雑誌総目次の落とし穴―加賀紫水の『土の香』の総目次は信用できない?
に 皓星社様のメルマガで連載されている小林昌樹さんの「在野研究者のレファレンス・チップス」の今月分で紹介されているように、様々な雑誌を調べる時にたよりになるのはその雑誌の総目次である。総目次は雑誌によってまとめられたり、各巻の最終号に目録が付いていたりする。拙noteでも度々紹介している加賀紫水の発行していた雑誌『土の香』は各巻の最終号にその巻の総目録が載っている。
基本的には頼りになる総目次だが、雑誌によってはこの総目次が信用できないこともある。
先日、Taniguchi Joy様より上記に引用した記事のコメント欄に『土の香』に掲載されている民俗学研究者・内田武志の「静岡県片足飛方言」という文章が掲載されている号数に関するコメントをいただいたので、『土の香』を調べていた。第8巻第6号の第8巻総目録を確認すると、内田の文章は第8巻第1号に掲載されていることが分かった。
しかしながら、この総目録の情報は間違っていることに気が付いた。私が『土の香』の現物を確認した際のメモでは、内田の文章は第8巻第1号でなく第8巻第2号に掲載されている。また、第8巻第3号に服部四郎が「「土の香」第四十三号の「アクセント研究」を読みて」という文章を投稿しているが、第8巻総目録では「アクセント研究」は第8巻2号(通巻43号)でなく、第8巻第1号(通巻42号)に掲載されている。以上の事から第8巻総目録は第1号と第2号が逆になっていることが分かった。
今回勉強になったのは総目次があったとしても必ずしも正しいとは限らないということだ。ある雑誌の総目次を作成する時も可能であれば雑誌の現物を確認した方がよいだろう。特に『土の香』のような個人が発行していた小さな雑誌の場合、総目次と実際の目次が一致しているかどうか、今回のような間違いがないかどうかなどの確認が課題となるだろう。もっとも『土の香』の場合、雑誌そのものにアクセスすることが非常に難しいので、そこも課題であるが。。。