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【イベント開催】「へんなほんてん」にはどんな本があるのか?②【8月25日〜9月13日】
こんにちは。
合同会社ARTの地産地消は、「アートの力でクリエイティブで豊かな市民生活を実現する」をビジョンに掲げ、地域住民の皆様と地域で活動するアーティストの交流を積極的に推進していきます。
その一環として、会社代表・詩人の井上正行による蔵書展『へんなほんてん』を実施することにしました。普段あまりみられないような、不思議でどこかへんな本を25冊ほどセレクトしました。青梅在住のへんな人が持っているへんな本をご覧くださいませ。
前回に引き続き、「へんなほんてん」に展示してある本の一部をご紹介します!本たちには、私のエッセイとも詩とも取れてしまうような拙いキャプションが付されています。ぜひ、文章と一緒にイメージを膨らませていただけたら幸いです。
『画と機 山本耀司・朝倉優佳』
『画と機 山本耀司・朝倉優佳』
出 版:公益財団法人東京オペラシティ文化財団
出版年:2016年
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うずたかく積まれた黒い塊が東京オペラシティのグッズ販売コーナーで妙な存在感をはなっていました。はなつというか、匂っているというようなそんな雰囲気を感じました。
2017年3月12日、私は田中泯の場踊りをみにきていました。「画と機」の展示会場で踊るというのです。ほとんど一番乗りで整理券をもらい、スタートを待っていました。会場には立体や平面作品が並んでおり、その間をスルスル、ヌルヌルと動き回る踊るに見入っていました。踊りに導かれながら会場を進んでいくスタイルで、座席などなく、どこからでも踊りを鑑賞できました。
踊りが終わって振り返ると、真後ろに山本耀司と松岡正剛が佇んでいたことを今でもはっきり覚えています。そして、あたりを見渡すと魔道士のような人たちからいかにもダンサーといった出立ちの人々が群がっていました。そしてその中には宮本亜門や斎藤工といった演出家・俳優がいました。随分と偉い人たちを差し置いて真前でみてしまったなあと少し申し訳なく思いながらも、どこか誇らしく思ったのを覚えています。
黒い塊はそんな思い出と一緒になっており、開かなければ何が綴じられているのかわからないバインダーは無題のフォルダとして私の心にこっそり佇んでいるのでした。展覧会カタログをただのバインダーに綴じてしまうなんて、随分アナーキーなことをしてのけるなあと未だに思います。用紙のサイズバラバラですから、綴じ作業を行なった業者の方々は相当苦労されたことでしょう。紙をまとめる留め具も本の小口側についているため、非常にめくりづらく、こんなところでもアナーキズムを発揮するのかと少々呆れてしまうほどですが、どういうわけか定期的に眺めてしまう魔力が宿っています。
『DOMUS X』
『DOMUS X』
出 版:コトニ社
出版年:2024年
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最後の詩集とは、詩集としての形を保つことのできる最後の状態であるということでしょう。吉増さんの詩はもはやもう誰にも束ねることができないのです。
https://note.com/the_atelier/n/ne53ab3eed96d
吉増剛造の最後の詩集『Voix』に関する解説の終わりに、「もう誰にも束ねることができない」と書きましたが、『DOMUS X』はどうでしょう。
厳密に言えば、この本は詩集ではありません。吉増さんが書肆吉成とコトニ社の協力のもと、2020年より1年半近くかけて配信したYoutube動画「gozo’s DOMUS」の内容を収めた本です。動画で語られた言葉を文字に起こし、映像の一部は切り取られ、ジョナス・メカスの「フローズンフレーム」のようになっています。もしかすると詩画集の一種かもしれませんが、もはや吉増さんを語る上で本の形式的なジャンルの話は無用でしょう。
とはいえ、本について語る上で、本の形式に触れないのはおかしなことです。『へんなほんてん』のトリを飾るこの本は、そもそもカバーが印刷物の背と接着していません。ボール紙を3枚組み合わせたカバーは、中の紙の束をただ包んでいるだけです。ボール紙の3辺は切りっぱなしのようで、触れるとザラザラしています。上製本を作る場合、本来ならばこのボール紙の上から包むようにして羊皮紙や厚紙を接着するはずですが、素材剥き出しのボール紙の表紙に美しい虹のようなマーブル模様の箔押しがされています。それがなんとも繊細で、日差しを浴びたシャボン玉のようです。ボール紙のザラザラと、シャボンの柔らかさがコントラストをなす絶妙な表紙となっています。もっとも、これくらい厚いボール紙は印刷機を通らないので箔押しか活版印刷をするしかないのですが・・・。
こんなに凝った表紙(包み紙?)なのに、本文をただそっとくるむだけなんて、一体どういうことなのだろう、と不思議に思いますが、吉増さんは出版界の常識を超越しているのでした。ところで、「Voix」と「DOMUS X」の「X」は同じものですが、どう解釈したらいいでしょう。私は、「×」(かける)として考えています。吉増さんは、詩は、これからもずっと世界と掛け合わされ続けるのだろう、そんな想像を私は膨らませています。
へんなイベント開催!
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会期中は、8回の関連イベントを開催します。ひとつは「へんな本の成り立ちを学ぼう!」、もうひとつは「へんなことばで遊ぼう!」です。それぞれどんな内容なのか簡単にご紹介します。
へんな本の成り立ちを学ぼう!
こちらは、先ほども少しご紹介したように本ができるまでの工程を解説するワークショップです。私の詩集だけでなく、会場にある様々な本も取り上げながら、本の仕組みや構造について学ぶ会です。実際に手にとって触ったり広げたりできますので、とても貴重な体験になること間違いありません!
詳細
「井上の第1詩集『凍える言葉』を徹底的に分解し、手書き原稿がどのような工程で印刷されて、製本されたのかを解説します。巨大な印刷機から出てきたばかりの、大きな用紙を見られる貴重な機会です。同時に、会場にあるたくさんの本のどのあたりがへんなのか解説付きで鑑賞します。普段なかなか触れる機会のない、本の成り立ちに関する講座と、本の鑑賞が一体となったワークショップです。」
ファシリテーター:井上正行(キュレーター)
日時:8月30日(金)、9月1日(日)、7日(土)、13日(金)
時間:15:00ー16:30(90分程度)
場所:THE ATELIER
青梅市本町130−1ダイアパレスステーションプラザ青梅204
定員:10名
参加費:1000円(当日支払い)
お申し込み:lplc.of.art@gmail.com/
へんなことばで遊ぼう!
へんなことばを使って、実際に詩を書いてみませんか。今まで全く詩を書いたことがない人も、書いたことのある人も、へんなほんに囲まれながら一緒に詩を書きましょう。僭越ながら、私が詩の講師をさせていただきます。
一体どんなやつなのか、と疑問に思う方もいると思いますので、今年出版した詩集について、ベテランの先輩詩人たちから様々な批評をいただいたので、参考までに載せます。
詳細
「展示会場にある本や、青梅の街並みをテーマに詩を書いてみませんか。頭に浮かんだちょっと変わった言葉やイメージをあなたの自由な感性で表現してみましょう。たった一言でも、何行ものことばでも構いません。とにかく一緒に書いてみましょう。もしかしたら、次のへんな本はあなたの本かもしれません。あなたの心に潜んでいるへんな言葉を引き出してみませんか。」
ファシリテーター:井上正行(詩人)
日時:9月2日(月)、4日(水)、6日(金)、8日(日)
時間:15:00ー16:30(90分程度)
場所:THE ATELIER
青梅市本町130−1ダイアパレスステーションプラザ青梅204
定員:5名
参加費:1500円(当日支払い)
お申し込み:lplc.of.art@gmail.com/
おわりに
いかがでしたか。少しでもイメージが湧いたなら幸いです。
皆さんのご来場をこころよりお待ちしております。
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■へんなほんてん
会期 2024年8月25日(日)〜13日(金)
時間 10:30ー18:30(会期中は無休)
料金 入場無料
場所 THE ATELIER(青梅市本町130−1ダイアパレスステーションプラザ青梅204)
連絡先 lplc.of.art@gmail.com/0428-84-0678
(喫茶ここから内10:00-18:30/担当:風間真知子)
お知らせ
『へんなほんてん』開催中!
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■へんなほんてん
会期 2024年8月25日(日)〜13日(金)
時間 10:30ー18:30(会期中は無休)
料金 入場無料
場所 THE ATELIER(青梅市本町130−1ダイアパレスステーションプラザ青梅204)
連絡先 lplc.of.art@gmail.com/0428-84-0678
(喫茶ここから内10:00-18:30/担当:風間真知子)
アトリエ利用者募集中!
現在、「THE ATELIER」の利用者を募集しています。2024年の8月1日以降から利用可能です。見学するだけでもとても嬉しいです!
随時募集を受け付けております。
イベント開催!
9月14日、28日には青梅で活動するチョークアーティスト茂木あかねさん、御朱印アーティストのAPOホリグチさんが御登壇されます。
THE ATELIERで開催しますので、見学も兼ねてぜひいらしてください!
ご応募はこちらから
■第9回ゲスト:茂木あかね氏
日付:2024年9月14日(土)
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■第10回ゲスト:APOホリグチ氏
日付:9月28日(土)
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いずれも
時間:14:00開始 15:00終了予定
場所:THE ATLIER(青梅市本町130−1ダイアパレスステーションプラザ青梅204)
定員:15名
参加費:1000円(資料代)当日お支払い
主催:合同会社ARTの地産地消
lplc.of.art@gmail.com
0428-84-0678(喫茶ここから内10:00-18:30/担当:風間真知子)
奉納舞踏開催!
そして、2024年10月6日(日)の16時頃からは武州青梅金刀比羅神社にて「奉納舞踏」が開催されます。参加費無料なので、ぜひ足を運んでくださいね!
【お問い合わせ】
0428-84-0678 /lplc.of.art@gmail.com(喫茶ここから/担当風間)
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おわりに
イベントのご案内はもちろん、その他会社の詳しい内容は直接私たちにご連絡いただけると幸いです。
会社の拠点となりますTHE ATELIERには、同じフロア内に喫茶店を併設しております。基本的には定休日なしで営業しておりますので、お気軽にご来店いただき、お話出来たら嬉しいです。