『白い犬』

White dog
Charles Bukowski

ハリウッド大通りに散歩に行った
足元に目をやると白い大型犬が
オレの側を歩いていた
やつの歩く速度はオレとまったく同じだ
オレたちは同じタイミングで
信号で停まり脇道へ逸れた
オレたちは8ブロックほど
隣り合って歩いたはずだ
それからオレは食料品店へ入り
店を出た時にはやつはいなくなっていた
あるいはメスだったかもしれない
毛並みに微かな黄色が混じったイカした犬だった
大きな青い瞳は消えた
ニタっと笑ったような口は消えた
だらしなく垂れ下がった舌は消えた

物事は簡単に消えていき
永遠に保ち続けられない

憂鬱だ
憂鬱だ
あの犬はオレを気に入って信頼してくれたが
オレはやつを突き放しちまった

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集