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古本市で購入した『当世百道楽』堀内新泉

 以下の記事で取り上げた先日の古本市で『当世百道楽』堀内新泉(文正堂書房, 1916年)を購入した。同じく以下に表紙と奥付を写真で載せておきたい。

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『当世百道楽』は様々な道楽(趣味)に興じる人々の様子がおもしろおかしく綴られている。読書道楽、玩具道楽、帽子道楽などイメージしやすいものから貧乏道楽、葬式道楽、便所道楽など聞き慣れない趣味も紹介されている。お金があるので風変わりなことに使っている人々、お金に余裕がないのになぜか自分の趣味に使ってしまう人々がこの本の中で紹介されている各趣味に共通していることであるが、多くの人が冷ややかな目で見られている。いつの時代も変わった趣味人へのまなざしは中々厳しいものであったようだ。これには広い意味で在野研究をして職場から好奇の目で見られることが多い私には共感できるものがある。

 奥付によると、堀内新泉はペンネームで本名は堀内文麿というらしい。私はこの本を購入するまで堀内新泉という作家は知らなかったが、以下の記事によると、『日本近代文学大事典』にも立項されているという。

『当世百道楽』を含めて堀内の作品は国会図書館のデジコレで閲覧できる。堀内の作品は多く出版されているので当時はそれなりに知られた作家であったと思われるが、没年が不明である。私も当時の『日本紳士録』、『昭和物故人名録』(日外アソシエーツ, 1983年)、秘密兵器である研究同人誌『二級河川19』(金腐川宴游会, 2018年)に掲載しているトム・リバーフィールドさん「昭和前期の東京堂版『出版年鑑』に掲載された訃報一覧」を調べてみたが、堀内の名前はなかった。デジコレでは、1930年代まで本を出版していたことが確認できるが、後年の動向は謎に包まれている。デジコレで公開されていると言っても、堀内の本は現在ではほとんど読まれていないだろう。

 

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