私の読書日記:2021/03/18~『裸のランチ』という問題作について
※※ヘッド画像は 茨城のカメラマン仲居 さんより。
今日もまた、簡素な読書日記を書くことにする。話題はW・バロウズ『裸のランチ』について。この小説は奇天烈だ。無茶苦茶なことをやっている。わざわざちゃんとした小説を書いたうえで、文章を一文ごとにバラバラにして、ランダムにつなぎ合わせたというのだ。到底人間に読めるものではない。
また、ドラッグと同性愛にまみれた表現もひどく過激だ。引用するのも憚られる。人によっては気持ち悪さを感じて、うっかり嘔吐してしまうかもしれない。
ただ、バロウズの影響というものは計り知れないものがあるように思う。後続の小説や映画やアニメなどに大きな影響を与えているように思うのだ。たとえば、トマス・ピンチョン『重力の虹』もその一例だろう。同性愛描写(それもかなりマニアックな)やドラッグに関する話は『重力の虹』にもたびたび登場する。
また、米国アニメの”South Park”もそうだろう。R15の下品で苛烈な表現が含まれている作品である。ただ、その分、生命力にあふれ、躍動感を覚えるアメリカの文化を直接的に感じられる。
こういうラディカルな表現ができるようになったのは、やはりバロウズのお陰ではないか。バロウズがドラッグや同性愛といったジャンキーなものの表現を開拓したのだ。(さすがにカットアップの技法は受け継がれなかったが。カットアップというのは、先ほど言及した、文をランダムに配置する技法のことである。)
未読の方はぜひこの作品に挑戦していただきたい。『裸のランチ』では、登場人物もストーリーも覚える必要がない。ただ文章を眺めているだけで、素晴らしい読書体験ができる。
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