教育観・学習観のパラダイムシフト【学びほぐしの備忘録】#3
教育観・学習観のパラダイムシフト
時代の移り変わりとともに変化(拡大?)していった教育観・学習観。
いろいろな捉え方はありますが、3つのポイントで、その変遷を書いてみました。
行動主義(1950年代~) 教える
学習観のベースとも言えるのが「行動主義」です。これは学習者を受動的として捉えています。つまり教師と学習者の関係は「教える(教わる)」となります。そして学ぶことによって「行動」に現れることが、学習効果(評価)になります。
行動主義的心理学者の一人がスキナーです。スキナーは、1960年代に「プログラム学習」と「ティーチングマシン」を開発しました。スモールステップ・即時フィードバックなどにより構成されるプログラム学習の考え方は、その後の、授業設計の考え方に大きな影響を与えました。
認知主義(1960年代~) 支援する
行動主義とは反対に、学習者を能動的(主体的)と捉えるのが認知主義です。行動主義心理学が学習者の行動のみに着目していたのに対し、人間の情報処理(=認知)を中心にモデル化を試み、認知主義と呼ばれるようになりました。
認知主義的学習観では、意識的な認知処理が学習では大切だと捉えています。人間の内側(外の世界に対しての)に向けて意識していくことが人間の学習を理解するために欠かせないとしています。そのため、「内容の理解が大事」「考えるプロセスを重視する」「方法を工夫する」「失敗から学ぶJ というような、考え方になり、教師はそうしたことに関して、学習者を支援する立場とも言えます。
(社会)構成主義(1980年代~) 共生する
社会構成主義は「知識は人々の社会的な関係性の中で構成される」と考えます。社会構成主義の提唱者として心理学者のヴィゴツキーが知られています。 学習とは、知識を受動的に記憶する個人の内的プロセスではなく,学習者が他者との相互作用を通じて知識を構成していく社会的行為という考え方になります。
こうした学習観においては、教師もまた「(学習者と)共に学ぶ」「共生する」という役割となると言えるでしょう。
「学習観」「教育観」は上記以外にも様々な捉え方があり、時代の変化(社会情勢、技術革新など)により変遷をたどっているようです。もちろん、古いものが現代にまったく通用しないというわけではありません。様々な解釈が生まれ、それにより教育・学習の領域が拡大しているとも言えるでしょう。