『泥酔者用留置所の判事』
the drunk tank judge
Charles Bukowski
泥酔者用留置所の判事は
他の判事と同じように遅れてやって来る
やつは若く栄養過多で
教養があり
甘やかされ
家柄の良い家庭で育った
アル中のオレたちはタバコを消し
判事の下す慈悲を待つ
「有罪だ」やつらは言う、
判事たちはみなそう言う、
「有罪だ」
「7日」「14日」「14日間の後に軽犯罪者用施設への移送」「4日」「7日」「14日」
「判事、こいつらはここにいる別の男に暴行を加えましたが」
「次の件だ、さっさとしろ」
「7日」「14日それから軽犯罪者用の施設に移送」
泥酔者用留置所の判事は
若く栄養がよく行き渡っている
むしろ食い過ぎで
太り過ぎているくらいだ
次は保釈予定の泥酔者たちだ
やつらはオレたちを長い列に並ばせ
素早く処理していく
「2日間か40ドル」
「2日間か40ドル」
「2日間か40ドル」
「2日間か40ドル」
オレたちの数は35から40人ほどで
廃品集積所がいたるところに点在する
サンフェルナンド通りに裁判所はある
執行官がオレに言う
「あなたの保釈が申請されます」
「なんだ?」
「あなたに保釈が申請されるんです」
「保釈金は50ドル、裁判所が10ドル差し引きます」
オレたちは外に出てそれぞれの車に乗り込む
どの車も廃品集積所にある車よりもガラクタに見える
何人かは車すら持っていない
ここにいるにはメキシコからの移民か
カネのない白人が大半だ
通りの向こうにある鉄道車両置き場からは
朝日が調子良く上っている
判事たちは滑らかで繊細な肌をしていて
たるんだ顎をぶら下げている
オレたちは歩いて
あるいは車で裁判所を後にする
正義が下された