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テクノロジーで切り拓く認知症の未来[前編]

認知症プラットフォームの構築を目指しているTheoria technologiesは「認知症との向き合い方を、テクノロジーで変えていく」というミッションを掲げています。ここでは、Theoriaのテクノロジー部門を率いるCTOの岩田が、Theoriaの事業の現在と未来について語ります。


Theoria technologies 執行役員CTO
岩田 和宏(いわた・かずひろ)
画像処理系の研究開発、医療用の3D画像診断アプリの開発、スマートフォンやWeb開発、マネジメント業務に幅広く関わり、複数のプロジェクトをリード。ストリートアカデミー株式会社、JapanTaxi株式会社(現GO株式会社)、株式会社IRISにおいても取締役CTOとして技術組織のリーダーとしても牽引。前職のパイオニア株式会社では常務執行役員CTOとして、同社の技術革新と開発組織の成長を牽引した。2024年2月より現職。
趣味はトレイルランニング。月に1度の大会参加のため全国行脚中。

認知症という社会課題への挑戦

これまでの自分のキャリアを振り返ると、「社会的価値を創ること」が重要な軸となっています。
子どもの頃から科学が好きで、大学・大学院では物理学科で少しマニアックな勉強をしてました。
社会人になる際、そもそも何のために働きたいかと考えた時に、社会の安心安全という根幹的な部分を担いたいという思いから、セコムでキャリアをスタートしました。セコムでは、医療からロボット工学まで幅広い研究開発に携わる機会があり、社会の役に立てることや、大きな裁量を持って仕事に取り組めることが魅力でした。

その後は医療業界で画像診断のアプリを作ったり、教育、地域交通など社会インフラの分野でソリューションやプロダクトを開発してきました。それぞれ規制も多い業界で変革が難しく、大変なことも多かったですが、その分非常にやりがいがありました。
45歳という年齢を迎え、自分の人生に残された大きなチャレンジはあと1〜2回程度かなと考えて、次は何に取り組むかを慎重に検討しました。

もう一度医療業界で挑戦したいという思いはあって、『アルツハイマー征服』などの書籍を読んで、認知症について調べていくうちにまだ解決されていない課題がたくさんあることを知りました。何とかしたいなと考えていた時期に、内藤 景介CEOと面会する機会があったんです。
そこで、認知症領域においてトップランナーであるエーザイが、認知症の早期発見が大切だと認識していて、真摯に認知症に向き合う鉄のような意志、本気度を目の当たりにします。

私は前職のパイオニアやJapanTaxi(現在はGO)の経験から、事業においては、最後までやり続けることが重要だと考えています。「ラストマン・スタンディング」というか、諦めず粘り強く最後まで続けたものが勝ち残ることができると。

だからこそ、Theoriaであれば、認知症という困難な課題に対しても継続的に事業に取り組めると確信して大きな可能性を感じましたし、立ち上げのタイミングでTheoriaと出会えたことも大きなチャンスだと直感し、ご縁があってCTOとなりました。

認知症課題に向き合うTheoriaの社会的価値

言うまでもなく、Theoriaの事業は社会的価値が非常に高いと感じています。

小学生の頃に、私の祖母が認知症の当事者となりました。その経験は今でも心に深く刻まれています。祖母は最期まで私の名前を覚えていてくれましたが、徐々に記憶を失っていく過程を目の当たりにし、治療法のない病気の現実を痛感しました。

自分自身の経験からも認知症が抱える課題を劇的に変えたいですし、創薬だけでない認知症の課題に対するソリューションはたくさんあると考えています。

Theoriaが取り組んでいる「認知症プラットフォーム」というチャレンジは、断片的なソリューションではありません。ペイシェントジャーニーの長い認知症の当事者様、そのご家族、医療関係者、介護の関係者など、すべての認知症に関わる関係者が抱える課題全体を見渡し、それらを有機的に結びつけながら解決していく包括的なアプローチです。
この認知症プラットフォームは、ソリューションマーケットプレイスのようなイメージで、ユーザーの立場や状況、悩みや不安に応じて、最適なソリューションを提供することを目指しています。

認知症プラットフォームについては、こちらの記事をご覧ください。

3つの事業領域とそれらを横断する領域でのサービス展開

従来の事業展開は、1つのサービスを作って、それを横展開していく形が一般的だと思いますが、Theoriaでは異なるアプローチを取っています。
生活者・認知症当事者様の課題に合わせて、「そなえる」「つながる」「ささえる」という3つの事業領域と、それらを横断する「てをとる」領域で、サービスを同時並行で個別に開発しながら、徐々にそれらを連携させていきます。そして、これらをシームレスに連携させることを目指しています。

3つの事業領域とそれらを横断する領域の関係性

最初は薄いつながりから始まり、徐々に結びつきを強めていく形で会員基盤の共通化なども含め、複数のサービスを有機的に結合させていきます。複雑で難しいチャレンジだからこそやりがいがあり、Theoriaならできると信じて日々取り組んでいます。

4つのスタートアップを同時に立ち上げ、統合していくような挑戦的な環境を面白いと感じられる方とぜひ一緒に働きたいですね。


創業1年のTheoriaが現在取り組んでいること

現在はすでにリリースしているものに加え、さまざまなサービスがシーズの段階にあり、開発や構築が進んでいます。

2024年11月現在、リリースしているTheoriaのプロダクト・サービス

テック部門の主な役割は、新規サービスの可能性を見極め、必要な技術連携の枠組みを整備し、それらを軌道に乗せることにありますが、最近特に意識しているのはそれらの交通整理と適切な方向付けです。

チームメンバーのやりたいことを大切にしながらも、全体としての方向性を見失わないよう導いていく必要があると考えています。個々のプロジェクトが独自の道を進みすぎると、サービス間の連携が弱くなったり、全体のバランスが崩れたりする可能性がありますよね。

そのため、ユーザーの入口から出口までの体験を常に意識しながら、各サービス間の調和を保つことを大事にしています。


CTOが考えるTheoriaの最大の強みとは

Theoriaは認知症に特化したプラットフォームを構築するという明確なビジョンを持っていて、エーザイグループの一員として医療関係者とのネットワークや研究成果、エビデンスを活用できる環境があることは他社にない強みだと感じていますが、最大の強みは間違いなく「人」です

職種を問わずみなさん非常に優秀で、誇らしく思っています。認知症課題に対する共感と解決したいという強い意思があり、入社前から現在の会社の状況を考えられる想像力があって、また、不確実な状況を楽しめる柔軟性や、それぞれの仕事をやりきる前向きな態度もあります。

幸いなことに立ち上げフェーズにも関わらず、テックチームではインフラ、SRE、プロダクトマネジメント、バックエンド、AIなど、それぞれの分野でプロフェッショナルな経験を持つ魅力的なメンバーが集まってくれています。

テックチームは雰囲気的にも穏やかで落ち着いていて、お互いを尊重しながら、みんなでディスカッションを重ねて常に新しいアイデアや可能性を模索し続けています。このフェーズにはない細かなルール、技術標準などもこれから一緒に作っていける頼りになるメンバーだと思っています。

(後編に続く)



Theoria technologiesでは、エンジニア含め、様々な経験を持った方を積極採用しています。日本に限らず、世界的に大きな社会課題である認知症、一緒に様々な解決策を創り、社会的インパクトを創出していきましょう。