてる人(稼いで食っている)であれば対象はさらに限定されます。
そして「ライバー」と聞いて思い浮かべる人物像も人それぞれです。
最も多いのが「キラキラしている」「若くて容姿端麗な人」。いわゆるSHOWROOMやポコチャなどのギフティング系プラットフォームの配信者です。こんな感じですよね👇👇👇👇
「投げ銭」と「ギフティング」の違い
なお、「投げ銭」と「ギフティング」はほぼ同義語として使用されることが多いですが、実際は意味合いが微妙に異なります。
投げ銭・・・良質なコンテンツの対価。類義語はおひねり。
ギフティング・・・「期待・応援を込めた贈り物」を含む。投げ銭よりも幅広い意味を持ちます。
そのため私は基本的にギフティングという言葉を使用しています(あえて分かりやすく説明するために「投げ銭」と言うことはあります)
この業界は言葉の定義や認識が人によって様々なので、議論するときはしっかり前提を揃えてからにしてください。
■コンテンツによって配信者に求められる能力は異なります。ごっちゃにするとキャスティングや企画構成をミスります。ご注意を!
そもそもライブ配信コンテンツの種類は?
配信目的やマネタイズで分けるとこんな感じです👇
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・ギフティング系:SHOWROOMやポコチャなど
・コマース系:有形・無形商材の取引目的での配信(と定義させてください)
・定点カメラ:渋谷のスクランブル交差点や亀戸のお弁当DELIなど
・その他:舞台やアーティストの公演やウェビナーなど。チケット制が多い。
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ギフティング系ライバーの強みは「自己プロデュース力」
特に日本ではギフティングとコマース配信者がごっちゃになっている傾向が強いと感じています。
前述した通り、いわゆるライバーのイメージはギフティング系プラットフォームでの配信で一定稼いでいる人。
彼らの強みは「自己プロデュース力」です。どのようなコミュニケーションをすればファンが増えるか、喜ぶかを熟知しています。稼ぐギフティングライバーは、自分を売り出す力、応援してもらう力を非常に持っています。
一方で彼らはコマースに求められる「商品プロデュース力」は持ちにくいです(と私は感じています。)ファンの属性傾向も、コマースとは親和性が低い傾向があるかと。
例えば男性ファンが多い女性ライバーが、ファンに女性向け商品を売っても効果ないですよね、ということです。
もし売るなら「これの売上個数でランキングが決まるんです!」みたいな、いわゆる「買って私を応援して!」メッセージングが良いでしょう。
とは言いつつ、、、、本質的・長期的な視点でスポンサーが望むことなのか?はよく考えなければなりませんよね。
(もちろんコマース番組に出演されている方も知っていますが、ご自身でアパレルやブランドを経営するなど、商品プロデュースやビジネス経験がある人がほとんどですし、数は少ないです)
コマース出演者の必要要素はこの4つ!
コマース出演者の必要要素はこの4つだと考えます👇👇👇
①商品イメージを毀損しないブランド力と信頼性
②スポンサーや視聴者が求めていることをアドリブでも言える力
③(大型配信の場合)台本読み込み&リハ&本番といわゆるテレビの生放送ばりのタイムスケジュールについていけるプロ意識
④(インハウスの場合)商品やサービスを熟知し熱く語れる知識力
私はここ数年で多くのコンテンツに携わってきましたが、①〜③を満たすのはやはり大手事務所に所属するプロの芸能人が強いです。
彼らは自身の行動や発言一つでどれだけお金が動くかを理解してますし、スポンサーや視聴者が何を求める配信かを一瞬で察し、
商品イメージを毀損することなく、適切なアクションをしてくれます。アドリブ力や空気を読む力はさすがなんですよね。
一方、インハウスで小規模にやりたい!という場合は④がポイントです(詳細は後述)
なので「ライブコマースにはまずどんな人が必要でしょうか?」と聞かれたら「いわゆるテレビに出演している芸能人(や有名インフルエンサー)、または、商品やサービスに携わる事業者ご自身は絶対出てください」と私はいつも答えています。上記どちらを選ぶかは企画内容や紹介商品や予算で判断すればOKです。
ライブ配信未経験者でもライブコマースは十分できる!
よく「ライブ未経験者の事業者よりも、ライブ配信経験者(ライバー)のほうがコミュニケーションがうまいんじゃ?」と心配する人がいますが、
コマース系ならリアルで接客できる程度のコミュニケーション力と身だしなみがあれば全く問題なし、大丈夫です。
どんな人も1〜2回出演すれば慣れます!めちゃくちゃ緊張してたのに開始15分で慣れて楽しく会話してる方をたくさん見てきました。
ちなみに私の中で「なぜ事業者が良いのか?」には明確な答えがあって、
・商品について理解がある→どんな質問にも答えれるので視聴者の購買促進につながる
・製造背景や熱意を語れる→「アウトプットではなく背景や過程に共感し出資する」いわゆるプロセスエコノミー(という概念)を体現できる
・事業者の顔がわかるので「誰から買うか?」の信頼を作り出せる→野菜に製造農家の顔写真が貼ってあるのと同じ
なんですよね。つまり「どんな人でもライブコマースにチャレンジできますよ」ということです💪
商品理解に乏しい誰かに下手に頼むより、
事業者ご自身で熱く語ったほうが視聴者の心を動かせるというわけです。(人件費も減らせます)
長々と書きましたが伝えたいのは
ギフティング系配信者≠コマース系配信者だし、一言でライブ配信コンテンツといっても配信者に求められる資質は異なるので、
キャスティングや企画構成時にはご注意ください!ということです。
ちなみに『売れるライブコマース入門 』の著者、松村夏海さん(株式会社Tailor App代表取締役社長)も著書のなかではっきりと「ギフティング系ライバーはライブコマーサーになれない」と述べており、同様の考えの方は一定数いるのだなと思いました。
よく知り合いから「日本にはライバーが増えたのになぜライブコマースコンテンツはそれに比例しないのか?」と質問を頂きますが、つまりそういうことなんです。
(ライブコマースが増えたかどうかの議論はまた置いといて。ちなみに中国と直接比較するのは非常にナンセンスです)
そして今回はあえて「ライブコマーサー」という言葉を使いませんでした。
この言葉も定義が曖昧で、認識がごっちゃになりやすいからです。
この話だけで1記事書けると思ったので、また機会があれば書かせてください。
今回はこの辺で!