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理学療法士が行っているマイクロジムでの運動教室「ロコモ予防教室」 〜教室の方向性・測定方法について〜

 医療法人が運営するフィットネス施設である42条施設(メディカルフィットネス)の開設準備をしている桜井です。
今年1月からサービス付き高齢者向け住宅の一室にて、主に施設入居者様を対象とした運動教室を開催しています。

42条施設の開設準備の一環として実施していますが、スタートして3ヶ月経過して、参加者の身体の状態において機能面や動作レベル、日常生活の痛みの程度など、さまざまな面において良い方向に変化してきており、一定の効果を出すことができていると感じています。

理学療法士である以上、目の前の患者さんを良くするのが務めではあると思いますが、個別リハビリとは違う形でのアプローチでもあるため、正直良い方向に進んでいてホッとしています。

今回の活動に興味を持ってくれているPTの方もいらっしゃっており、こういった活動も情報を共有することでプラスになるんだなと感じたのでまとめてみます。


マイクロジムの方向性を決めるにあたって


 高齢者向け住宅の入居者様が対象ですが、身の回りのことはなんでもできる方もいれば、定期的に病院に通っている方、ある程度の人の手を借りないと生活するのが難しい方など、様々な方が生活されています。

そういった幅広い方々に対して、運動することって大事なんだよっていうのを理解してもらえるようにするためにテーマを考えたところ、「介護予防」という方向性が的確だと思いました。
そしてロコモティブシンドローム(以下ロコモ)と話を繋げると運動の大切さを伝えられると感じたので「ロコモ予防教室」という感じに決めました。

最近ではテレビや新聞などでロコモという言葉をよく見るようになり、ロコモに関する認知度が高くなっていると思っていましたが、
「ロコモってなに?」
「ロコモの予防って何するの?」
というお問合せを割と頻繁にいただきました。
なので、実施にあたっての説明会を実施し、健康寿命の延伸のためには運動を継続することが重要であることをお話しさせていただきました。

どうやって参加者の方々のことを把握するか?

アンケート調査


 まず、アンケート調査によって普段生活している上での身体の悩みや、運動を行うことによって期待すること(筋肉をつけたい、痩せたいなど)を把握させていただきました。
ロコモの評価項目の中には「ロコモ25」という、普段の生活場面の様子から現在のロコモ度を把握できる質問用紙があるので、そちらも採用しました。

動作テスト・バランステスト


次に身体測定としてロコモ度をチェックするための項目である「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」があります。

立ち上がりテスト


2ステップテスト


これらのテストによって動作を行ってもらうことで身体の状態を把握できます。これらに加えて、バランスや運動器不安定症の検査、転倒リスクの予測として活用されるTimed up and go testも採用しました。

Timed Up and Go test


筋力評価


 PTが筋力を評価する際、臨床場面では徒手筋力検査であるMMTを主に用います。
その他にも、ハンドヘルドダイナモメーターのような等尺性筋力測定器による測定、前十字靭帯再建術後のリハビリテーションなど、スポーツ動作に少しでも近い形で測定するためにBIODEXといった等速性筋力測定器による測定も行います。


ハンドヘルドダイナモメーター
場所を選ばず、しかもさまざまな運動方向に対して測定できるのが強み。
ただ、個人的には測定の再現性においては不安に感じることも…
測定者による誤差(検者間誤差)が大きそう…


BIODEX
家が建つくらい高価な機器(笑)
見ての通り場所も取るため、大学病院や大病院、研究施設向き




もちろんそれぞれの機器・測定方法において一長一短がありますが、今回は日常生活において重要である大腿四頭筋に着目して「ロコモスキャン」による大腿四頭筋の筋力測定を行いました。


アルケア社製ロコモスキャン
持ち運びもできて場所もそこまで選ばす、フレームを用いれば測定の再現も高くなると思ったため採用しました
ロコモスキャンによる大腿四頭筋の筋力測定


また、全身状態との関連性の高い握力測定も行いました。

体組成測定

また、医療用体成分分析装置InBody S10による筋肉量や脂肪量などの測定を実施しました。
数値化されることで少しでもご自分の身体に興味を持ってもらえるようにしました。

InBody S10
付属の専用携帯バッグに入ったままでも使用でき、データはその場でも、時間がたった後からでも印刷することが可能。
外付けのバッテリーパックもあるので、電源を入れられない移動先でも測定可能なので、屋外の測定も可能。
InBody S10のメリットとして、立位だけでなく臥位や座位でも測定可能。
将来的に42条施設だけでなく病院でも活用したいと考えており、入院中の廃用性の方々などにも測定予定です。
ただ、フィットネスだけでしか使わないのであれば、立位で測定するタイプの方が体重を同時に測定できたり端子の装着の手間がないためそちらの方が断然楽。


柔軟性テスト


 姿勢や日常動作に関わってくる柔軟性の検査として、立位体前屈胸椎回旋テストを実施しました。

様々な測定を行いましたが、今後の42条施設におけるメディカルチェックでの項目にもなりうる項目でもあるため、測定者1人で、1人あたり30〜40分程度で実施できる項目という条件で選択しました。

その後、個々に応じた運動プログラムを作成して、姿勢や柔軟性を改善するためのストレッチや筋力を向上させるためのエクササイズなどを中心に、休憩を挟みながら1時間半程度身体を動かしていただいています。

欲を言えば…


 ちなみに、欲を言えば血液検査を実施して、生活習慣病関連のデータも取りたかったところです…
そうすることで今回の活動(運動メニューや運動量など)がどれだけ生活習慣病の予防・改善に貢献できるかを把握したかったからです。

もちろん研究機関ではないけれども、42条施設の開設に伴って宣伝など外向けに情報発信していく時に、
「当施設でこれだけの運動を継続してもらうことで、こういった効果・こういった結果が出ますよ!」
というのを実際の数値で宣伝できた方が、他の施設との差別化が図れたり、自分たちにとってもさらに良好な結果が出せるように勉学に励むきっかけにもなると思うんですよね…

といった感じで、ただ漠然と運動を継続してもらって、主観的な身体の変化のみで運動の効果を感じてもらうだけでなく、客観的なデータにも着目しながら活動を続けていかなければいかないと思っています。

実際のエクササイズの内容などは今後まとめます。
最期までお読みいただき、ありがとうございました!
アドバイスなどあればいつでもコメントお待ちしています。


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