続・資生堂パーラーでバイトしていた夫
なんで結婚という流れになったの?
昨日ふとこのような質問を受けた。流れですかねえ、と有耶無耶に説明するが、人はその流れの詳細が知りたいのだ。
流れ、という回答以上の詳細が知りたいと聞かれたら、答えることもできるが、話そうとするとなんともいえない気持ちに苛まれる。
人生の詳細を人につまびらかにするのは、自分の気持ちに反する行動に値するからだ。
また、夫のことを説明するときに、相手に気を使って自分の夫を下げた言い方をしてしまうことがある。「いやあまだ子供なんですよ」みたいな。
一方で本音は「いやあまだ子供なんですよ(と言いながらも、これから成長する未来しか見えないし、伸び代しかないし)」であり、かっこがきした心の声(ちょっとギャル調)が口から出せずにいるのが日常だ。
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数日前、朝起きたら夫が珍しくキッチンに立ち、とんとんとん、という音を立てていた。リビングに向かうと、テーブルの上に、私のお気に入りのパフェグラスに苺が盛られている、と思いきや苺の下には柿も潜んでいた。
苺は縦に切ることで甘味と酸味が均等になるから、この切り方で食べるのがいいよね、と会話しながら頂いた。
柿は甘すぎて好きじゃない夫が、苺の酸味と掛け合わせたら食べられるのでは、という発想のもと考案したトライフル。結果は大成功。美味しい美味しいと言いながらパクパク。元々どちらのフルーツが好きな私も、掛け合わせることでよりおいしさがパワーアップしているように思った。苺も、柿と一緒になることで、新たな力を発揮していた。
甘酸っぱいだけじゃないのよ、相手が甘いときには酸っぱさだけを押すことだってあるの、と苺の声が聞こえてくる。
食べ終わった後は、「姿勢悪い堂パーラー」と言いながら、夫が猫背の状態でお皿を下げていった。姿勢が悪いのはいつもそうなのだが、資生堂パーラーでバイトしていた、という持ちネタと合わせて、ふとしたタイミングで擦り続けてくる。
数回前のnoteでも触れた通り、フルーツカットが上手な夫はフルーツを切るたびに、「資生堂パーラーでバイトしていた」と言ってくる。今回はそれに自身の姿勢の悪さを掛け合わせたギャグを、呼吸をするようにはいてきた。
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なんで結婚に至ったのか、という冒頭の問いかけに答える場合、様々な要因があるが、一つ言えるのは、くだらなさのレベルが一緒ということだ。姿勢悪い堂パーラー、と聞いて、店員全員猫背の資生堂パーラーを頭の中で想像して面白がったり、後続のお店として「姿勢どう?パーラー」(猫背矯正中の店員で溢れかえる資生堂パーラー)を妄想したりと、くだらないギャグを考えては互いに伝え合い、面白がる。すっごくくだらないけど、楽しくって、毎日笑っていられるから、結婚したのだと思う。
夫を下げた言い方をしてしまうことに対する申し訳なさを感じていたので、その気持ちを少し晴らそうと、今日は夫を讃える日記を記そうと試みたのだが、うまくいったのかはよくわからない。
とにかく、子供っぽいところは多少あれど、私にとって現状最高のパートナーである夫に、この場を借りて感謝をしたい。というわけで残り少ない2023年も一緒に笑って過ごしていきたいと思う。
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