私の読書日記~今年読んだ本の総括②:2021/12/08
今日もまた、2021年に読んだ本の中で面白かったものを紹介していきたい。
1.円城塔作品~『文字渦』など
100年後にも残る日本の作家を挙げるとしたら?――個人的には円城塔を推したい。
広範な知識(科学だけでなく人文学も含め)に裏付けられた作品は、外的な存在の導入・奇抜な思考実験から根本的な問いを投げかけてくる。人間とは何か?、世界とは何か?、言語とは何か?、物語とは何か? 小説そのものが、暗にそうした問いを発してくるのだ。
この”問いを発する力”が溢れているのが、円城塔の作品であるように思う。
小説で面白かったのは、やはり『文字渦』だろうか。本作の読者は、世界や言語について考えることになる。ネタバレ防止のために、これ以上の言及は避けるが。
2.A・ペントランド『ソーシャル物理学』など
アレックス・ペントランド『ソーシャル物理学』も面白かった。「情報やアイディアはどのように伝播していくのか?」を、ビッグデータ解析によって論じた書である。
特に”エコーチェインバー現象”や”会議におけるアイディアの流れ”に関する章は、身近である分、興味深い。巻末資料や参考文献はそれなりに数学に習熟していないと厳しいだろう。
ちなみに本書は以前にも取り扱った。リンク先の記事をご覧いただければ幸いである。本書の他にも、ジェイコブ・ソール『帳簿の世界史』やジリアン・テッド『サイロ・エフェクト』といった良書も紹介している。
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