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【ハリボテ短歌集】 vol.4 流れる水のハーモニー

風呂上がり あの缶ポカリで乾杯 楽園までのウェルカムドリンク

東名を追い抜いていくどこまでも 協力だとは知る由もなく

深夜2時 酔った勢いそのままに昔のタメをインスタフォロー 

それぞれの消費者思うウィスキー 澄んだ涙は流れる水面

タクシーの慌てっぷりを見ていると資本主義ならでは 大手町

東京に並んだ桃はぷよぷよのフィーバーモードみたいに売れる

あの日から何も変わらずサラリーマン それなら僕は手術を受ける
(第236回タカサ大喜利倶楽部)

ばあちゃんの1万円がエネルギー もらったままで使っていない
(第236回タカサ大喜利倶楽部)

参加した記念に漆の小物入れ もらったままで使っていない
(第236回タカサ大喜利倶楽部)

移動した Google Map現在地 そんなことより家が燃えてる
(第236回タカサ大喜利倶楽部)

全日本アイスホッケー選手権 そんなことより家が燃えてる
(第236回タカサ大喜利倶楽部)

皆様の資産リセットされたならどこに何かが足し引きなのか

赤マルとこの青春に火を付ける 早熟すぎるイキった気持ち

母校へと入る玄関 あのままで鬱蒼として恋模様あり

アノ後の画面に映る自らの顔でこのまま商談できる

キツキツのスウェットなのによく寝れる 実家で履けばゆとりに変わる

東京のスピード感と病み明けは夢を泳いで眠る感覚

猛烈に体力減った真夏日の26歳 夏が終わるよ

そういえば パーマのパの字さえ知らず もともと癖毛なのでそうです

見てみろよ あいつは今日も絶好調 シワだらけでもスーツは映える

水風呂と共に輝くたくさんのご使用済みのサウナマットが

飲んでいる時に語るの陽水を陽水以上に溜めて語る

目の前のお食べ物だけ取り囲む みたいな会は穏やかで好き

まん丸いお目目とお顔あとお手手うぶな泣き声 これで完成

公園のファーストキスに座る僕 あれから1.5倍増えた

うめき声ってことにするにはもったいないくらいの眠りん坊ちゃん

推しの子に撃ち抜かれたら本当に息ができない、ですら気づかず

神様に会えたら僕はただ一つ ゆっくり語り一杯やりたい

クエン酸と聞いただけですぐ試す ナースみたいな安心感で

あそこから流れる水のハーモニー 南アルプスの天然水

半袖のビジネスシャツが半袖の袖部分だけ残して盆へ

発車ベル鳴った瞬間、永遠に夏へと向かう片道切符

そういえば僕の名前が知らぬ間に名字で呼ばれ大人を登る

駅前の「シェ」だけ点滅シェーキーズの看板だけがピコンピコン

人間がAIよりも優れてるところはミスを選べるところ

60℃ 風呂じゃ熱いが舌上は割と喜ぶ素敵な温度

最近の世の中すべてDX 電気なくなりゃ全てガラクタ

貸し切りの泉と蝉の鳴き声で27歳始まりました

夕暮れに弾むボールは夕暮れと共に落ちてく午後五時五分

それぞれが一方的に矢を射って噛み合わないが重なりはした

ミスチルのシーソーゲーム最後尾 「ダウン」は「デーン」で合ってるよね?

銭湯のメトロノームになっているおじさん達の首の運動

宇治抹茶ソフトクリーム500円 関東民の心を保つ

ポスターが色褪せている田舎町 笑った顔の信用金庫

「目標」は日替わり定食みたいなもん その日によってメニューは違う

シャレオツな韓国風のイケメンが大きめのTシャツからハミ毛

埼玉の大宮あたり峠越えした瞬間に東京スイッチ、ON

選ばれし月を極めた者のみの駐車場での月極ゾーン

ウキウキな京王トレインなるものに8月の寂しさが流れる

ファミレスのトイレに入る直前の表情だけは金メダル級

最中の薄暗闇の鏡張り 腰振る目だけ痩せたと気づく

まだまだね歩けるうちに行っておく 整形外科へ並ぶ将来

自らをやっとの思いこしらえて 痩せたと言い聞かせる週末

受け止める 空も泣きたい夜がある いいよ仕事は終わったからさ

8月の休暇がついに鳴き止んだ これから次の休みまで脱皮

大学の講師をやってみたけれど大丈夫な僕がそこにいた

ハッキリとバレないようにビビットに あの娘の声はパステルカラー

見られてはいるけど謎のステップを踏んだ私に怖いものなし

小綺麗にしてるおじさんほど分かる燻されている昭和の香り

「危ない!」の危なくはない字体から滲み出てくるリンスの香り

乗り降りで相殺された強面のおじさん一人、家族連れ達

鉄オタと違いますよの顔をして乗務員室にもチラ見する

肝試ししたくて夜のトンネルへ 立入禁止なら仕方ない

悩むけど私のように飛び回るあの赤トンボ あなたに止まれ

「行きましょう」から「行きやしょう」へと変わるタイミングこそ友の瞬間

かける度タオルの糸がほつれてく感じがとてもセンチメンタル

アツすぎてリラクゼーションするための窓広告が 「ひざまら」「みかき」

金曜日 忙しくってごめんなさい 洗濯機さんお願いします

谷底の缶チューハイがサンロードに導かれるゴミ収集車

ニュースでの「コメ品薄」の淡白な表記に僕は米騒動へ

年重ね大きくなってしまうのは声と自慢と酒と説教

サンダルのすり減り具合、でも履いて夏らしいことにしておくかも

燦々と輝いてるがもどかしい 立て看板の縦アルファベット

この人に言われるためにあったのか しゃがれた声の「Xフライドポテト」

この夜に餃子焼こうか迷うなあ 口づけ前のどっちの欲を

800円「夏のランチの冷やしメニー」 700円「塩ラーメソ」もいい

太陽がまぶしいからと手をかざす 「充電してるみたい」とポツリ

早稲田アカデミーの隙間に案内板増やされてアートネイチャー

仕方なく仲介ステップ踏みますがリズムが悪いステップはナシ

恋バナの相談するか迷ってる 専門特化型エージェント

サボりなどしてはいません やっているのは研修とマーケティングよ

デブ万歳 お腹いっぱい気持ちよく 自省の念と感謝で食べる

「あの人が?」 改札口のタッチミス ジーパンオールバックグラサン

非公開と聞くだけでさワクワクがなぜか止まらぬデジタル世代

せっかちなアリを見ていたあの人は何かを悟りせかせか歩く

早歩き あと1分で発車する「はぁ、間に合った。」から褒めちぎって?

ひと目見てヤバいおじさんだけわかる ってことは僕もヤバいおじさん

駅前の「立入禁止」の可愛いフォントが逆に道化のコワさ

危ないが、危なすぎるがロンマかな 柱を倒す犬のおしっこ

頭には思い浮かぶが時間ない、マジなさすぎる 生きるに感謝

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